薬を作る機能を詰め込んだ小さなデバイス!これなら火星に行っても必要な薬が手に入ります!

これからの薬はオンデマンドで作る?!病院から離れていても、ちょっと刺激を与えてあげれば、必要な薬を作ってくれる小さなデバイス!

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バイオ医薬品

近年、バイオ医薬品というものが注目を浴びている。

バイオ医薬品は培養細胞や微生物、時にはウイルスなどの生物とバイオテクノロジーを用いて作られる医薬品のことだ。

インフルエンザのためのワクチンは鶏卵にウイルスを接種し、鶏卵の中で培養した後、精製されワクチンとして使えるように処理される。

一般的にも広く使われており、まさにバイオ医薬品の代表格だろう。

また、あまり知られていないかもしれないが、糖尿病の治療薬であるインスリン、抗ウイルスや抗ガン作用を示すインターフェロンなどもバイオ医薬品の一種だ。

これらは微生物を用いるが、時にはその作用を高めたり、副作用を下げたりするために、遺伝子を組み替えられた微生物を用いることもある。

近年のバイオテクノロジー技術の発達により、遺伝子組み換え生物により作られるバイオ医薬品は我々の生活にとって、重要な医薬品の一つになりつつある。

バイオ医薬品の需要と供給

通常バイオ医薬品は、大きな工場で作られる。

そして消費される地域、つまり大都市に迅速に運べるような地域に建てられている。

反対にいうと、大都市から離れた地域に運ぶには、お金も時間もかかり、急に患者が出て、薬が必要となっても、すぐには投薬できない可能性がある。

もっと言えば、これから人類は火星に行くという計画を立てているが、もちろん火星には薬工場なんてないし、そう簡単に地球から運ぶことはできない。

そういった場合、どうしたらいいのだろうか?

必要な薬剤を少量作るデバイス

マサチューセッツ工科大学の研究チームが開発しているのはまさに遠隔地で使えるデバイス型薬工場だ。

デバイスというからには、持ち運べるレベルの大きさで、薬を作ることができる。

デバイスの中には遺伝子操作された酵母が入っており、その酵母に薬を作らせる。

酵母を選んだ理由は、酵母は増殖が早く、密度が高い状態でも生育できる。

そして遺伝子がシンプルで、安い培地で育てることができ、比較的多くのバイオ医薬品を作ってくれるからだ。

遺伝子操作された酵母はある化学物質に反応するようになっており、その化学物質を培地に注入すると目的の医薬品を作ってくれる。

それも一種類ではない。

現時点でも女性ホルモンであるエストロゲン(β-エストラジオール)を加えると、遺伝子組み換えされたヒト成長ホルモンを、メタノールを入れるとインターフェロンを作ってくれる。

デバイスの使い方

デバイスの使い方も簡単だ。

酵母を刺激する化学物質を入れたら、やさしく揉んでやり、薬を作ってくれるのを待つ。

酵母を育てる環境の酸素濃度、温度、pHなどはモニタリングされており、デバイスが自動で酵母に最適な環境に保ってくれる。

そうして待てば、一回分の薬を作り出してくれるので、それを押し出して投薬すれば良い。

デバイスにはフィルターが付いており、酵母はデバイスの中から出ることはない。

そして他の薬が必要になったら、再度培地と酵母を刺激する化学物質を入れてやれば、違う薬を作り始める。

このように必要に応じて、必要な量を小さなデバイスで作れるようになれば、どこにいようが迅速に薬を手に入れることができるようになるのだ。

遺伝子組み換え技術というのは、色々批判もありますが、もう医薬品に使われている現状もあり、また今回の技術のように多くの可能性を秘めている技術です。遺伝子組み替え技術を用いた医薬品や食品は厳しい安全性試験が要求され、人に害が無いよう十分に検討されてから、市場に出されるよう法律で規制されています。

もちろん体内に入るものなので心配するのは当然ですが、バイオの研究者である私としては、遺伝子組み換えだから怖いとか遺伝子組み換えじゃ無いから安心という判断ではなく、そのものの本質を見て判断して頂けたらなと思います。

元記事はこちら(Portable device produces biopharmaceuticals on demand. System would use microbes for manufacturing small amounts of vaccines and other therapies.)

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