石油枯渇、地球温暖化の助けになるかに思われたバイオ燃料。現実的にはむしろ悪化させているかもしれない?!

地球にやさしく、我々が使用する膨大なエネルギーを賄うためのバイオ燃料。アイデア的にはカーボンニュートラルという地球温暖化を促進しないかに見えましたが、実際に運用してみるとモデルからは大きくかけ離れているかもしれないという研究結果が報告されました。

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バイオ燃料

石油の枯渇危機が叫ばれ、はや40年が過ぎた現在、次世代燃料として様々な技術の研究開発が行われている。

また石油を燃やすことで二酸化炭素が発生するが、この二酸化炭素は地球温暖化の原因であり、人間活動による地球上の気候の変動が懸念されている。

そのため次世代燃料には燃料としての機能だけではなく、地球温暖化を促進しないような技術が求められている。

その次世代燃料の一つとして注目されているのが、バイオ燃料である。

バイオ燃料と言っても燃料として使用するのは、エタノールやガスなど現在でも入手可能なものである。

では何が”バイオ”燃料なのか。

それは燃料として使用するエタノールの原料がバイオ、すなわち生物由来のものなのである。

例えばバイオ燃料の一つであるバイオエタノールは、お酒を作る工程と同じ工程を辿る。

だが大規模に行うことにより、燃料として使用出来る量を確保しようというものだ。

つまり作物から得られる糖分を発酵し、得られたエタノールをバイオ燃料と呼んでいるというわけだ。

なぜバイオ燃料が地球温暖化を促進しないと考えられているのか

バイオ燃料を作るには、作物を育てる必要がある。

作物、つまり植物は光合成をし、大気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する。

吸収された二酸化炭素は植物体内で糖分に変換される。

そして育てた作物を収穫し、植物体内に蓄積した糖分を発酵させることでエタノールを得る。

得られたエタノールは燃料として利用すると、二酸化炭素として待機中に放出される。

一見すると二酸化炭素を放出してしまうため、石油燃料と変わらないように見えるが、もともと大気中にあった二酸化炭素から造られたエタノールであるため、計算上はプラスマイナスゼロである。

つまりバイオ燃料は大気中の二酸化炭素を増加させないということにおいて、地球温暖化を促進しないという仕組みである。

これをカーボンニュートラルという。

実際は二酸化炭素放出量が上回っている?!

だが最近ミシガン大学の研究チームから発表された報告は異なっていた。

アメリカではこの10年のうちに再生可能燃料基準などの政策を反映し、バイオ燃料による石油燃料からの置き換えが広まった。

その結果、主にトウモロコシから作られるバイオエタノールやバイオディーゼルなどの液体のバイオ燃料の消費量は、2005年に42億ガロンだったものが、2013年には146億ガロンへと増加した。

研究チームが行ったアメリカでバイオ燃料が急速に強化された時期のアメリカ合衆国農務省の作物収穫量のデータを元にした研究では、バイオ燃料を燃やして放出された二酸化炭素のわずか37%しか作物が吸収していないことが明らかとなった。

そして地球温暖化の原因としての二酸化炭素量という観点から見ると、バイオ燃料はガソリンよりもむしろ悪いということが判明したのだ。

これまで信じられてきたカーボンニュートラルという考えは、モデルではうまくシステム化できるように見えるが、現実的にはその考えというのは間違っているということになる。

これまで政治的に強力に推し進められてきたバイオ燃料。

政策者は再度バイオ燃料というものを検討し直す必要があるのかもしれない。

今回の記事では、何故作物が吸収する二酸化炭素量とバイオ燃料が生み出す二酸化炭素がバランスしないのかということに関しては議論されていませんでした。作物を育て、その糖からエネルギーを作り出すとすると、必ず利用できない部分が出てきます。その大きな割合を占めているものとして、現在では細胞壁であるセルロースが挙げられます。

利用できない部分が存在するということは、大気中の二酸化炭素を糖として固定したしたものが二酸化炭素として大気中に放出されないことを示しています。つまりカーボンニュートラルではなく、より大気中の二酸化炭素量は減少する、つまり良い方に向かうべきだと考えられるのですが、どこかにまだ見落としがあるのかもしれません。

人が作り出せる燃料として、そしてもうすでに利用されている次世代燃料として、まだまだ活躍してほしいバイオ燃料。さらに地球環境に良いものとするためには一体どういう戦略で研究開発が進めばいいのでしょうか。バイオ燃料にとって、ここは一つの正念場なのかもしれません。

元記事はこちら(Study: Biofuels increase, rather than decrease, heat-trapping carbon dioxide emissions)

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