DNAを利用したタンパク質バイオマーカーの検出!安定で、簡便、迅速な検出法が切り開く未来とは?

病気の早期発見のため、重要性が増しているバイオマーカー。聞く機会が増えてきた言葉ですが、一体どういうものなのでしょうか?また現在の問題点とそれを克服した新しい手法に関して、今回は紹介します。

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バイオマーカー

人が病気になると、体内では様々な状況が変化する。

熱が出たり、下痢をしたり、咳が出たり、痩せたり、太ったりといわゆる症状として現れるものが多く、現在の医療でもそのような変化は診断に用いられている。

そのような変化は体内に侵入したウイルスを殺す役割だったり、病技の原因が体内で代謝を狂わしたりすることで起こる。

だがそのように症状として現れること以外にも体内では多くの変化が起こっている。

例えば腎臓の働きが悪くなれば、血中にアンモニアが溜まったり、膵臓が悪くなれば、血中に糖が溜まったりする。

このような変化は通常、外観からでは判別がつかないため、血液検査など化学的手法を用いて検査する必要がある。

現在ではガンの早期発見のため、ガンになった際に放出されるタンパク質を検査するということも珍しくない。

このような病気の指標となる物質には、DNAだったり、タンパク質だったり、小分子のような代謝産物だったりと様々んだが、総称してバイオマーカーという。

シグナルを増幅する酵素

カルフォルニア大学ロサンジェルス校の研究チームは、迅速に、そして簡単にバイオマーカータンパク質を測定できるシステムの開発を行っている。

現在、バイオマーカーの検出には酵素を用いた検出法が多く使われている。

通常バイオマーカーとなる物質は体内では非常に少なく、検出することがかなり困難である。

そのため目的の物質があるというシグナルを酵素によって増幅するのが一般的である。

だが酵素というのは非常にもろく、適切な温度で管理されないとたちまち壊れて、働かなくなってしまう。

また感度を増幅するという性質上、測定するサンプルに加えた後、不必要な分は取り除かないと正確な計測が出来なくなる。

このような不安定性や複雑なシステムというのは、検査のためのコストを押し上げる要因となる。

DNAでバイオマーカーを測る!?

そこで研究チームは、酵素を用いずに検出したいタンパク質性バイオマーカーのシグナルを増幅するシステムを考案した。

そのシステムにはDNAが使われる。

DNAは普段2本の鎖の状態で存在するが、熱をかけると離れ、1本の鎖となる。

そして温度を下げると再度2本の鎖へと戻る。

彼らはこの原理を利用し、温度を上げ1本の鎖にした後、バイオマーカーとなるタンパク質が存在すると、積極的に2本になるよう工夫した。

このシステムであれば、不安定で扱いづらい、そして検出するのに時間がかかる酵素を必要とせず、迅速で勘弁、そして長期間の保存にも耐えうる検出システムとなる。

そして持ち運べる検出器と組み合わせれば、いつでもどこでもバイオマーカーの測定ができ、例えば、発展途上国などリソースの少ない地域においても有用である可能性が高い。

また応用範囲としても、ガンやインフルエンザ、ジカウイルスやエボラウイルスにも応用でき、多くの病気の早期発見にも貢献できることだろう。

日々、新しいバイオマーカーが発見され、医療業界に貢献している現在、新しい手法がさらにバイオマーカーの利用を広めるかもしれない。

病気の治療において重要なのは、早期発見です。早ければ早いほど、身体が元気なうちに治療を開始でき、早く回復することができます。ですがその一方で早いほど症状は現れにくく、その検出が難しくなります。だからこそ高感度な検出法の開発というのは重要となっています。そして高感度な上、簡便、安価なシステムとなれば、我々の日々の健康を守ってくれることでしょう。今回のDNAを用いた検出法が今後大きく広がり、我々の日常生活にも入ってくると、病気に怯えなくてすむ世の中となるかもしれませんね。

元記事はこちら(UCLA researchers develop method to speed up detection of infectious diseases, cancer)

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