安価なプラスチック素材を快適な服に仕立てる?!ナノテクノロジーと化学が作り出す新しい素材とは?

もう秋になりつつある日本ですが、まだまだ暑いですね。扇風機やエアコンをつけている家庭や職場も多いのではないでしょうか?ですがもし、涼しく感じられる服なんてものがあったら、もう扇風機もエアコンも必要なくなるかもしれません。そんな素材を安価なプラスチックから作ろうとしている研究室がありました。

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涼しくなる素材

スタンフォード大学の研究チームは、服として着ると身体を冷やすことができるプラスチックベースの低価格な素材を開発した。

この素材は現在ある涼感が得られる素材よりもはるかに効率よく冷やすことができるという。

研究チームが作りだしたこの素材は、これまである涼感が得られる素材と同じく、汗を吸い、それが蒸発する際に熱を奪う気化熱という仕組みを用いている。

赤外光

だが今回の素材はそれだけではない。

地球上に存在するすべての物質は、熱を目に見えない赤外光として常時放出している。

例えば毛布が暖かいのは、身体から出る赤外光をトラップすることで熱を保持しているし、また暗視ゴーグルはこの赤外光を検出することで、暗闇でもものを見ることができる。

人間の身体から発せられる熱は、実は40〜60%はこの赤外光として放出される。

研究チームが開発した素材は、この赤外光を効率的に通すことにより、熱を内側にとどまらせない仕組みになっている。

ナノテクノロジー、フォトニクス、ケミストリー

研究チームが開発したこの素材は、ナノテクノロジーと光工学(フォトニクス)、化学といった複合分野をミックスし成しえたものだ。

まず彼らが注目したのは、プラスチックラップ(サランラップ)である。

食材の保存に用いられるプラスチックラップは赤外光を通すことができる。

だが服として用いる際、布地の性質として望ましい性質、つまり赤外光を通し、空気や水を通し、そして可視光領域で不透明であること、のうち空気や水を通し、可視光領域で不透明であるという点に関しては達成できていない。

そこで研究チームは、その問題を一つ一つ解決することにした。

不透明さと空気や水を通すという性質を得る

研究チームはまずはこのプラスチックラップを不透明にすることから取り組んだ。

実はプラスチックラップの原料であるポリエチレンはバッテリーを作る際にも用いられている。

その分野では可視光には不透明で、熱を逃がすため赤外光には透明にするため、特定のナノ構造をもったポリエチレンというのが使われている。

そこで彼らは工業的に使われているナノ構造をもったポリエチレンを入手し、次の段階である空気や水を通すという問題に取り組んだ。

空気や水を通すためには、素材に穴を開ける必要がある。

彼らはポリエチレンに小さな小さなナノレベルの穴を開けるよう化学処理し、空気や水を通すプラスチックに変化させた。

服を作るために

目的の赤外光を通し、可視光で不透明で、空気や水を通す素材が得られたことから、彼らはこの素材を用い、布地を作ってみることにした。

ここまでではまだ薄いプラスチックラップなのだが、もっと布地に近づけるよう3層構造の布地を作製した。

強度と厚さを出すために、コットンのメッシュを用い、それを両側から彼らのプラスチックラップで挟んだというわけだ。

この布地の冷却性能を見るために、彼らの3層構造の布地と通常のコットンの布地の切れ端サイズで用意し、体表温度と同じくらいの温度にしたヒーターの上に置き、どれくらいの熱をトラップするかを検討した。

その結果、彼らの素材はコットンの布地に比べ、約2度ほど低い温度を示した。

この2度というのは小さな違いに見えるかもしれないが、この2度の差で扇風機やエアコンが必要にならなくなる場合も多いと考えると大きな違いだ。

研究チームは、様々な色の布地を作ったり、もっと布地に近い触感にしたりと、さらなる研究を続けている。

私自身暑がりなので、こう言った研究は是非とも応援したいですね。確かに今でも涼感を感じられる布地というのはあるのですが、私的にはまだまだ涼しさを感じられなかったりします。またファンが付いているジャンパーなんかもあるようですが、重いですし、電池が切れたら一巻の終わりなので、どうも購入する気にはなれません。電池も必要なく、これまでの服と同じように着られ、身体を冷やしてくれる服、そんなものがあったら、私は間違いなく飛びつくことでしょう!是非早く製品化されることを願っています。

元記事はこちら(Stanford engineers develop a plastic clothing material that cools the skin)

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