世代が変わることで、色が変化するタイマー機能をもった大腸菌で生物の世界大会に挑戦!〜iGEM UT-Tokyo〜

遺伝子組み換えを用いた新しい生物を作り出す世界大会iGEM。東京大学のチームが金メダルを目指し奮闘中です!

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合成生物学

合成生物学とは、遺伝子操作などを用いて、生命を自由自在にデザインし、新しい機能を持たせることにより、バイオ燃料などのエネルギーや有用物質の生産、情報処理、新しいデバイスなどへの応用しようという学問である。

バイオテクノロジーが発展したことにより、遺伝子操作のコストは劇的に下がったことで、合成生物学の飛躍的な発展に繋がっている。

例えば、温度や化学物質に反応して光る微生物を構築したり、元来光合成をしない微生物を光合成によりエネルギー生産をするように変化させたり、遺伝子操作を行った微生物をコンクリートに混ぜておくことでひび割れが生じた際、自動で修復するような生物がこれまでにも考案されている。

生物は自律的かつ持続的に動作させることができるため、複数の生物体のシステムを組み合わせることにより、これまでの化学や工学といった人間が発達させてきたシステムとは全く異なったシステムが構築できると注目されている。

iGEM:the International Genetically Engineered Machine competition

そんな合成生物学の世界には、有名な大会が存在する。

それがiGEM(the International Genetically Engineered Machine competition)だ。

マサチューセッツ工科大学で2004年から毎年11月に開催されているこの大会。

おもに大学生や大学院生が合成生物学の新しいアイデアや技術を競い合う。

参加者は世界中から集まり、2013年には36カ国から215チーム、4000人以上が参加しており、日本からも11チームが出場している。

この大会では、BioBrickと呼ばれる遺伝子のパーツリストが用いられ、参加者はこのリストの中の遺伝子パーツや独自に開発した遺伝子パーツを自由に組み合わせ、新しい生命体を作り出すことができる。

その作成は夏の間に行われ、その進展状況に関しては大会が準備したWikiページを通じて、世界中に発信される。

そして11月の大会でプレゼンテーションを行い、大会本部により設定された項目の達成度により、金、銀、銅のメダルが複数のチームに贈られる。

だが学生がメインの大会だからといって、なめてかかってはいけない。

中には大企業とスポンサー契約をし、研究者も驚くような本格的なアイデアも存在するのだ。

iGEM UT-Tokyo

今年2016年のiGEMで金メダルを獲得するべく、学術系のクラウドファンディングサイト「academist」で出資を募っているチームが存在する。

それが東京大学のチーム「iGEM UT-Tokyo」だ。

彼らは細胞分裂で色が変わる大腸菌を作り、金メダルを目指すという。

一体、何故そんな大腸菌を作りたいのだろうか?

世代を経ることにより、発動するプログラムタイマー!

細胞分裂をするということは、大腸菌にとっては一世代進むということだ。

つまり彼らが目指す大腸菌は世代が変わる毎に色が変わると言い換えてもいいだろう。

その大腸菌は遺伝子組み換え技術を用い、蛍光タンパク質という蛍光色のタンパク質を作らせることにより行う。

蛍光タンパク質はもともとオワンクラゲが緑色に光ることから発見されたタンパク質だが、現在では緑色以外にも赤、青、黄色など様々な色を発するものが存在する。

だがそのまま大腸菌の遺伝子に、この蛍光タンパク質の遺伝子を挿入しただけでは、大腸菌は挿入された蛍光タンパク質を作り続ける。

彼らは単に大腸菌の遺伝子に蛍光タンパク質の遺伝子を挿入するだけではなく、さらにプログラム機能を追加することにより、世代が変わると違う蛍光タンパク質を作らせ、色を変えようというのだ。

一体何の役に立つ?

世代が変わると色が変わる大腸菌。

確かに大腸菌の培養液が時間とともに変化していく様が見えたら、それはそれで面白そうだ。

だが彼らは単に「面白そう」というだけで、この大腸菌を作りたいわけではない。

このように大腸菌の世代により、作るタンパク質を変えることができたら、幅広い応用が考えられるのだ。

例えば彼らが99世代目までは緑色の蛍光タンパク質を作り、100世代目からは赤色の蛍光タンパク質を作り出す大腸菌を作製したとしよう。

そのままでは「色が変わって面白いね!」で終わる。

だが遺伝子操作のすごいところは、遺伝子を抜き出し、違う遺伝子をいれられるところにある。

そこで緑色蛍光タンパク質の遺伝子の代わりに石油を分解する酵素の遺伝子を挿入し、赤色蛍光タンパク質の代わりに大腸菌が自らの生命システムをストップさせる自殺遺伝子を挿入したとしよう。

そうすると石油流出が起こった時に、この大腸菌をばらまくと99世代目までは石油を分解し、100世代目で自ら死ぬことで、環境中に残ることがない。

もしこのような大腸菌ではなく自殺機構がない大腸菌を用いると、遺伝子組み換えをした”異端”の大腸菌が環境中に残り、何らかの影響を与えてしまうかもしれない。

これまで遺伝子組み換え生物が環境に影響することが懸念され、環境中で使うことは強く規制されてきたが、彼らの大腸菌であれば環境への影響は最低限に押さえられるため、外界で用いるという新しいバイオテクノロジーの時代が切り開くことができるかもしれないのだ。

出資に関して

そんな彼らはボストンで開かれるiGEMへの渡航費用を捻出するため、今回academistで出資を募っている。

そしてプロジェクトにはリターンも用意されている。

もし興味があれば、彼らを助けるためにも出資してみては如何だろうか?

この記事を書いている2016年9月9日現在、出資できるコースは以下のものがある。

¥1,000 研究推進レポート + オリジナル画像

¥5,000 iGEM UT 2016オリジナルTシャツ + 研究推進レポート + オリジナル画像

¥10,000 サイエンスカフェ参加権 + iGEM UT 2016オリジナルTシャツ + 研究推進レポート + オリジナル画像

¥30,000 iGEM世界大会の発表スライドに謝辞記載 + サイエンスカフェ参加権 + iGEM UT 2016オリジナルTシャツ + 研究推進レポート + オリジナル画像

出資の期限は2016年10月29日までだ。

今の大学生はすごいですね。私がこのiGEMを知ったのは、ここ数年のことなのですが、日本からも東京大学、北海道大学、大阪大学、京都大学、東京農工大学、京都工芸繊維大学などが出場しており、もし自分が学生の頃にiGEMがあったらと思うと自分も出てみたいと羨ましく感じます。またこの数年のiGEMのプロジェクトも調べたことがあるのですが、びっくりするようなアイデアのものもあり、勉強になります。今回の東京大学のチームのアイデアも将来世界の役に立つアイデアだと感じているので、是非頑張ってほしいなと思います!

元記事はこちら(細胞分裂で色が変わる大腸菌を作りたい!)

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