経済を支える大事な橋。それが崩壊した時、一体何が起こっていたのか?調査により明らかになった理由とは?

2013年5月23日、アメリカ ワシントン州シアトル北方にある橋が崩落した。この橋は1日7万台以上が行き交い、北はカナダ、南はメキシコへと伸びる商業的にも大事な道を支える橋だった。一体なぜそれほど重要な橋が崩壊したのだろうか?調査により明らかにされたその理由とは?

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Interstate Highway 5:州間高速道路5号線

北はカナダ国境付近から、南はメキシコ国境付近まで伸びる州間高速道路5号線。

カリフォルニア州サンディエゴ、ロサンゼルス、オリンピア、シアトルなどアメリカ西海岸の大都市を経由する。

合計222.97 kmもあるこの道路はカナダ、アメリカ、メキシコを結ぶ重要な高速道路である。

アメリカでは奇数の路線番号をもつ州間高速道路は原則として南北方向に走っており、特に5の倍数の路線番号はアメリカを端から端を結ぶ道路に付けられている。

そのような長い高速道路では、もちろん途中には川を越えるため、橋が建設されている。

全部は挙げることはできないが、北からノックサック川、スカジット川、スティルアクアミッシュ川、スノホミッシュ川、グリーン川、ピュアラップ川、スクッカムチャック川、ニューオーカム川、カウリッツ川、ノース・フォーク・トゥール川、コウィーマン川、カラマ川、ルイス川、イースト・フォーク・ルイス川、コロンビア川、ウィラメット川、チュアラティン川、サクラメント川、ロサンゼルス川、サンタ・アナ川などがある。

その中の一つシアトルから約96 km北方にあるスカジット川にかかる4車線の橋が2016年5月23日に突如崩壊した。

幸いなことに死者は出なかったが、3人がこの事故に巻き込まれ、近隣の病院に運ばれたという。

この橋だけでも1日7万台以上の車が行き交い、商業的にも重要な橋となっている。

この橋の修理には、15億円以上かかると推定され、また商業的なダメージは計り知れない。

ではなぜこの橋は崩壊したのだろうか?

三つの人為的要因

イリノイ大学の研究チームは、この事故の崩落を調査し、その報告を行った。

彼らによると崩落の原因として、大きな三つの人為的な要因があったという。

一つ目は橋を通過するための規制の問題、二つ目は注意喚起手法の問題、三つ目は橋の構造上の問題だったという。

今回、この事故が起きた直接的な原因は、大型トレイラーがこの橋を通過する際、上部が橋桁の一つと衝突し、それが崩落を招いたとされている。

ではなぜそのようなオーバーサイズのトラックが橋の通行許可を得ることができたのだろうか?

通行可能な高さの設定値

スカジット川にかかる橋は、吊り橋のように上部その重みを支柱に伝える構造をとっている。

ただ違うのはその上部の構造が網目状のアーチ型になっていることだ。

つまり道路の上部も鉄骨材が走っており、通過する車の高さの上限値が存在する。

今回問題になったのは、その上限値である。

アーチ状のため真ん中が高く、端が低くなっているが、橋のデータベースにはその最大値、つまり真ん中の値が車高の最大値として設定されているのだ。

今回、大型トレイラーはこの最大値よりは低かったが、端よりも高く、それにより引っかかってしまったと考えられる。

パイロットカー

ではこの衝突は本当に防げなかったものなのか?

大型トレイラーが通行する際、このような事故が起きないように、パイロットカーによる扇動が行われる。

パイロットカーには高さを測定するためのアンテナが装備されており、そのアンテナが構造物と衝突した際、先導する大型トレイラーに注意喚起を行うシステムとなっている。

だが今回、パイロットカーの運転手も大型トラクターの運転手もこのアンテナが橋の上部に衝突した音は聞かなかったという。

だからこそパイロットカーは問題ないと判断したのだ。

今回、本当にぶつからなかったのかは不明だが、このシステムには問題がある。

なぜなら衝撃音を人の耳で判断するということから、判断が正確でない可能性があるのだ。

そこで研究チームは、アンテナに衝撃センサーをつけることで、常時衝撃をモニタリングし、衝撃があった際には、パイロットカーの運転手と後続する大型トラクターの運転手に自動で、即座に伝えるシステムを提案している。

またそれだけではなく、パイロットカーのアンテナは直立しているわけではなく、しなっているため、正確な高さの測定はできないことも課題点として挙げられている。

構造上の問題

通常、構造物というのはある程度の衝撃には耐えられる強度が設計され、建設されている。

ではなぜ今回、橋は崩落してしまったのだろうか?

大型トレイラーがぶつかったのは、実はメインのフレームではないことが明らかとなっている。

ぶつかったのは、それをサポートする補助支持体だった。

だが計算されていないようなねじるような負荷がかかり、橋全体で増幅され、橋は崩れ落ちてしまったと考えられている。

そのため設計を再度見直し、橋の強度を上げることが必要であるだろう。

幸い死者が出なかったものの、経済的に大ダメージを与える橋の崩落。

今回と同じアーチ状の上部をもつ橋はまだ他にも存在しており、同様の事故が起こる可能性が懸念されている。

この事故を繰り返さないためにも、この事故から学び、より良いシステム作りが必要だ。

日本も川が多いため、各地で橋が建設されており、同様の事故が起こらないとは言えません。普段、何気なく使っている橋にもこのような事故の可能性が存在するでしょう。また日本は地震大国なので、地震による構造物の崩壊なども考えられ、構造物の設計というのは重要だと思います。よりよい設計、よりよいシステムを目指し、研究が進んでいって欲しいなと思います。

元記事はこちら(Structural, regulatory and human error were factors in Washington highway bridge collapse)

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