共生微生物とヒトの健康を関連づけるため、ゲームにしてみた!〜Colony B〜

ヒトには膨大な数と種類の微生物が共生しています。そして互いに影響し合い、日々の生活を営んでいます。最近の研究では、このような共生微生物はヒトの健康に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつありますが、あまりに多くの微生物がいるために、どの微生物がどのような影響を与えているかというのを明らかにするのは困難なようです。そこで研究者がとった一つの戦略がゲームでした。

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共生微生物

我々の身体には100兆を超える微生物が存在している。

その微生物たちは、腸内に、口の中に、そして皮膚の上に存在し、我々の健康を支えるものもいれば、何もしないもの、そして害をなすものなど様々である。

だが抗生物質などで全ての微生物を身体の中から取り除くというのは、我々の健康にとっても良くないことである。

これらの微生物は外界の微生物が付着し、体内に入った時にそれらが増殖しないようバリアの役割を担っていたり、摂取した食物の中で人間が分解できないものを分解し、人間が吸収できるようにしてくれたりしている。

我々人間と微生物というのは、お互いに作用し合い、共生していると言えよう。

微生物と我々人間との関係

近年の研究で、我々人間の中や外に存在する微生物との関係性は思ったよりも重要であると示唆されている。

ただ単に日々の健康を支えているだけでなく、例えば肥満や自己免疫疾患、自閉症、さらには性格や振る舞いにまで影響を与えていると言われている。

しかしながら、どのようにして共生微生物が我々の性格や振る舞いにまで影響するのか、そしてなぜ健康に影響するのかという問いの答えにはさらなる研究が必要となる。

The American Gut projectとColony B

The American Gut projectが始まった2012年以来、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアから10,000人弱の糞便サンプルと習慣や健康の情報が集められた。

だがそのサンプルの中には非常に多くの数と種類の微生物が存在していることが明らかとなり、どの微生物がどのような影響を与えているのかということを解明することは非常に困難だった。

そこでマギル大学の研究チームは、新しいゲームを作製し、ゲームのユーザーに研究を推進してもらおうという試みを行っている。

彼らが作製したゲームは、Colony Bという。

研究チームはこのゲームを通じて、特定の微生物が我々の習慣や健康にどのような影響を与えているかよりよい理解を与えてくれるものだという。

彼らはThe American Gut projectで集められた糞便サンプルの中の微生物を二つのグループに分類した。

一つのグループは何らかの疾患を患っている人に多く見られる微生物であり、もう一方は健康な人に多く見られる微生物である。

このようなグループ分けは腸内細菌と健康との関連性を明らかにするのに重要であるが、だがどの腸内細菌がどちらのグループに入るのかというのを見極めるのは困難である。

そのため、そのグループ分けをゲームユーザーに手伝ってもらおうとこのColony Bを作製したわけである。

グルーピング

Colony Bでは、ゲームを開始すると微生物に見立てたドットが表示される。

そのドットを円で囲み、グルーピングする。

それぞれのドットが表示される場所は、その微生物の性質により決められている。

より似通った微生物では近くに、似ていない微生物では遠くに表示されるというわけだ。

なぜゲームに仕立て、人間にやってもらうかというと、コンピュータと違い、複数のドットを見た際、直感的に、そして即座に認識し、グルーピングするのは人間の方が優れているためだ。

そしてそのグルーピングされた情報は、サーバーに送られ、習慣や健康状態などの情報と照らし合わされ、関連付けられる。

このような人間の直感による情報は、研究者が共生微生物を研究するのに新しい知見をあたえてくれるかもしれない。

Colony BはAndroid OS、iOSでゲームすることができるので興味がある人は、下記URLのウェブサイトに行き、ダウンロードして、プレイしてみてほしい。

近年、インターネットが発展するにつれ、このように研究をゲーム化し、人々の力を借りて研究を推進しようという研究者が増えてきているように思えます。ゲーム化しないまでも、家庭のコンピュータの空いた時間で地球外生命体の探索を行うSETI@homeやタンパク質の折りたたみ構造を解析するFolding@homeなどもあります。

またゲーム化で成功した研究の一例としては、Folditというタンパク質の構造予測を行うゲームがあり、2011年に研究者が10年間解けなかったM-PMVレトロウイルスのプロテアーゼの構造解析に成功したという例もあります。

研究者と言えども1人の人間で、知識や直感力、そして作業量というのは限界があるでしょう。そのため全く違った経験をもつ人が、異なる観点から研究を見つめるというのも、研究を推進するにあたって重要なことなのかもしれません。その一環として、研究をゲーム化し、広く協力をしてもらうというのは、いい試みだと思います。今後も研究者と一般の人が協力して、研究をより良いものとしていくといったことが増えて行くといいなと思っています!

元記事はこちら(Gaming for gut research. New game advances research into the microbes that play a role in our health)

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