双子を用いた研究により、脳の構造と遺伝子との関わりを探る!遺伝的要因はどこまで脳を変化させるのか?!

生命の設計図と言われる遺伝子。しかし遺伝子が同じだからといって、身体の発達が全く同じように発達するとは限りません。双子に協力してもらい、脳の発達と遺伝子との関わりを探る研究が行われています。

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脳の発達と遺伝子

ニューサウスウェールズ大学の研究チームが、脳の発達と遺伝的要因に関しての研究の報告を行った。

脳には神経細胞が多く存在している灰白質と繊維が多く存在している白質という部位が存在する。

老化により神経細胞が少なくなってくると、白質が増加し、記憶力や運動能力の低下を引き起こす。

これまでに脳の発達において、遺伝子が重要な役割をしていることは言われているが、どんな遺伝子がどのように関わっているかということは明らかになっていない。

そこで研究チームはまず脳のどのような部位が変化を起こしやすいのか、一卵性双生児と二卵性双生児の人に協力してもらい、研究を行った。

調査の対象となったのは、オーストラリア東部に住む65歳以上の痴呆の症状がない健康な白人の双子で、平均年齢は70歳だ。

一卵性双生児93組、二卵性双生児68組、計322人のMRI画像を解析し、統計学的な遺伝子モデルを用いることで、遺伝子と脳の関連性を探った。

研究により明らかになったこと

彼らの研究により、明らかになった点は以下のようなものだ。

大脳皮質と皮質下の重量は中程度以上遺伝的要因との関連性が示唆される(40〜80%程度)。

記憶に重要な役割を担う海馬は高齢者において、70%以上遺伝的要因との関連性が見られる。

大脳皮質において、動きや記憶などに関わる前頭葉や視覚に関わる後頭葉は70%以上遺伝的要因との関連性が見られる。

脳には3つの遺伝的要因と関連するクラスターが存在し、同じ遺伝子が複数の場所に影響していると考えられる。一つのクラスターは前頭葉の中に存在する4つの場所であり、残る二つは皮質下に存在する。

この結果は、遺伝子により脳の領域を分割するという新しい観点の研究分野を切り開く重要な結果である。

そして脳の発達に関連する特定の遺伝子を見つけ出すため、ビッグデータによる解析を用いて、より効率的に研究を進めるという。

双子を研究に用いることの利点

なぜ彼らは双子に注目し、研究を進めたのだろうか?

双子には遺伝子が全く同一の一卵性双生児と半分同じ二卵性双生児がある。

もし遺伝子が関連している現象の場合、一卵性双生児は二卵性双生児より似通った特徴をもつこととなると考えられる。

今回の研究結果により、遺伝子と脳の構造の関連性が示唆されたものの、その関連がそれほど高くなかったことに研究チームは驚きを隠せない。

脳はものすごく複雑な臓器であり、遺伝的要因だけでは全く同一の構造を作るといいうわけではないのだ。

研究チームは今回の研究をさらに推し進め、新しい脳の知見を得ることに期待を寄せている。

遺伝子と身体の発達が強く示唆される一方、環境による要因というのも見逃せません。近年では法規制はされているものの、ヒトの遺伝子も操作できるようになり、自分の望む子供をデザインするといったデザイナーズベイビーを期待している人もいることでしょう。デザイナーズベイビーの倫理的、社会的な良し悪しは別として、今回の研究が示唆することは、遺伝子だけではヒトの全てを決めることはできないということを忘れないでください。遺伝子はあくまでも一つの要因であり、生活環境や経験も子供の発達に大きく影響し、その後の人生を形づくっていきます。こう考えてみると、本当にデザイナーズベイビーが必要なのか?議論が尽きないことでしょう。

元記事はこちら(Twin study helps unravel the genetic blueprint of the human brain)

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