再生可能エネルギーが生み出す電力を設置前から算出できるツールの開発〜Renewables.ninja〜

再生可能エネルギーを効率よく得るためには、場所や向き、天候、装置の性能など数多くの要因の検討が必要です。各地の過去30年間の天気データと発電装置の性能値を用い、再生可能エネルギーの発電量を計算できるツールの開発が行われています。

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再生可能エネルギー

みなさんが日々使っている電気。その電気はどうやって作られ、私たちの生活を支えているかご存知だろうか?

火力、水力、原子力。電気を作り出すのには様々な方法があるが、これまで一番多く使われてきたのは火力だろう。

簡単に言うと、石油など化石燃料を燃やし、湯を沸かすことで得られる蒸気圧の力でタービンを回し電気を作り出す。

石油は掘れば出てきたし、水を沸騰させるという簡単さから発電方式の主流として用いられてきた。

だが石油を始め化石燃料の枯渇が懸念されるのと同時に、燃焼により生ずる排ガスが地球温暖化や大気汚染の原因となることから、枯渇の心配がなく、環境に負荷をかけないエネルギーを開発するようになった。

そのようなエネルギーを再生可能エネルギーと呼ぶ。

古くから用いられているものとしては、水力発電や風力発電があるが、近年では太陽の光をエネルギーに変える太陽光発電が注目を浴び、世界中で積極的に導入されている。

だがこのような自然の力を利用した発電方式にはまだまだ問題がある。

一番の問題は発電量が自然により左右され、一定ではないことである。

水力発電では雨があまり降らない地域では使用できないし、風力発電では風の強さや向き、太陽光発電では天気によって左右されてしまう。

また大量の電力を作り出すためには、広大な土地が必要であるため、どこに建設するかという問題が生ずる。

Renewables.ninja

インペリアル・カレッジ・ロンドンとチューリッヒ工科大学の研究チームは、再生可能エネルギーを作り出すため、どのくらいの電力量を生み出せるか簡単に算出できるツールを開発した。

そのツールの名前はRenewables.ninjaと名付けられた。

このRenewables.ninjaはNASAのような世界的な研究機関が集めた30年間の天気の観測データと風力発電や太陽光発電パネルを製造・販売している企業から得られる性能を用い、どこに風車や太陽光発電パネルを設置したら、どのような効率が得られるか算出できるようになっている。

実際に彼らが発表した論文には、ヨーロッパで建設予定や建設中の全ての風力発電所の今後20年間の効率を推測している。

その結果、もし一年中毎日強い風が吹いているとした場合、ヨーロッパに現在ある風力発電所の発電効率は24%だという。

また風車を海に向かって設置した場合、風力は強くなることから、約31%程度まで上昇すると計算している。

風力発電や太陽光発電のメリット

太陽光発電は世界中で建設され、現在莫大な電気を生み出している。

晴れの日が多いわけでもないイギリスにおいても、夏の日差しが強い日では原子力発電よりも多い電力を生み出している現状がある。

だが先にも述べたように、問題点は天気というのは変化しやすく、発電量が左右されてしまうことだ。

電力は安定的に供給される必要があり、曇りだからといって電力供給量が下がってしまうのは好ましくない。

そのため風力発電も太陽光発電もメインの発電方式としてはなかなか利用は難しい。

しかしながらこれまでの発電方式と大きく異なる点がある。

それは発電のONとOFFの切り替えが容易だということだ。

火力発電にせよ、原子力発電にせよ、一度動かしたらある一定期間は動かしっぱなしとなる。

多少の変動には対応できるが、大量に電気があるからといって、発電を止めてしまうと、再度立ち上げるのに時間もコストもかかる。

そして現在の技術では、安定的に電気を保管するというのは困難なため、使われない電力を作り続けるというのは、燃料を浪費することに他ならない。

だが風力発電や太陽光発電は燃料を用いているわけではないので、単純に送電線から外してしまえば、必要以上に電力を送ることはない。

また必要な時には再度送電線に繋げば、送電を始める。

必要な分を必要なだけ送らなければいけない電力供給において、簡単に送電量を調節できることは大きなメリットなのである。

Renewables.ninjaの価値

再生可能エネルギーの商業発電において発電効率を向上させるため、設置前からその効率を算出できるRenewables.ninjaは重要な意味をもつ。

だがこのツールは何も商業発電に限ったことではない。

学術的にも大きな意味をもち、例えばある地点において発電効率の将来予測を行いたい場合、まずは天気の変化や風力発電装置や太陽光パネルの性能などを盛り込んだモデルの構築から始めなければならない。

多くの研究者が再生可能エネルギーに関して研究を行っている現在、それぞれの研究者がモデルの構築に時間を費やすのは時間の無駄である。

もし場所や発電装置などを選択するだけで、発電予測効率を弾き出してくれるツールがあれば、大幅な時間短縮となるのである。

それがRenewables.ninjaというわけだ。

日本では民間企業も参入し始めた電力供給。その発電方式に再生可能エネルギーを積極的に導入している企業も少なくないです。ビジネスとして成立させるために重要なのは、やはり発電効率。発電効率が悪ければ、同じ電力量を供給するためにより多くの発電装置を設置しなければいけなく、逆に発電効率が良ければ、同じ面積の土地に多くの発電装置を設置することができます。場所や装置の性能により、前もって発電量が分かれば、対策や増設の予定もたてやすくなることでしょう。日本では水力、太陽光、風力、バイオマス、地熱などの自然ネルギーによる年間発電量の割合は2014年度において12.6%であり、風力発電は0.5%、太陽光発電は2.2%にとどまっています。今後さらに増加すると考えられますが、より効率的に再生可能エネルギーでの発電量を増加するため、このようなツールが大きく貢献してくれると願っています。

元記事はこちら(New tool can calculate renewable energy output anywhere in the world)

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