クジラの生活を明らかにするための新しいセンサーによりこれまで謎だった捕食行動が明らかに?!

地球最大の生物クジラ。普段の生活ではなかなかお目にかかることはできませんが、世界各地でホエールウォッチングツアーなるものが毎日のように開かれています。それでも実は分かっていないことって多いのです。彼らがどうやって餌を食べているのか、どれくらい食べているのか、それを明らかにするため、新しいセンサーを開発し、研究が進められています。

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クジラ

地球上で最も大きな生物であるクジラ。

古くから捕獲され、肉は食肉に、ヒゲは工芸品に、油は工業用品にと様々な分野において利用されてきた。

このように長い間、利用されてきたクジラだが、まだまだ分かっていないことも多い。

その一つにクジラの食ということがある。

クジラはその巨大な身体を保つため、小さな海の生物を大量に捕食していると考えられるが、実際にどのように捕食しているのかということは明らかになっていなかった。

そこでハーバード大学が最新の技術を用い、その謎に迫ろうとしている。

クジラの捕食メカニズムの説

これまで明らかになっているのは、160トン級のシロナガスクジラが途方も無い量のオキアミを捕食する行動に関してである。

シロナガスクジラは4メートル毎秒という速度で泳いでおり、捕食においては、大きく口を開け、その中の生物を取り込む。

だがもちろん海の中なので、シロナガスクジラの体積の140%というこれまた大量の海水が口の中に入ってくるが、口の中にある大量のヒゲで生物のみ捕獲し、海水は外に出す。

そしてヒゲで捕まえた獲物を体内に取り込む。

このような動作はほぼ常時行われていると考えられる。

だが本当のメカニズムというのはまだ明らかになっていなかった。

クジラの生態調査

ハーバード大学の研究チームは、クジラが海に潜る直前に新しいセンサーを取り付け、その姿を撮影することに成功した。

その映像がこちらだ。

この研究により、これまでよりもより詳細なクジラの捕食行動が明らかになったという。

一体どのようなことが明らかになったのだろうか?

Lunge feeding

ナガスクジラやシロナガスクジラ、ザトウクジラ、ミンククジラに見られる特徴的な捕食行動として、Lunge feedingという捕食方法がある。

これは先に説明した通り、海の中でクジラが大きな口を開け、海水とともに餌を口の中に取り込み、餌のみをヒゲで濾し取って、海水を外に出すという捕食方法である。

この行動が完全に解明されることにより、巨大なクジラがなぜ小さな生物を捕食するだけで生存できるか明らかになるという。

そのためには、生体力学や解剖学の知識が必要で、どのようにしてクジラ自身の体積よりも大きな体積の海水を取り込み、小さな生物を捕食しているのかということを明らかにする必要がある。

クジラの生態調査のためのセンサー

これまでにもクジラには様々なセンサーが取り付けられてきた。

例えば加速度計、磁気計、圧力計、サウンドレコーダーなどである。

このようなセンサーはクジラがどのように動いているかということを明らかにしてきたが、その生活に関しての詳細というのは明らかになっていなかった。

例えば研究チームは2006年に発表した研究の中で、クジラは最高速の時に口を開け、捕食すると仮説を立てていた。

だが他の研究者は最高速に達するほんの数秒前に口を開けると主張していた。

このような主張をどうやって証明すればいいのか、研究チームは他のクジラ研究者やエンジニアと共同で新しいセンサーの開発に取り組んだ。

新しいセンサーには、これまで使われている加速度計などのセンサーに加え、ビデオ撮影が可能なようにカメラを取り付けた。

そして南アフリカやパタゴニア、アメリカ西海岸、アメリカ東海岸の生息しているクジラに取り付けた。

上に述べたように研究チームは最高速の時にクジラは口を開け、口を閉じる頃に通常のスピードに戻るということを主張していた。

だが実際に得られた映像からはそうではなく、それぞれ異なるタイミングで口を開けていたのだった。

クジラだけではなく、魚も救え!

これまでザトウクジラは捕鯨による個体数の減少のため、絶滅危惧種に指定されていた。

だが近年では個体数が回復し、絶滅危惧種のリストから除外されることが検討されている。

一方ナガスクジラ種に属する8種のうち、3種は個体数の計測において、十分なデータが集まっていないため、まだ絶滅危惧種にしていされている。

クジラを絶滅から救うためには、クジラがどのように餌を捕食し、どれくらいの量食べ、どういう生活を営んでいるかもっと詳細に知ることが必要となる。

今回のような研究はそのために重要な情報を与えてくれることだろう。

またそればかりではなく、クジラのような巨大な生物は、その餌となる魚などの生物を大量に消費する。

つまりクジラが生活するだけで、海の生態系に大きな影響を与えることが考えられるのだ。

だが現在ではクジラが1日にどれくらいの量の生物を捕食しているか不明であり、推測をしているものの、それが正しいかどうかは評価できない状態なのだ。

クジラを知る、海の生物のことを知る。

そのためにも今回のようなクジラの生態を詳細に解析できるセンサーというのは重要なのである。

その大きな身体のため、捕獲して水槽の中で観察するということができないクジラ。そのためかその生態に関しては謎が多いようですね。様々なセンサーやカメラが開発され、少しずつ明らかになっていくその生態ですが、すべての謎を解き明かすにはまだ時間がかかりそうです。それにしても商業捕鯨が中止されたためか、その個体数が増加傾向にあるということは喜ばしいことでしょう。しかしまだ気候変動や環境問題により大きく影響を受ける可能性があるため、今後も注意深く調査を続ける必要があるのかもしれません。地球という一つの場所において、一つの問題が他の問題を引き起こすということも少なくないため、幅広い調査、研究が行われ、様々な分野から問題に取り組んでいってほしいなと思います。

元記事はこちら(Stanford researchers reveal details about the unique feeding habits of whales)

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