4,000年前の古代人の歯を解析することにより、彼らがイギリス中を移動していたことを示す?!酸素同位体による古代人の移動をマッピング!

車も飛行機もない古代。それでも人々は安住の地を求め、大陸中を移動していました。ですが、一体どのルートを通って人々は移動していたのか、現在においてはなかなか知ることはできません。歯のエナメル質に含まれる酸素同位体という物質を調べることで、古代の人々の移動を明らかにしようという研究が進められています。

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同位体

原子は正の電荷を帯びた陽子とそれを電気的に中性な中性子により原子核が作られ、その周りを負の電荷をもつ電子が飛び回っている構造をしている。

例えば、炭素では6つの陽子と6つの中性子、そして6つの電子からなる。

しかしながらたまに中性子の数が異なるものがあり、例えば炭素では中性子の数が1つ多い炭素13と、さらに一つ多い炭素14などが天然中に存在する。

特に炭素14は長寿命の放射性同位体であり、5700年で半減することが知られている。

つまり物質中の炭素14の量を知ることにより、その物質がいつ作られたのか知ることができるのだ。

古代人の歯から生活様式を解明する?!

オックスフォード大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、ダラム大学、マックスプランク研究所などの共同研究チームは古代人の歯を調べることにより、その時代の気候や食事、どのように移動したかなど、古代人の生活の謎を解き明かそうとしている。

彼らが用いるのは酸素同位体である。

酸素の同位体としては、通常の酸素16を主とし、中性子の数が一つ多い酸素17、さらにもう一つ多い酸素18が存在する。

酸素は通常、植物や動物に吸収され、最終的にはそれらを食したヒトの歯のエナメル質に固定化される。

だがもちろん歯の形成時期のみなので、子供時代の食生活の影響を反映していると言えよう。

その際、酸素同位体の比率はどのような場所で、どのような食物を食べたかにより変化する。

研究チームは、古代人の歯において酸素同位体の比率を調べ、古代人の生活を明らかにしようとしているのである。

元からいた人か、外から来た人か

研究ではストーンヘンジ、ピークディスクリクト、ヨークシャー・ウォルズなど紀元前2500年から1500年頃の古代人が永眠の地として使用していた埋葬地から採取した。

その中で261の個体から得られた歯の歯冠に関して、酸素同位体の解析を行った。

この解析では歯冠が形成される2歳から8歳までにどのような環境で育ったかということを明らかにすることができる。

その中でもしその地で長く定住している人の歯であれば、周囲の人と同じような食生活をしていることが考えられるため、他の多くのサンプルと酸素同位体の比率が似通うことだろう。

だがもし他から移住してきた人だとすると、その人の子供の頃の生活は周囲の人とは異なるため、酸素同位体の比率が他のサンプルと大きく異なると考えられる。

実際、今回採取した歯では酸素同位体の比率は驚くほどバリエーションに富んでおり、どこから来たのかはまだ不明だが、ヨーロッパ中を移動してきたと考えられる。

今後、様々な地の古代人の歯の酸素同位体を解析し続けることにより、古代人がどの様に大陸を移動してきたのかが明らかになることだろう。

古代人の生活を知るというのはなかなかロマンのある研究ですね。現在では分からない昔の話。考古学者は昔の人がどのように生活し、どのように移動したのか想像しながら研究を進めています。もちろんそこには想像だけではなく、れっきとした事実を示す研究結果が必要なのですが、なかなかその足掛かりとなるデータを示すのは難しいことでしょう。

そのような古代の研究を行うにあたって、よく利用されるのが炭素同位体だったり、酸素同位体だったりします。どちらの原子も太古の昔から世界中に豊富にあり、その量を調べることにより、どの時代に作られたとか、どの時代に摂取されたかなど、古代人のフットプリントとして役立てることができるのです。

現代科学はこのように最新の技術を用い、新しい時代を切り開くだけでなく、文献が残っていない太古の昔の文化や生活を明らかにしようとしています。過ぎ去った歴史を調べることは、新しい時代を切り開くためにも重要なことであるため、今後もこのような研究は続けられていくことでしょう!

元記事はこちら(Ancient Britons’ teeth reveal people were ‘highly mobile’ 4,000 years ago)

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