大人になった時のテロメアの長さは、子供の頃のストレスによって変化する?!健康長寿と関連する子供の頃の生活環境とは?

生物の寿命を決めていると言われているテロメア。増殖をすればするほど短くなっていくテロメアですが、その長さは人それぞれ。一体、このテロメアの長さというのは何に依存しているのでしょうか?カルフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームが、テロメアの長さは子供の頃の生活環境に依存しているという研究結果を報告しました。

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テロメア

細胞が増殖する際、遺伝子もコピーされる。

だがヒトを始めとする真核生物では、遺伝子をコピーする回数が制限されているという話を聞いたことはあるだろうか?

ヒトの遺伝子は通常は染色体という一本の鎖が折りたたまれた形で保存されているが、その末端にテロメアという領域が存在する。

遺伝子は二本の鎖が絡まりあい、一本の鎖となっているが、複製する際に二本の鎖は解かれ、それぞれを鋳型としてコピーされる。

その複製のシステム上、どうしても末端は複製できない領域となってしまう。

それを補うために無意味な繰り返し配列であるテロメアが存在する。

複製されるたびにテロメアは短くなっていくが、テロメアーゼという酵素がそれを延ばす機能をもっている。

しかしながらヒトのテロメアーゼはあまり働いていないか、細胞によっては存在しなかったりする。

つまりヒトの細胞はその増殖回数がテロメアにより決められており、そのためテロメアは寿命を決めていると言われている。

子供の頃の生活環境とテロメアの長さ

カルフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームが、子供の頃の生活環境が大人になった時のテロメアの長さと関連しているということを報告した。

研究チームは16年以上に渡って、U.S. Health and Retirement Studyの中で50歳以上の健康で経済的に恵まれている4,598人のデータを分析した。

その結果、子供の頃に警察とトラブルがあったり、留年したり、身体的虐待をされていたり、親のドラッグ乱用やアルコール中毒により虐待されていた人では、テロメアの長さが有意に短くなっていたという。

つまり子供の頃に強烈なストレスを受けると、テロメアの長さが短くなるということだ。

テロメアの長さは大人になった時の健康と関連していることから、いかに子供にストレスをかけずに育てるのかということが社会的にも家庭的にも今後大きな課題となることだろう。

一時期寿命とテロメアの関連性がニュースなどで大きく取り上げられましたが、現在ではあまり話題になることはなくなりました。ですが研究業界では依然として、その重要性やメカニズムに焦点を当てた研究は続けられており、今回のように健康や寿命とテロメアの長さの関連性を明らかにしようという研究者はまだまだいます。

今回の研究で子供の頃に受けたストレスが大人になった時の健康に関連しているということが示唆されたわけですが、こうなるといかに子供の頃のストレスを軽減させるかということが重要になってきます。感受性の高い子供にとっては多くのことがストレスとなるため、政策としても、また家庭としてもどうやって子供を育てるのかという指針が必要となることでしょう。

そのためには我々大人が子供にとって良い環境作りを進める必要があり、大きく現状を変えていかなければいけないかもしれません。一体、我々大人が子供に何ができるのか、今一度考え、そして行動する必要があることでしょう。

元記事はこちら(Childhood Adversity Linked with Shorter Telomeres. Psychological and Social Stress Associated with Health Risks in Adulthood)

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