次世代の再生可能エネルギーとして注目されている水素を効率良く作り出せるのは隕石かもしれない?!

世界中で再生可能エネルギーとして注目されている水素。現在ではなかなか効率よく水素を作り出せないため、石油燃料と比較しても高コストになってしまいます。この効率をいかにして上げるか、それが現在の科学の課題の一つですが、その答えは隕石が持っていたかもしれません。

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ギベオン隕石

ナミビア ハルダプ州で1836年に発見された隕石であるギベオン隕石。

約4億5000万年前に地球に落下したと考えられている。

鉄91.8%、ニッケル7.7%、コバルト0.5%、リン0.04%、ガリウム1.97 ppm、ゲルマニウム0.111 ppm、イリジウム2.4 ppmが含まれるこの隕石は現地人により、槍などの武器を作るのに使用されていた。

これまでに26000 kgが回収されており、網目状のウィドマンシュテッテン構造と呼ばれる独特の構造をしているため、現在では装飾品等に利用されている。

このウィドマンシュテッテン構造は鉄とニッケルを加熱溶解後、ゆっくり冷却することにより、ニッケルの少ない部分と多い部分に分かれることにより形成される。

ただし隕石に見られるウィドマンシュテッテン構造を作り出すには、100万年以上かかると見積もられていることから、現在の科学では同じ構造を作り出すことは不可能だと言われている。

電気の力を化学の力へ!

スイス連邦工科大学ローザンヌ校の研究チームは再生可能エネルギーを作り出すのに、このギベオン隕石が有力な手段となることを報告した。

再生可能エネルギーやクリーンエネルギーを作り出すのに一つの鍵となる技術が電気を化学的エネルギーに変換するということだ。

化学的エネルギーに変換するというのは、物質を化学的に結合させ、低エネルギーの物質を高エネルギーの物質に変換するということだ。

その際に必要となるのが、電気を化学エネルギーに変換する電気触媒である。

もちろん大量のエネルギーを変換するため、このような電気触媒は強固で、効率が良く、安い物質である必要がある。

そこで研究チームは現在の自然界にトンのオーダーで存在するギベオン隕石に注目した。

水を分解せよ!

電気のエネルギーを化学のエネルギーに変換するというのは一体どういうことだろうか?

現在広く研究が行われている物質は水である。

水は酸素と水素が結びつき安定に存在している、つまり低エネルギーの物質だ。

水に電気をかけると酸素と水素に分解される。

この水素はご存知の通り、酸素と混和した状態で火に当てると爆発するほどの高いエネルギーをもった物質である。

水素は次世代エネルギーとして注目されており、その水素をいかに得るかということが現在の科学技術において、重要な課題の一つとなっている。

触媒の登場!

しかしながら、水にそのまま電気を流したとしても、その効率は著しく低い。

つまりコスト的に高くなりすぎてしまう。

その効率を向上させる物質が触媒だ。

触媒はそれ自身は変化はしないが、反応を助ける役割があり、通常必要とするエネルギーよりもずっと低いエネルギーで反応を起こさせることができる。

現在、世界中で水を分解するための触媒の研究がされているが、なかなか実用化までには至っていない。

そこで今回、研究チームは水分解の触媒にギベオン隕石を使おうと思い立ったのだ。

ギベオン隕石自体は鉄とニッケルが混ざった金属だ。

鉄自体は地球上に豊富に存在しており、価格も安い。

そしてこの鉄に微量の他の元素を加えることで、高い電気触媒性能を示すということが知られている。

ギベオン隕石はまさに電気触媒として望ましい性質を兼ね備えていたわけだ。

そこで研究チームはギベオン隕石を薄くスライスし、ミラーのように研磨して、水分解の電極として用いたところ、現在の人間が作り出した触媒を超えるほどの最高の性能を叩き出したという。

今回の研究は自然の力というものは、時には人間が考えるよりもはるかに良い性能を生み出すことがあるという一例だろう。

トヨタが次世代の燃料電池自動車として水素自動車MIRAIを発表し、世界中で水素自動車の開発が活発に行われています。ですがその水素をどうやって安く作り出すのか、それが一つのハードルとなっています。現在の研究者は、独自の考えにより様々な物質を混合したり、電極につけたりすることで、水素を合成する効率を少しずつ向上しています。

今回の隕石を使った研究で、世界最高性能に匹敵する性能が出たと報告されましたが、記事中には残念ながら変換効率が書かれておらず(論文にはかかれているのでしょう)、どれくらいの性能が出ているかは読み取れませんでした。

今回注目すべきは隕石に含まれる元素は地球上でも手にはいる物質であり、この混合比が重要なのか、隕石にある特殊なウィドマンシュテッテン構造が重要なのかという点でしょう。もし単純に混合比が重要なのであれば、簡単に再現することは可能ですが、逆にウィドマンシュテッテン構造が重要なのであれば、なかなか先は開けないかもしれません。

現在、水素を安価に作り出そうと世界中の研究者がしのぎを削っているわけですが、一体どの研究者がその栄光を手にするのでしょうか?もし誰にも負けないほどの高効率で水素を得ることができれば、莫大な利益を得ることができるかもしれない、今回の研究はそんな研究の一例でしょう。

元記事はこちら(A meteorite could help with cheap storing of renewable energy)

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