アルツハイマー病を遺伝子治療により克服する?!ウイルスを用いた治療法に向けて!

不治の病とされ、進行を止めることも、治療する方法も確立されていないアルツハイマー病。認知症の一種であり、進行すると食事や着替え、意思疎通さえもとれなくなり、最終的に寝たきりとなってしまいます。現在、世界中で高齢化に向かっており、患者数が増加しているため、一刻も早い治療法が望まれています。

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アルツハイマー病の治療に光?!

インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが、アルツハイマー病の治療法につながるかもしれない発見を報告した。

彼らはある種のウイルスを用い、患者の脳に遺伝子を送り込み、アルツハイマー病を治療する手法を検討している。

アルツハイマー病の患者数はイギリスで52万人、世界中で4750万人に達すると言われている。

さらに2050年には現在の3倍の1.3億人まで増加すると推測されており、認知症の中でも特に患者数の多い病気である。

その発症メカニズムはいくつか仮説があるが、有力なのはアミロイドβと呼ばれるタンパク質が変性し、脳の神経細胞に蓄積することで神経細胞を機能不全にしてしまうという仮説だ。

研究チームはこれまでにPGC1-αという遺伝子がアミロイドβの変性を抑えることができるという研究結果を報告している。

だが遺伝子が見つかったものの、この遺伝子を脳の神経細胞に運ぶという高いハードルが存在していた。

ウイルスが遺伝子の運び屋になる!

そこで研究チームは、遺伝子操作したウイルスをPCG1-α遺伝子の運び屋として用いる実験を行った。

この手法はレンチウイルスベクターシステムと呼ばれ、現在遺伝子治療に一般的に用いられているシステムだ。

ウイルスは遺伝子がタンパク質の殻で包まれた構造をしているが、ウイルスが細胞に入り込むと細胞のシステムを乗っ取って、ウイルスの遺伝子とタンパク質を感染した細胞に作らせ、ウイルスを複製させる。

その後、再度遺伝子をタンパク質の殻で包み込み、細胞の外へ出て、次の細胞に感染するということを繰り返す。

ウイルスはこのように細胞のシステムを利用し、自分自身を増やしているのだが、現在では逆に人間がこのシステムを利用し、ウイルスの遺伝子に細胞に送り込みたい遺伝子を挿入することで、多くの細胞に効率的に特定の遺伝子を運ばせることができる。

実際に研究チームではこれまでにレンチウイルスベクターシステムを用い、パーキンソン病の患者の脳に遺伝子を送り込むという治験を行い、成功を収めている。

マウスでは大きな効果を実証!

研究チームは初期のアルツハイマー病のモデルマウスを用い、PCG1-α遺伝子をレンチウイルスにより治療を検討した。

アルツハイマー初期では、アミロイドβタンパク質による脳の損傷は見られない。

治療を行い4ヶ月後、遺伝子治療を行ったマウスと行っていないマウスを比較すると、遺伝子治療を行っていないマウスでは、脳の損傷がいくつも見られたが、遺伝子治療を行ったマウスではほんの少しの脳の損傷に抑えられていた。

その上、アルツハイマー病に罹患すると短期記憶に障害が出るが、遺伝子治療を行ったマウスでは、健康なマウスと同等の記憶力を保っていた。

この結果は初期のアルツハイマー病の治療法に繋がる可能性を示唆したものであり、ヒトでも同様の効果があるのか、早急な検討が期待される。

一度失われてしまうと、ほぼ戻ることがないと言われている脳の神経細胞。いかに神経細胞の死滅を抑えるかというのが、健康的な高齢期を迎えるのに重要だと考えられます。しかし神経細胞の死滅により起こるアルツハイマー病の原因は、現在アミロイドβの変性蓄積のためだという仮説が有力ですが、ではなぜアミロイドβが変性してしまうのか、その原因というのはまだまだ解明されていません。原因を知ることで、対策を考えるというのが直接的な方法ではあるのですが、なかなかそのような考えをすることができないのが現状なのです。

そこで現在、アミロイドβの変性をいかにして抑えるのか、ということに焦点が当てられているわけです。それでもアミロイドβの変性なしに、アルツハイマー病を発症する例もあり、アルツハイマー病の治療法の確立を困難にしています。

高齢化社会に突入し、認知症の問題は避けては通れない状況になっているのですが、なんとか治療法を編み出そうと世界中の研究者が様々な角度から研究を続けています。早くその努力が実り、認知症の治療法が確立されていることを願っています。

元記事はこちら(Alzheimer’s disease could be treated with gene therapy, suggests animal study)

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