太陽光の中にも含まれる紫外光を利用した医療器具の開発?!強烈なパワーをもつ光でバイオフィルムを破壊せよ!

私たちの生活の中でなくてはならない光。実は太陽光の中には、人間にも、そして他の生物にとっても害となる光が存在するのはご存知でしょうか?日焼けの原因となる紫外光は強いものでは、細胞の中のDNAを破壊するほどの強いエネルギーをもっています。それをうまく活用することにより、抗生物質では殺せない微生物を除去する強力なツールとなるかもしれません。

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太陽光

太陽から得られる光の中には様々な色の光が存在する。

赤、青、緑、それぞれの光は波長が異なることから、人間の目にあるセンサーでそれぞれの波長を検出し、脳で色として認識される。

これらの光は可視光と呼ばれ、実は光の中の一部でしかない。

光の中には、人間が検知できない光というものが存在する。

それが紫外光と赤外光である。

その中でも紫外光は人間にとって日焼けを起こす原因となる光だ。

紫外光

紫外光の波長は可視光より短く、100 nmから400 nm程度だ。

波長が短いということは、エネルギーが強いことと同義であり、それが皮膚細胞を痛めつけるため、日焼けという生理現象として現れる。

だがこの紫外光は何も人間に害をなすばかりではない。

微生物にとっても害であり、微生物を殺すことができることから、殺菌の目的で利用することがある。

紫外線は三種類に分けられ、波長が長い方からUV-A、UV-B、UV-Cと分類される。

UV-Aは日焼けを起こす原因となる紫外線だ。

UV-Bはそのほとんどがオゾン層により吸収され、地表に届く量は少ないが、皮膚に当たった際、UV-Aより大きなダメージを与える。

しかし人間にとって必要な光であり、体内でビタミンDを活性化させるのに用いられる。

UV-Cはさらにエネルギーの大きい光であり、生物に当たった際、大きなダメージを与えるが、オゾン層に全て吸収されることから、地表に届くことはない。

抗生物質では殺せない微生物たち

デンマーク工科大学の研究チームは、この紫外光をLEDライトで再現し、微生物との戦いに用いようとしている。

人間は長い間、微生物との戦いに抗生物質を用いてきた。

抗生物質は微生物の生命活動を止める、いわば毒のような働きをする。

しかしながら近年、微生物が進化し人間が開発してきた抗生物質に耐性をもつ微生物へと変貌を遂げたり、何種類かの微生物と共生したバイオフィルムという状態を作ることにより、抗生物質が効かない環境を作り出す微生物たちがいることが明らかになってきた。

このような微生物たちをどのようにして排除するか、それが現代の医療の課題となっている。

紫外光を医療に活用する!

そこで研究チームが検討しているのが、紫外線の医療への活用、特にバイオフィルムの除去への利用だ。

研究チームは当初バイオフィルムを取り除くには、一番エネルギーが強く、殺菌作用が強いUV-Cがベストだろうと考えた。

しかしUV-Cのみならず、UV-Bも検討をしていく中で、UV-Bでも十分な殺菌作用があることが明らかとなった。

UV-Cは細胞の中に含まれるDNAを破壊してしまうほど、人体にとって危険な光である。

UV-Bも細胞にダメージを与えるが、そのダメージの量はUV-Cと比較しても弱く、人体にとってより影響が少ないと言える。

この検討では研究チームが研究室で作り上げたバイオフィルムを用いて検討しているが、現在、実際に患者の歯根のバイオフィルムを用いて実験するため、治験の許可を得ようとしている。

そのためには患者への影響を最小限に留めるため、正確に歯根のみにUV-Bを照射できるようファイバーオプティクスの技術が必要となる。

その安全性と強力な殺菌作用をうまく使い分けることにより、将来的に抗生物質の代わりにUV-Bが使われる日が来るのだろうか。

実際に紫外光は医療器具や実験器具を殺菌するために用いられています。また私たちの生活に密着したものとしては、水や食品の殺菌や害虫駆除などにも利用されています。しかしながら通常、蛍光灯のような大きな形をしているため、スポットで当てるのは難しかったかと思います。

ですが近年、LEDライトが発達し、様々な色のLEDライトが開発されてきました。もちろん殺菌という分野のために、紫外光のLEDもその例外ではありません。そのため紫外光の装置はより小型になり、手軽に利用出来るようになったため、新たな医療用途に利用出来るようになったのです。

ある一つの技術が発達すると、新たな応用分野が見つかるというのはよくあることですが、紫外光の分野もさらに広く利用されるようになるのかもしれません。

元記事はこちら(Ultraviolet light—antimicrobial agents of the future)

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