遺伝子操作した植物が薬を作り出す!薬を広い地域に安価で供給するためのシステムの構築!

体調が悪いとき、頼りになるのが薬。錠剤だったり、カプセルだったり、はたまた液体状だったり、様々な形がありますが、もしかしたらそのイメージが変わるかもしれません。世界中に有用な薬を安価に広げるため、植物に薬を作らせるというプロジェクトが進行しています。もしかしたら、将来の薬はその植物の種を食べたり、葉っぱを食べたり、まるで食品のようになるのかもしれません。

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医療制度における貧富の差

クイーンランド大学の研究チームは、植物に薬を作らせ、その植物を世界中で栽培するという研究を進めている。

何故、薬を植物で作らせるのが必要なのだろうか?

現在、薬は薬品会社の工場で厳重に管理され、有機化学合成やバイオテクノロジーにより作られている。

だがその合成ステップが複雑になればなるほど、設備も複雑になり、最終的なコストは増大してしまう。

もちろんその合成コストは、最終的には消費者への価格として反映され、良い薬であってもお金の問題で使用できないといった問題が生まれてくる。

日本では健康保険制度が充実しており、実際にかかった費用よりもかなり安く医療が受けられる。

それでも医療費が高額になった場合、国からの補助が受けられる。

しかしながら日本のように健康保険制度が整っている国ばかりではない。

世界には良い薬があってもお金の問題で使用できない人々はたくさんいるのだ。

薬を作り出す生きた工場!?

そこで研究チームが考えたのは、いかに安く薬を作り、多くの人を病から救うのかという事である。

その目的のため、彼らは菜種やアブラナ、ペチュニアを遺伝子操作する事で、薬を作り出す生きた工場として用いようとしている。

薬を作り出す植物を栽培できれば、専門的な工場を必要としないため、広い地域で薬を作ることができ、必要な薬が安価に消費者にわたる可能性が高い。

環状ペプチド

ある種の植物は環状ペプチドと呼ばれる特殊な物質を作り出す。

ペプチドとはアミノ酸が数個つながったものであり、通常は一本の鎖として生物の体内で合成される。

もしこのペプチドが長くなり、20個程度以上になった場合は、タンパク質となる。

環状ペプチドは文字の通り、このペプチドの両末端がくっつき、円になったものである。

近年、この環状ペプチドは抗生物質作用など、薬の作用をもつものがあることが分かってきており、生命科学としても薬学としても大変興味深いペプチドである。

彼らは遺伝子操作した植物に様々な環状ペプチドを作らせることで、薬として利用しようと考えているのだ。

目標としては2025年までに、ガンや循環器疾患、多発性硬化症、痛みに対する薬において、世界中に広めるための承認を得ることだ。

植物を遺伝子操作することで耐病性や耐寒性、耐熱性を向上させ、より多くの収穫を得ようという研究はみなさん聞かれた事があるかもしれません。もちろん味や栄養に関しても遺伝子操作でよりよくしようという試みもあります。植物の遺伝子操作ができるようになったことで、様々な方向性の研究ができるようになったということでしょう。

ただどんな植物でもできるのかと言われると、なかなかそうもいきません。ある植物でうまくいった方法が、他の植物ではうまくいかないなんてことはざらにあります。アブラナやタバコ、ペチュニアは遺伝子操作でよく使われる植物なので、今回の研究チームもまずはこれらから試しているのだと思います。

植物の生育はもちろん環境に大きく依存するため、ターゲットの地域と薬が決まったら、最適な植物の選択や遺伝子の最適化などが必要となるかもしれません。つまり専門的な知識をもった人が必要となるかもしれないというっことです。こういった遺伝子操作作物が広く使われることで、人々の命を救い、雇用を生み出すと思うと、結構遺伝子操作もいいもんだと思いませんか?

元記事はこちら(Medicine will grow on trees at UQ)

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