肥満の原因が見つかった?代謝を司る酵素の働きが阻害されることにより肥満になっているかもしれない!

健康に人生を過ごすために、肥満が世界中で大きな課題となっています。ですが何故肥満となるのか?単に運動不足やカロリーの摂り過ぎだけなのでしょうか?太りやすい体質や痩せやすい体質というのは、代謝能力の違いだと言われていますが、ある酵素が異常をきたすことにより、代謝をスイッチオフしてしまうメカニズムが解明されました。

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肥満と関連する酵素:ABHD6

モントリオール大学の研究チームが、肥満と関連しているある酵素が脳内で体重の増減に影響を与えていることを報告した。

その酵素の名前はalpha/beta hydrolase domain-6、略称でABHD6と言う。

この酵素はモントリオール大学の他の研究チームが2014年に脳内物質の一つであるエンドカンナビノイドを分解する酵素として発見された。

ちなみにエンドカンナビノイドは、大麻に含まれるカンナビノイドの類似物質であり、ランナーズハイなどを起こす脳内麻薬である。

2014年の発表では、このABHD6の機能を特定の臓器において阻害すると、その周辺の脂肪組織の増大が阻害され、肥満や2型糖尿病の予防に効果があると報告されている。

マウスを用いた実験

研究チームはマウスの遺伝子操作を行い、脳の視床下部の神経細胞において、ABHD6の量が少ないマウスを作り、実験を行った。

このマウスを通常の環境と餌を用い飼育したところ、遺伝子操作をしていないマウスとの違いはみられなかったが、環境温度を変化させたり、餌を高脂肪食にすると体温の維持が出来なくなり、肥満になりやすいことが明らかとなった。

さらには一度肥満になったマウスは、餌を通常のものに変え、体重を減らそうとしても、体重の減少は見られなかった。

つまりこの酵素は視床下部において、身体機能を調節するために働いており、その機能が失われると、代謝機能が狂い、体重を減らすことが出来なくなると言うわけだ。

ヒトでも同じなのか?

もちろんこの研究チームはマウスの体重をコントロールするために、この研究を行っているのではない。

目標はヒトの体重調整、さらに言えば肥満防止を行うためにどうすれば良いのかということだ。

そのためにはABHD6がヒトでも同じ役割をしているのか考えなければならない。

まだヒトの脳におけるABHD6の役割に関するデータは十分ではないが、研究チームはヒトのABHD6を同じ役割をもっていると推測している。

何故ならば、ABHD6はダイエットの後に起こるリバウンドに重要な役割をしていると推察されているからだ。

そしてマウスとヒトのABHD6が同じ役割をもっているとしたら、体重を落としにくい人においては、この酵素の機能が失われているかもしれないと考えている。

ABHD6の場所による違い

2014年の報告では、臓器においてABHD6の機能を阻害すると周辺組織の脂肪蓄積が抑えられることが報告されている。

しかしながら、今回視床下部において、ABHD6の機能を阻害すると、逆に肥満になる可能性が示唆されており、全く逆の結果となっている。

この違いは視床下部が全身の代謝を司っていることから起こると研究チームは考えている。

今回は視床下部のみABHD6の量が少ないマウスを用いており、脳全体でABHD6の機能を阻害した場合、どのような変化が生まれるか全く予想することができない。

現在、研究チームはこのABHD6の機能に関してさらなる調査を行っているところである。

たった一つの酵素が全身に影響を与えるというのは、バイオの世界では珍しくありません。遺伝病と言われる病気に関しては、こういった一つの遺伝子やタンパク質が機能しないことによって起こることが分かっているからです。

ですが現在、生活習慣病と言われている肥満や2型糖尿病が、もしかしたら生活のせい(だけ)ではなく遺伝子によるものだとしたら、世の中に溢れているダイエット法に革命をもたらすかもしれませんね。例えば、ある遺伝子をもっている人にはこういうダイエットが、もっていない人には違ったダイエット法がと遺伝子に合わせたダイエット法といったものが生まれるかもしれません。

さらには今回のように肥満に関連する遺伝子やタンパク質、メカニズムが解明されることにより、多くの人が待ち望んでいるだろう痩せ薬なるものが生まれるかもしれませんね。個人的にはこの痩せ薬の開発が早く現実のものとなって欲しいなと思っていますが、まだまだ時間がかかるのでしょうね。

元記事はこちら(A Metabolic Switch to Turn Off Obesity)

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