大学主導の学術クラウドファンディングサイト「OTSUCLE」と挑戦中のプロジェクトを紹介!

前にSIGで学術系クラウドファンディングサイトがあることを紹介しました。

最先端の研究をサポートしてみませんか?学術系クラウドファンディングサイト「academist(アカデミスト)」
現代の科学にはあなたの力が必要です!科学のクラウドファンディングで最新研究に触れて、サポートしてみませんか?academist(アカデ...

今回、さらに大学発のクラウドファンディングサイトを発見しましたので、そのサイトの紹介と、実施中のプロジェクトを一つ併せて紹介したいと思います。

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徳島大学発学術系クラウドファンディング「OTSUCLE(おつくる)」

OTSUCLEは徳島大学から生まれ、一般社団法人大学支援機構が運営している学術に特化したクラウドファンディングサイトだ。

大学発ということで、単に研究だけではなく、研究・教育・社会貢献などの分野で資金調達を応援するために作られた。

クラウドファンディングの分類としては、購入型と寄付型があり、購入型では研究や活動に関する物品やサービスを購入することにより、研究者を支援し、寄付型では物品やサービスなしにお金を寄付することで支援する方法である。

運営は2016年10月3日に開始されたばかりであり、この記事を書いている2016年11月20日現在、活動しているプロジェクトは以下の二つである。

重篤なケースになることもある抗がん剤の副作用 がんを治療するために使用する薬として、抗がん剤があります。 しかし、抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞も攻撃してしまうため、吐き気、全身倦怠感、脱毛などの副作用を起こすことがあります。頻度はそれほど高くないですが、心臓、腎臓、肺、神経などに対しても副作用を起こしてしま...
「徳島」と「世界10億人」の課題とは? 日本では実感しにくいのですが、世界の人口の7分の1、10億人が実は飢餓に苦しんでいます。1分間に17人もの人が飢餓で亡くなっている、という現実をみなさんご存知でしょうか? 日本は豊かな国だからあまり関係ない、と思う方もいるかもしれませんが、私たちの食料の基盤となる農業は、いま後継...

今回、そのうち一つのプロジェクトの詳細を紹介したい。

抗がん剤副作用の予防薬を開発したい!

徳島大学大学院 医歯薬学研究部の座間味義人講師が出資を募っているのは、医療ビッグデータを用いた抗がん剤副作用の予防薬の開発だ。

抗がん剤は、体内に生じたがん細胞を殺すために用いられる薬剤だが、がん細胞は元々は自分の細胞であるため、正常な細胞にも作用してしまい、吐き気、下痢、アレルギー反応、発熱、倦怠感、口内炎、白血球の減少などの副作用を示すことが多い。

だがこの副作用に対する研究はあまり進んでおらず、現状で抗がん剤による治療を行う際には避けては通れない状態となっている。

そこで座間味講師はこの副作用を予防するため、予防薬の研究を行っている。

ドラッグリポジショニング

だが、全く一から薬剤を開発するというのは困難であり、安全性試験や治験など長い期間がかかってしまう。

そこで座間味講師が行っている戦略は、現在医療で使われている既存の薬剤を別の疾患に対して用いる「ドラッグリポジショニング」という戦略だ。

これまでにも心不全の治療薬として用いられてきた薬が肺がんの転移を防止する作用が発見されたこともあり、現存する薬をさらに活用できる可能性は十分にあると考えられる。

もちろん現在使われている薬であれば、様々な医療機関からの数多くのデータも存在しており、実際の使用における安全性や効果など重要なデータを集めることもできる。

ビッグデータの活用

座間味講師の研究チームでは、実際にアメリカ食品医薬品局が世界中から集めているデータを解析し、抗がん剤の副作用の状況、同時に投薬されている薬剤の種類を調べ、副作用を抑えるものがないかを解析している。

これまでにも抗がん剤の副作用を予防する可能性のある薬剤を数種発見しているが、本当に副作用を予防できるかは細胞や動物を用いて実験をする必要がある。

今回はその実験の費用とさらにビッグデータ解析のソフトの購入のため、クラウドファンディングで出資を募っているとのことだ。

出資に関して

この記事を書いている2016年11月20日現在、出資できるコースは以下のものがある。

¥3,000 研究経過報告レポート + 御礼メール

¥5,000 研究報告会参加チケット + 研究経過報告レポート + 御礼メール

¥10,000 学会講演資料 + 研究報告会参加チケット + 研究経過報告レポート + 御礼メール

¥30,000 研究プロジェクトオリジナルタンブラー + 学会講演資料 + 研究報告会参加チケット + 研究経過報告レポート + 御礼メール

¥50,000 座間味講師とのスカイプディスカッション + 研究プロジェクトオリジナルタンブラー + 学会講演資料 + 研究報告会参加チケット + 研究経過報告レポート + 御礼メール

¥50,000 論文謝辞に名前掲載 + 座間味講師とのスカイプディスカッション + 研究プロジェクトオリジナルタンブラー + 学会講演資料 + 研究報告会参加チケット + 研究経過報告レポート + 御礼メール

出資の期限は2016年12月25日までである。

とうとう来ました。大学発のクラウドファンディング!academistができて、そこに学術系のクラウドファンディングが集結するかと思ったのですが、大学主導で出てくるとは思ってもみなかったです。他にもクラウドファンディングが好きそうな大学はあると思うのですが、やはり色々とハードルが高いのでしょうか。

ただ私が一つ危惧しているのは、このようにクラウドファンディングをする大学が出てくると、他の大学も一斉に始める可能性があります。ですが出資する人から見れば、クラウドファンディングサイトが乱立し、お目当のプロジェクトを見つけるのに時間や手間がかかるのは望んでいないことでしょう。もちろんクラウドファンディングサイト自体の競争も必要なため、一つのサイトよりは複数あった方がいいのは確かですが。今後、他の大学がクラウドファンディングを行うのか分かりませんが、できればある一定量の大学が集まったクラウドファンディングができると、プロジェクト発案者にとっても、出資者にとっても、アイデアを交換しあう良い場となり、面白いことが起きるのではないかと思っています。

また今回紹介したプロジェクトも非常に興味深いなと思います。これまでに数多くの薬剤が開発されてきましたが、その効果というのはあくまでも一面しか見ていない可能性は十分にあることでしょう。現在ではデータの収集や解析も、コンピュータの性能が上がったことにより、かなり効率よくできるようになっていると思います。そういう意味では、新たな薬の開発が難しくなっており、コンピュータの性能が上がっている現在でこそ、このドラッグリポジショニングは、薬剤の隠れた性能を引き出す強力な一手となるのではないでしょうか。

元記事はこちら(抗がん剤副作用の予防薬を開発したい!-医療ビッグデータを活用したドラッグリポジショニング-)

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