総合診療医による抗生物質の処方を効率的に、そして適切に行うためのシステムの開発!

みなさんは家庭医やかかりつけ医をもっていらっしゃるでしょうか?日本では病気になると、自分で内科とか耳鼻科とか選択して受診することが多いことでしょう。ですが海外では最初は総合診療医というかかりつけ医に受診することが必要となります。その際の抗生物質の処方はなかなか医師にとって大変なようです。

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GP:General Practitioner

日本ではあまり馴染みのない制度かもしれない総合診療医制度(GP:General Practitioner)。

イギリス、オランダ、カナダ、ニュージーランド等の国では診療所や開業医などの一次医療を受けなければ、大学病院などの上位の医療機関を受診することはできず、またイタリア、フランス、デンマーク等の国では一次医療機関からの紹介状がない場合、専門医療機関での負担が多くなる。

このGP制度は慢性的な疾患に対する医療や急性であっても生命の危険性がない医療、また予防医療などに役立っており、不必要な高度医療機関での受診を制限することで医療費を削減することが可能である。

日本ではGP制度は実現されておらず、誰でもどこの医療機関でも受診することが可能であるが、総合診療医というかかりつけ医がいないことから、個人個人の心身の状態を総合的に判断できないのが現状である。

現在、日本でも不必要な専門医受診を防ぐため、ゲートーキーパー制度というのを導入しようとしているが、まだまだ広まっていない。

適切な抗生物質の処方

日々、総合診療では様々な患者が訪れるが、その中には病原菌に感染している患者も存在する。

そのような患者に抗生物質を処方するのも大事な仕事の一つなのである。

処方する抗生物質が適切であれば、病原菌に対して効果は高く、耐性菌も生まれにくい。

適切でなければ、効果が少ない上に、病原菌が耐性を得る可能性が高くなってしまう。

耐性菌は現状でも大きな問題となっているが、2050年までに世界中で薬剤耐性菌により亡くなる人は毎年1000万人に達するようになると予想されている。

個人の症状を改善するだけでなく、耐性菌を生み出さないというためにも抗生物質の処方は重要な課題なのである。

POCAST:Point Of Care Antimicrobial Stewardship Tool

適切な抗生物質を処方するため、Imperial’s National Institute for Health Research、Health Protection Research Unit、Patient Safety Translational Research Center、そしてインペリアル・カレッジ・ロンドンの薬剤師、感染症スペシャリスト、総合診療医、看護師、微生物学者からなる研究チームはPOCASTと呼ばれるウェブサイトを構築した。

このウェブサイトでは、イギリス公衆衛生サービス(PHE:Public Health England)のガイドラインを用い、総合診療医が患者に抗生物質を処方する際のガイドラインの要点を簡単に閲覧できるようになっている。

現在、総合診療医が抗生物質を処方しようとすると、彼らはPHEガイドラインを参照する必要がある。

その量としては、pdfの資料としてなんと20ページになるという。

しかしPOCASTを用いれば、総合診療医はユーザーフレンドリーなフォーマットでガイドラインの関連する項目を直接的に調べることができる。

抗生物質の処方は患者の安全を守るためにも、医療としても重要であり、それを効率的に行うことのできるシステムは必要なのだろう。

pdfドキュメントで20ページを参照しなければいけないのは、確かに大変ですね。むしろ何故今まで改善されなかったのか、不思議に思ってしまいます。ただ逆に考えると、そのような手間に思える作業をしていたことで、医師が正確な知識を得て、患者の安全を守っていたなんてこともあるのかもしれません。

ですが現在はコンピュータが発達し、例えば症状と微生物をリンクしたり、薬の飲み合わせが悪い場合はアラートを出したりするのにおいては、人間よりもコンピュータの方が適切である可能性も十分に考えられます。

医療という人の命を預かる仕事だけあって、どちらか一方だけではなく、両方をうまく使い、効率化することで、より多くの人の健康を守っていってもらいたいなと思います。

元記事はこちら(New tool to improve antibiotic prescribing in doctor surgeries)

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