ナノポーラス構造をもったスタンプにより、ナノレベルの電子回路を印刷する?!

電子機器はどんどん小型化していきますが、複雑な電子回路を小さくすればするほど困難になるのが、回路の作製です。パソコンに含まれるCPUなどもナノレベルの構造をもっていますが、その回路の作製には高額な機器や複雑な行程が必要になります。より簡便にナノの回路が設計できたら、電子機器の発展がより一層加速されるのかもしれません。

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電子回路を印刷する難しさ

マサチューセッツ工科大学の研究チームが、安価にナノレベルの電子回路を印刷できる手法を開発した。

これまでにもインクジェットプリンタやゴムのスタンプによる電子回路の印刷は色々と検討されてきた。

しかしながら小さくなればなるほど、その印刷のコントロールは難しくなり、完璧な電子回路を作製することは困難になる。

その一つの要因としては、インクのような粘性のある液体で回路を作製すると、乾燥する際にエッジの部分にインクがよってしまい、回路が不完全になることがあるのだ。

イメージしやすい例としては、コーヒーを一滴机の上に落とし乾燥させると、そのシミはリング状になることだ。

このように均一に印刷できず、ばらつきが出てしまうことは、対象物が小さく、薄い場合、電気的な特性や光学的な特性を著しく損ない、重大な欠陥を引き起こしてしまう。

ナノポーラス構造をもったスタンプ

そこで彼らが考えたのが、ナノポーラス構造、つまりナノレベルの穴がたくさん空いているスタンプだ。

何故、ポーラス構造が必要なのか。

それはインクやナノ粒子を均一にスタンプし、基板状に印刷するためである。

このような構造を作ることにより、ゴムのスタンプと比べ、高精度でスタンプ印刷を行うことができるのだ。

実際に彼らはこのナノポーラス構造をもったスタンプとカーボンナノチューブの表面をポリマーで覆ったインクを用い、シリコンに六角形や花柄を印刷し、その性能を検討した。

その結果、通常のインクで起こるような濃度のばらつきが起こらず、電子回路として正常に動作することを確認した。

工業化に向けて

工業化を行う際には、印刷の歩留まりを極力良くすることが望まれる。

そこで研究チームはこのごく小さく、高精度で印刷するための条件をモデル化した。

そのモデルではスタンプと印刷物の表面の凸凹さ加減やインクの濃度などを入れると、必要な圧力を計算できる。

さらにスケールアップができるよう研究チームはローラー印刷機を作製し、様々なフレキシブルな物質に対して印刷できることも明らかにしている。

ナノ電子回路が簡便に利用できるようになれば、今後様々な電子機器の複雑化や小型化が期待され、ウェアラブルデバイスなどのより一層の発展が期待されることだろう。

簡単にナノスタンプで電子回路ができるとなると、利用したい企業は多いのではないでしょうか。最近ではウェアラブルデバイスも盛況ですし、どんどん小型化したいデバイスは多いことだと思います。

もちろんスマートフォンのように単に小型化すると操作に困ってしまうデバイスもあるのですが、一つ一つの回路が小さくできれば同じサイズで様々な機能を詰め込むことも可能になりますし、ストレージやバッテリーのための場所も多く確保でき、メリットが大きいことでしょう。

今後、どのようなデバイスが発売されるのか楽しみですが、そのデバイスの裏側にはこんな技術の発展があるかと思うと、技術の進歩は我々の生活に大きく影響するということが実感できるのかもしれませんね。

元記事はこちら(Printable electronics. New stamping technique creates functional features at nanoscale dimensions.)

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