人工知能を用いて、リチウムイオンバッテリーをより安全なものにする!人間ではできない数の検討を行う人工知能の実力とは?

様々な電子デバイスに用いられているリチウムイオンバッテリー。長い時間をかけて研究が進められてきましたが、状況によっては爆発してしまうなど、まだまだ安全性が完璧ではないようです。そのリチウムイオンバッテリーを人工知能の力を借りてより安全なものにするための研究が進められています。

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リチウムイオンバッテリーの構造と危険性

スタンフォード大学の研究チームは、リチウムイオンバッテリーの可燃性電解質をより安全なものに置換するため、人工知能を用いて研究を進めている。

リチウムイオンバッテリーは電池の正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで、充電・放電するバッテリのことである。

通常、正極にリチウム(リチウム遷移金属複合酸化物)を、負極に炭素電極、そして電解質に有機溶媒などを用いている。

他の電池と比較し、エネルギー密度が高い、電圧が高い、メモリー効果がない、自己放電が少ない、寿命が長い、高速充電が可能など様々なメリットがあることから、ノートパソコンやスマートフォンなどのバッテリーとして広く用いられている。

しかしエネルギー密度が高い、つまりエネルギーをたくさん蓄えることができるというのは、裏返せば異常過熱や発火の危険性が高く、それだけ危険なバッテリーであることを示している。

最近の例で言えば、SamsungのGalaxy Note7が飛行機内で爆発したという問題が大きく取りざたされたことが挙げられる。

そのためいかに安全なリチウムイオンバッテリーを作るのかというのは、バッテリー業界において大きな課題となっている。

人工知能に安全なリチウムイオンバッテリーを探索させる!

しかしながら安全なリチウムイオンバッテリーの構成というのはなかなか簡単に見つかるものではない。

研究室で長い間試行錯誤が続けられているのだが、商業的に利用可能な安価な材料を用いて、室温で動作する構造というのは残念ながらまだ見つかっていないのだ。

これまでの研究では、ランダムに個々の材料を組み合わせ、評価を行なっていたのだが、その方法では一つの実験を行うのに長い時間がかかってしまう。

実際にリチウム含有物質は1万種類ほど知られているのだが、ほとんどの物質に関しては実験されていないのが現状なのである。

そこで研究チームはこれまでの実験結果を基に人工知能を機械学習させ、新しい安全な電解質を探索させることにした。

重要なのは安定性、価格、豊富さ、そしてバッテリーとしての性能の高さである。

12,000種類から21種類へ!

研究チームは2年間かけてリチウム含有物質の実験データを収集し、人工知能に学習させた。

そして12,000種類のリチウム含有物質を人工知能に検討させた結果、最終的に21種類の候補物質を得た。

2年間かけて収集・学習させたのだが、たった数分で解析結果が得られたとのことから、人工知能の解析スピードに驚かされる。

現在、研究チームは得られた結果を基に、実際にバッテリーを作製し、商業的に利用可能なのかを検討している。

人工知能が研究に使われるというのは最近ではトレンドになってきているようです。特に様々な組み合わせが考えられるバッテリーや材料の分野では大きな力となることでしょう。ただ今回の記事にあったように、データの収集は人間が行う必要があるため、そこに大きな労力の壁が存在していると考えられます。

現在、人工知能の学習自体も研究が進められており、人間がほんの少しの学習をさせ、後は学習自体も人工知能が行うシステムの開発も進められています。

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人工知能の発展に伴い、科学の発展、商業・工業の発展が大きく牽引される可能性は十分に考えられ、当分の間、大きなトレンドになると思われます。

今後、人工知能と最新研究の組み合わせがまだまだ出てくることでしょうが、人工知能が作り上げる世界はどのようなものなのか楽しみな反面、人工知能が使えない研究者との壁が大きくなりそうで、少し怖いとも感じられます。できればある程度開発が進んだ人工知能はオープンソースとなるようなプラットフォームができてくれると、より一層科学や工業の発展が促されるのではないかと思っています。

元記事はこちら(No more burning batteries? Stanford scientists turn to AI to create safer lithium-ion batteries)

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