バッテリーの中で起こっている詳細な変化を解析できるようにし、バッテリー性能向上の鍵を見つける!?

様々なところで用いられているバッテリー。これだけ普及していても、まだまだ分からないことは沢山あります。バッテリーとして機能させるには、どうしてもパッケージングしないといけないのですが、パッケージングしてしまうと中の様子をリアルアイムに解析できなくなる。そんなジレンマを解消することで、バッテリー開発を加速させようという研究が進められています。

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バッテリーの需要と開発

近年、チリウムイオンバッテリーは充電可能なバッテリーとして、ノートパソコンやスマートフォンなど様々なモバイル機器に搭載されるようになった。

また電気自動車の開発が進むにつれ、これまでよりも大容量のバッテリーの需要が増えるとともに、風力発電や太陽光発電のようなクリーンなエネルギーを蓄えておくためにもその重要性が高まってきている。

バッテリーのエネルギー密度(体積や重量に対するエネルギー量)を増やすためには、充電の際の電圧を上げるか、充電容量を増やす必要がある。

しかしながら現在バッテリーに使われている材料では、電圧や充電容量に限界にきており、世界中の研究者や開発者は新しい材料の探索・開発を進めているのが現状である。

実際に研究室レベルでは特殊な電極を用いることで、電圧の向上に成功した例もあり、通常使われる4.2V程度から、5V程度の電圧を提供することができるようになってきている。

性能の向上による副作用

だが単に電圧を向上させると、それに伴い副作用が出てくる。

バッテリーは内部に蓄えられた化学物質が変化することにより、充電・放電ができるようになっている。

しかしあまりに負荷をかけすぎると、数回の充放電サイクルで性能が顕著に落ちたり、電極にガスが発生し、バッテリーとして機能しなくなってしまう。

バッテリーとしての性能をギリギリまで引き出そうとしている現在。

この性能向上による副作用の問題を解決する必要が出てきたのだ。

そのためミュンヘン工科大学の研究チームは、新しいバッテリー用のテストセルを開発し、副作用が起こる原理の詳細を研究しようと試みている。

新しいバッテリーセル

通常バッテリーを作製するには、電極と電解質をパッケージする必要があるのだが、パッケージしてしまうと、内部で何が起こっているのか詳細を突き止めるのは困難になる。

そこで研究チームは、完全にパッケージしてしまう代わりに細い管に詰めることで、充放電の際に発生したガスが採取できるような構造でバッテリーを作製した。

また正極と負極での反応をそれぞれ解析するため、それぞれの電極を隔てる膜も新たに開発し、リチウムイオンのみを通すことができる膜を作り出すことに成功した。

新しいバッテリーセルを用いた解析

この新いバッテリーセルを用いた解析により、これまで推測でしか語られなかった、または知られていなかった現象が次々に明らかになってきた。

例えば、加える電圧を高くしたり、温度を上げると、電解液がより早く分解してしまうことや、充放電サイクルで発生するガスは一酸化炭素や二酸化炭素であることなどである。

また水が構造中に侵入すると、分解させ水素を発生し、電極を酸化させてしまうこと、化学反応が正極と負極を物理的に繋いでしまい、バッテリーの性能を劣化させてしまうといったことも明らかになった。

このように新しい解析手法が編み出されることにより、さらにバッテリーの性能向上が期待できることだろう。

バイオの研究に置き換えると、発酵なんかはバッテリー研究に近いのかもしれないなと思いながらこの記事を読んでいました。発酵は、昔から使われていて、かなり普及している技術なのにも関わらず、つい最近までどのようにして起こっているのか分かっていませんでした。

ルイ・パスツールが腐敗や発酵が起こるのが微生物のせいだということを明らかにしたが17世紀。それまでは発酵が起こる原因が分かっていなかったわけです。さらにはその発酵が酵母の中でどのようにして行われているのか解析が進んだのは、遺伝子操作が行えるようになったごく最近です。そしてここ数年ではバイオエタノール生産に向けて、酵母のアルコール生産能を向上するため、様々な遺伝子操作が行われています。

バッテリーも電気を蓄え、取り出すことができる、さらにはどのような物質がいいのかは分かっているのでしょうが、まだまだ未知の部分があり、それを解明することで、新たな開発方針が立てられるわけです。こう見てみると、分野が違っても、研究方針というのは大きく変わるわけではなく、一定の流れがあるのだろうなと思いませんか?

元記事はこちら(Battery research reaching out to higher voltages)

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