シミュレーションによる強度の測定値と実測値をマッチさせる?!その研究の中で生まれた世界で一番硬く、軽い構造とは?!

コンピュータが発達するにつれ、様々なものがシミュレーションできるようになりました。でもこれまでのシミュレーションでは、どうしても実測値と予測値が異なることが問題となっていました。そこで構造内の原子の振る舞いからシミュレーションすることで、より正確な予測をしようという研究が進められています。

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世界で一番硬く、軽い構造

マサチューセッツ工科大学の研究チームが、世界で一番硬く、そして軽い構造を作り上げたと報告した。

その構造はスポンジのように穴がたくさん空いており、密度としてはたった5%しかないが、スチールの10倍硬いという。

現在、物質として一番硬いのはグラフェンである。

グラフェンは炭素原子が六角形につながり合い、シート状になったものをいうが、あくまでも2次元方向に広がっている。

その2次元のグラフェンを用い、3次元構造にするために様々な研究が行われてきた。

このグラフェンを使い、これまでにも理論的に硬く、軽い構造というものが考案され、作製されてきたのだが、その強度は予測値よりも数桁低くなってしまい、謎となっていた。

予測値と実測値の隔たりを無くす!

研究チームは、そのような予測値と実測値の隔たりを無くすため、研究を行った。

実測値を得るために、グラフェンを用いて、様々な構造を作り出した。

また予測値を得るために、原子レベルで物質の振る舞いを計算できるシミュレーションに対し、実験条件の詳細なデータを入力した。

そのような検討の中から生まれてきたのが今回のスポンジ状の構造で、スチールの5%の密度だけなのに、スチールの10倍の強度を誇る構造である。

2次元構造の強度

このような解析から得られたのは、2次元の物質であるグラフェンにより構成された3次元の構造がどのような強度をもつのかということである。

研究チームによると、それは紙のような性質をもっているという。

一枚の紙は、長さと幅をもっており、その長さと幅に対し、厚さは比較的0に近い。

紙を長さ方向か幅方向に引っ張ると、簡単に破れてしまう。

だが紙を筒状にした場合、筒の長さ方向においては、強度が増すというのは想像に難くない。

これと同様のことが起こっているという。

3Dプリンターを用いて強度の検討

グラフェンを用いて強固な構造を作り出した研究チームは、今度は3Dプリンターを用いて、同じ構造を作り出した。

そしてコンピュータシミュレーションによる強度の予測値と実測値を比較したところ、予測値と実測値は正確に同じ値を示したという。

現在の工業においても、シミュレーションというのは重要なツールであるが、さらに現実のものに近くなることにより、さらに有用なものとして広く利用されることだろう。

実測値とシミュレーションによる予測値が違うというのは、研究開発においてはある程度許容されているものだと考えています。シミュレーションに物質の全ての振る舞いに関する数値や計算式を入れ込むのはかなり難しく、中にはランダムに決まる変数や未だ明らかになっていない数値、計算式があるためです。ですがそれらが正確にシミュレーションに入れ込むことができれば、ほぼ間違いなく現実世界をシミュレーションすることができるというのが、今回の研究ではないでしょうか?

そうなると期待されるのが、現実世界全てのシミュレーション。我々一人ひとりの人間から社会、地球環境、果ては宇宙まで全てを統括したシミュレーションができるのではないかということです。もちろん全ての数値、計算式を入れ込めれば可能でしょう。もしかしたら現在のコンピュータの性能では十分ではないかもしれませんが、それは量子コンピュータができれば解決するかもしれません。

シミュレーションは現在でも利用価値が高い手法ですが、様々な謎を解き明かすのに今後も利用されていくことでしょう。どういったシミュレーションが行われ、どういった研究や開発が繰り広げられるのか、とても興味深い分野ですね!

元記事はこちら(Researchers design one of the strongest, lightest materials known. Porous, 3-D forms of graphene developed at MIT can be 10 times as strong as steel but much lighter.)

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