HIV感染者では心臓発作のリスクが高まる?!より正確な心臓発作リスク評価システムの構築に向けて!

一つの病気になると、他の病気のリスクが高まる可能性があることはよく知られています。例えば糖尿病になると心筋梗塞、動脈硬化、脳梗塞、そしてアルツハイマー型認知症のリスクが高まると言われています。そのリスク評価を正しく行うことにより、患者に正確な情報を伝える研究が進められています。

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HIVに感染すると心臓発作のリスクが高まる?!

ノースウエスタン大学の研究チームは、HIVに感染していると心臓発作のリスクが高くなるということを報告した。

それはエイズを発症している患者だけではなく、抗レトロウイルス薬(HIVの増殖を抑える薬)を服用し、血中のHIVレベルが検出限界以下になっている患者であってもリスクが増大するという。

アメリカでは現在120万人、そして世界では3500万人から4000万人の感染者がいるHIV。

今回、研究チームは約20,000人の患者のデータを解析し、一般の人のデータから予想される心臓発作の発症数とHIV患者の実際の心臓発作の発症数を比較した。

その結果、HIVに感染している患者では一般の人に比べ、心臓発作のリスクは1.5倍から2倍ほど高くなることが明らかとなった。

HIV感染で心臓発作のリスクが高まる原因

その原因はウイルスの増殖による慢性的な炎症にあるという。

ウイルスが感染し増殖すると、プラークと呼ばれる沈着物の塊を形成しやすくなる。

そのプラークにより病巣部に慢性的な炎症が起こることで、心臓発作や卒中を引き起こすのである。

それは抗レトロウイルス薬を使用し、ウイルスが検出限界以下になっている場合でも、ウイルス自体は細胞に潜んでいるため、同様にリスクは高まるのだという。

このプラーク自体はHIV非感染者でもできるのだが、HIV感染者では非感染者に比べて10年から15年早く形成されるようになる。

また炎症は老化とともに促進されるため、HIV患者が長く生きれば生きるほど、心臓病のリスクは高くなる。

HIV患者の心臓病リスク評価に関して

今回の調査はHIV患者の心臓病のリスク評価のアルゴリズムを構築するために行なっている。

これまでの一般の人用のリスク評価もまだ有用ではあるものの、これまで考えているよりも正確性に欠けるためである。

今回の調査では、20,000人の患者のデータを解析したのだが、一般の人の心臓病リスク評価アルゴリズムにおいてはその10倍、200,000人以上のデータを用いて構築している。

そのためまだHIV患者用のアルゴリズムとしては十分なデータを解析できていないという。

今後、さらに解析データ数を増やすことにより、HIV患者のよりよい医療に役立てられていくことだろう。

HIVの合併症としては、日和見感染やがん、結核など免疫系が落ちることにより、発症する病気が知られています。免疫が落ちた結果、感染しやすくなるというのは、直接的に考えられることですが、今回のようにHIVと心臓病といった間接的な関連性を発見するのには、かなり多くのデータを解析したことでしょう。

HIVは感染したからといって、すぐに命を落とすような病気ではありません。発症までに5年から10年程度は無症状で過ごすと言われています。そして現在ではHIVの増殖を防ぐ薬もあるため、飲み続ければ通常の寿命を全うできるまでになっています。しかしながら、完治はまだまだ困難な状況です。そのため、患者のQOLを向上させるためには、長期的な視点で合併症を見ることが必要であり、今回のような心臓病のリスク評価アルゴリズムの開発が行われていると考えられます。

ウイルスによる病気は何よりも感染しないことが重要であり、その中でもHIVは性的な接触や血液の接触など感染経路が限定されており、比較的感染を防ぎやすいウイルスだと考えられます。HIVの感染を防ぎ、広めないためにも、お互い安心できるパートナーとするとか、コンドームのような避妊をしっかりと行うとか、そういった基本的なことを守って生活していくことが重要でしょう。

元記事はこちら(HIV patients have nearly twice the heart attack risk. Risk for heart attack and stroke is vastly underestimated in HIV patients)

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