抗うつ剤は魚にも作用する?!治療で用いた薬剤が環境を汚染し、生態系を破壊するかもしれない?!

世の中にはたくさんの治療薬が存在します。使われ方も様々で、飲み薬から塗り薬、注射、点滴など薬剤にあった方法で病気を治療しようと研究されています。しかしその薬剤が環境に放出されたら、どうなるのでしょうか?薬剤によっては、環境中の生物に対しても影響を与えてしまう薬剤も存在し、薬剤による環境汚染が危惧されています。

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フルオキセチン

モナシュ大学の研究チームは、抗うつ剤が魚に作用すると、その行動を変化させるという研究結果を報告した。

彼らが用いた薬剤は、フルオキセチンと呼ばれる選択的セロトニン再取り込み阻害剤の一種である。

この薬剤は脳細胞のシナプスにおけるセロトニンの再吸収を阻害することにより、うつ症状や不安感の改善を行う薬である。

フルオキセチンは日本では未承認の薬剤であり、販売はされていないが、世界では一般的に用いられている抗うつ剤の一種である。

危険を顧みない?!

研究チームは、この薬剤を魚を生育している水槽に入れたところ、その行動が変化することを明らかにした。

研究においては、モスキートフィッシュと呼ばれる魚を用い、水槽にフルオキセチンを添加したところ、行動が活発になり、モスキートフィッシュの捕食者であるトンボの幼虫に危険を顧みず向かっていったという。

通常、魚は捕食者が近くに存在すると、凍結挙動(Freezing behaviour)と呼ばれるじっとして動かない挙動が見られる。

どれくらいの濃度で作用するのか?

今回の研究結果によると、ごく低濃度であってもフルオキセチンが存在すると、捕食者を無視するかのように活発に動き回るようになる。

このごく低濃度というのは、水路で検出されるレベルの濃度である。

つまり人間が治療に用いた薬剤が環境中に放出され、生態系に影響を与える可能性が示唆されたというわけである。

今後、このような治療における薬剤の環境汚染を減らすためにも、下水処理において、薬剤の除去というのは重要な課題になってくることだろう。

薬の開発に関しては、少し調べたこともあるのですが、かなり複雑で治療できるかどうかだけではなく、体内でどのように代謝され、最終的にどのような物質が効果を発揮し、どうやって体外に排出されるのかまで検討されています。

また化合物という意味では、環境影響評価も行われているのですが、その中身としては、環境に放出された際、毒性があるのかということが主眼に置かれています。つまりどれくらいの濃度になったら、魚や微生物の成長に影響があるのか、また死んでしまうのかを検討するというわけです。

薬は体内で代謝される、環境影響評価では毒性を検討しているという二つのことから考えると、薬剤そのものが環境中に放出された場合だけではなく、人間の体内で代謝された薬剤が環境の生物に対して、どういった変化を起こすのかということは、まだまだ検討されていない可能性があります。

現在では多種多様な薬剤が治療に使われているため、環境中に放出される化合物もたくさんあることでしょう。なかなか一つ一つを検討するのは難しいかもしれませんが、生態系を守るため、そういった検討が必要になり、またそういった化合物を取り除く方法というのも重要となってくることでしょう。

元記事はこちら(Antidepressants – a death trap for our fish)

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