ドラッグリポジショニングによりジカウイルスに対抗する薬剤を発見?!薬の開発を加速させる新たな手法!

薬の開発は10年以上もかかり、その開発費は1000億円とも言われています。しかしながら、ウイルスのように次々と新しいウイルスが出てくる場合、開発が遅れてくるということもあるようです。そこで現在注目されているのが、現在使われている薬剤を、他の病気に用いるというドラッグリポジショニングです。その手法により、ジカウイルスに対抗できる薬剤が発見されたようです。

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ジカウイルス

ヘルシンキ大学の研究チームは、3つの抗インフルエンザ薬がジカウイルスの感染を阻害する可能性があることを報告した。

国際化や環境の変化、人口増加、そして都市化が進むにつれ、感染性の疾患は公衆衛生において大きな課題となる。

もちろんウイルスも例外ではなく、アメリカ太平洋側で広がっているジカウイルスも一つの例としてあげられるだろう。

ジカウイルスは妊婦に感染すると、胎児が先天性の脳の異常を引き起こすと世界保健機関により発表されている。

現在のところ、ジカウイルスに対抗できる承認薬は存在せず、ジカウイルスの感染を阻害する薬や増殖を抑える薬の開発が急務である。

ジカウイルスに効く薬剤を発見?!

研究チームは今回、ヒト網膜色素上皮細胞に対し、胎児の脳から分離したジカウイルスを感染させ、薬剤の検討を行った。

その結果、オバトクラックス、サリフェニルハラミド、ゲムシタビンの三種類の薬剤が、ジカウイルスの増殖を止め、細胞において毒性を生じないレベルまで抑え込むことに成功した。

今回の結果はこれらの薬剤が抗ウイルス薬として有用だというだけに限らず、組み合わせて用いることにより、宿主細胞への感染を止めることができるということを示している。

さらにはこれらの薬剤は広い抗ウイルススペクトル、つまりは様々なウイルスに使える可能性が示唆されたとのことである。

そしてこれまで実際に使われている薬剤を、ジカウイルスへの治療に適用することで、ジカウイルスの治療薬開発を加速させることができると考えられる。

今回研究で用いられたというオバトクラックス、サリフェニルハラミド、ゲムシタビンを調べてみたのですが、インフルエンザではなく、抗がん剤として用いられている記述しか見つけることができませんでした。ちょっとどちらが正しいのか分かりませんが、重要なのは、これまである病気に対して用いられてきた薬剤が、他の病気に使えるということ。これはドラッグリポジショニングと呼ばれ、SIGでも前に紹介しています。

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もしこうしてこれまでの薬剤が、新しい病気にも使えると分かれば、これまでの使用実績から、安全性試験はスキップできる可能性があり、大幅に開発費と開発時間を短縮できるかもしれません。いかに迅速に、いかに効果のある、しかしながら安全な薬を探し出すのに、今後このドラッグリポジショニングが薬剤開発の中心となっていくのかもしれません。

元記事はこちら(RE­SEARCH­ERS FOUND THAT CER­TAIN ANTI-IN­FLU­ENZA COM­POUNDS ALSO IN­HIBIT ZIKA VIRUS IN­FEC­TION)

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