腸内細菌がパーキンソン病を引き起こす原因だった?!脳と腸の奇妙な関係とは?!

高齢化社会になるにつれ、パーキンソン病やアルツハイマー病など神経変性疾患を患う人が増えてきています。そのため医療としても、これらの神経変性疾患をどのように治療したらいいのか、また症状を改善させるためにはといったことが多く研究されています。しかし、脳の病気だとは言え、脳ばかり研究していてもダメなのかもしれません。脳の疾患と腸内細菌に密接な関係があることが明らかにされつつあります。

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腸内細菌とパーキンソン病

カリフォルニア工科大学の研究チームは、腸内細菌とパーキンソン病の間に関連性があることを報告した。

その関連性とは腸内細菌の種類とその活動によって、パーキンソン病の特徴である運動能力の劣化を引き起こす可能性があるということだ。

パーキンソン病はアメリカだけでも100万人、全世界で見ると1000万人以上が患っていると言われており、神経変性疾患の中でも2番目に患者数が多い疾患である。

パーキンソン病の特徴としては、震え、歩行困難、脳や腸の細胞にα-synucleinというタンパク質の蓄積、脳内にサイトカインと呼ばれる炎症を司る分子が見られるなどがある。

またパーキンソン病の患者のうち75%の人には胃腸における異常が見られるという。

脳細胞の変性疾患であるパーキンソン病と胃腸ではどのような関連性があるのだろうか?

中枢神経系と末梢神経系

腸においては、様々な菌が生息しており、その中にはヒトにとって有益な菌もいれば、害をなすような菌もいる。

これを腸内細菌叢(マイクロバイオーム)と呼び、免疫系や神経系の発達・機能に重要な役割を果たしていると言われている。

何故、免疫系や神経系に影響を与えるのかと疑問に思う人もいることだろう。

実は人体に存在する末梢神経系のうち、70%は腸に存在しており、脳のような中枢神経系と直接接続されていることにその理由がある。

つまり腸内細菌に何らかの問題が生じた場合、脳に影響があることが考えられ、その一つの疾患としてパーキンソン病があるのではないかと研究チームが考えたわけである。

マウスを用いた実験

研究チームは実際にパーキンソン病の原因となるα-synucleinを過剰に合成するマウスを用い、腸内細菌叢とパーキンソン病に関連性があるのか実験を行なった。

実験で用いたマウスは、一つのグループは通常の条件で生育し、複雑な腸内細菌叢をもっているもの、もう一つのグループは無菌状態で生育した腸内細菌をもっていないものである。

これらのマウスは遺伝的な背景は同じであり、違いは腸内細菌の有無だけとなる。

これらのマウスに運動能力を見るため、何種類かのテストを行なったところ、腸内細菌をもってないマウスの方が、腸内細菌をもっているマウスに比べ、有意にスコアが良かったという。

つまり腸内細菌をもっているマウスはパーキンソン病となり運動能力が低下したのにも関わらず、腸内細菌をもっていないマウスはパーキンソン病になっていないということである。

これはこれまで原因だと言われてきたα-synucleinの異常な蓄積だけではなく、腸内細菌がパーキンソン病の発症において、何らかの影響を与えていると考えられる。

腸内細菌がパーキンソン病を引き起こすメカニズム

腸内細菌がどのようにしてパーキンソン病を引き起こすのか?

研究チームが提唱しているメカニズムは、腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸によるものである。

腸内細菌はヒトが摂取した食物繊維を分解し、短鎖脂肪酸を作り出す。

これまでの研究により、この短鎖脂肪酸は、ヒトの脳において免疫系を活性化させ、炎症をコントロールするために重要な分子だということが明らかになっている。

しかしこの短鎖脂肪酸の脳における量のバランスが崩れると、脳に炎症が起こったり、パーキンソン病の症状が現れると考えている。

実際に腸内細菌をもっていないマウスに対し、パーキンソン病患者の腸内細菌を移植したマウスでは、短鎖脂肪酸の量が上昇し、パーキンソン病の症状を示したという。

これまで医療では、一つ一つの部位の治療が行われ、成果を上げてきたのだが、今後の医療は腸内細菌を含め、全体を管理することで、大きく飛躍するのかもしれない。

これまで腸内細菌が何でそれほど重要視されているのか、一体何が影響しているのか、私自身あまり理解できていませんでした。ですが今回の記事を読んでいくうちに、末梢神経系の70%が腸にあることを知り、神経と腸、そして腸内細菌の繋がりが理解できたように思えます。

現在、様々な観点から腸内細菌が研究され、その重要性が次々に報告されています。もちろん家庭においても、より良い腸内細菌叢とするため、ヨーグルトを食べたり、食物繊維をとったりしている人も多いことでしょう。

今回の研究結果では、腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸がパーキンソン病の一因ではないかということでしたが、だからと言って腸内細菌を取り除くのは現実的ではありません。今後、さらに解析が進むことにより、腸内細菌のうち、どの菌がパーキンソン病に大きな影響を与えていて、どんな菌が身体にとって有益なのか明らかになっていくことでしょう。

腸内細菌叢を調べるサービスも色々と立ち上がってきていますし、近い将来、個人レベルで腸内細菌叢を整え、全身の健康管理を行う何てことが可能になるのかもしれませんね。

元記事はこちら(Parkinson’s Disease Linked to Microbiome)

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