植物とヘビが新しい人工皮膚を作り出す!温度を感知できる人工皮膚の開発!

人工皮膚の研究は活発に進められ、いかに人間の元の機能を回復させるのかということに焦点が当てられてきています。その一つが温度を感じること。いかにして温度という情報を得て、シグナルに変換するのか。そのヒントはヘビの身体にありました。

スポンサーリンク

温度を感じる人工皮膚

カルフォルニア工科大学とチューリッヒ工科大学の共同研究チームは、温度を感じることができる人工皮膚を開発したと報告した。

材質としては植物に含まれるペクチンを用いており、またその温度を感じる原理としてはヘビの温度センサーからアイデアを得たという。

ペクチン

ペクチンとは植物の細胞壁などに含まれる多糖類の一種である。

ジャムやゼリーなどをゲル化するための増粘安定剤として、食品工業上重要な物質となっている。

現在では植物からの抽出方法が確立されており、非常に安価に入手することが可能である。

ヒトがこのペクチンを摂取したとしても、ヒトの消化酵素では分解することができないため食物繊維として働くが、一部は腸内細菌により分解され利用される。

このペクチンを用い、どのようにして温度を感じられる人工皮膚を作り出したのだろうか?

カルシウムイオンと温度センサ

研究チームはこのペクチンを用い、ごく薄い透明な膜を作り出そうと研究を続けていた。

その厚さは20マイクロメートルであり、ヒトの髪の毛の太さくらいの厚さである。

ペクチンの分子は二本の鎖が絡み合った構造をしており、その二本の鎖の間にはカルシウムイオンが存在し、構造を安定化している。

もし温度が上昇した場合、この二本のペクチンからなる鎖は解かれ、カルシウムイオンを放出する。

そしてそのカルシウムイオンの上昇をペクチンのフィルムに埋め込んだ電極により測定することで温度を測定するのだ。

実はこの原理。ヘビが温度を感じる原理と似ているのだという。

ピット器官

ヘビは鼻先にピット器官と呼ばれる赤外線検知器官をもっている。

この器官で捕食対象が発している赤外線を検知するのだが、この器官においても膜に電極の代わりにイオンチャネル(特定のイオンを通すゲートのようなタンパク質)が埋め込まれており、赤外線を感知すると、カルシウムイオンが流れ、電気シグナルに変換するのだという。

彼らが作り出した人工皮膚は、5度〜50度の間におけるわずかな温度変化を感知することができるという。

今後はさらに90度程度までその温度範囲を広げるよう研究を進めていくという。

温度行きが広がり、さらに感度が上がることにより、ロボティクスや医療分野におけるアプリケーションへと広がっていくことだろう。

ヘビのピット器官は有名ですね。この器官のおかげでヘビは暗闇でも正確に獲物を捉えることができます。またピット器官を元にして科学技術が作り出したのが、サーモセンサーです。自然界から知識やアイデアを得た技術のことをネイチャーテクノロジーと呼びますが、このネイチャーテクノロジーは産業的にも重要な研究の一つとなっています。

普段我々は生活を営む上であまり感覚のことを意識していないことでしょう。人間の五感としては、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚があり、さらに皮膚や粘膜で感じる感覚としては触覚、圧覚、温覚、冷覚、痛覚の5つが存在します。つまり今回の研究で温度が感じられる人工皮膚ができたということは温覚、冷覚を伝えることができるようになったわけです。まだまだ触覚、圧覚、痛覚をどのようにして伝えるのかという課題は残っているのが現状です。

特に痛覚は人間が危険を察知し、身を守るために重要な感覚です。いかにして痛みを適切な形で伝えるのか、人工皮膚をより一層ヒトの皮膚に近づけるために需要なことではないでしょうか。この課題をクリアするような新しい技術が生まれることを期待したいと思います。

元記事はこちら(Engineers Create Artificial Skin That “Feels” Temperature Changes)

この記事を読んでくれたあなたへひろやんからのオススメ記事

ハイドロゲルの乾燥を防ぐには?人間の皮膚から学んだコーティング法!〜スマート人工皮膚に向けて〜
人間は約70%が水分で出来てると言われています。でもなんで乾燥しないのでしょう?新しい乾燥しないゲルを作るため学んだのは、そんな人間の皮膚からでし...
よ〜く伸びて、傷も付かない不思議なゴム!人工筋肉、人工皮膚...新しい用途が続々と?!
みんなで引っ張ったおかげで見つかったものすごく伸びるゴム?!ほら!もっと引っ張って! スタンフォード大学の研究チームによって、100...