謎多き最強生物クマムシ!その謎をクラウドファンディングで明らかにしたい!

Schokraie E, Warnken U, Hotz-Wagenblatt A, Grohme MA, Hengherr S, et al. (2012) - Schokraie E, Warnken U, Hotz-Wagenblatt A, Grohme MA, Hengherr S, et al. (2012) Comparative proteome analysis of Milnesium tardigradum in early embryonic state versus adults in active and anhydrobiotic state. PLoS ONE 7(9): e45682.
Schokraie E, Warnken U, Hotz-Wagenblatt A, Grohme MA, Hengherr S, et al. (2012) - Schokraie E, Warnken U, Hotz-Wagenblatt A, Grohme MA, Hengherr S, et al. (2012) Comparative proteome analysis of Milnesium tardigradum in early embryonic state versus adults in active and anhydrobiotic state. PLoS ONE 7(9): e45682.

低温から高温まで、低圧から高圧まで、そして大量の放射線にも耐えうる最強生物クマムシ。その謎に迫るため、クラウドファンディングのプロジェクトが開始されました。最強生物 vs 最新科学の熱き戦いにより、どんな研究成果が生まれるのか注目です!

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最強生物クマムシとは?

科学系クラウドファンディングサイト「academist」にて、クマムシと呼ばれる生物の謎を解き明かしたいというプロジェクトが出資を募っている。

クマムシに関しては、思ったよりも多くのメディアが取り上げており、ご存知の方もいることだろう。

4対8本の足をもち、約1 mmという小さな動物である。

形がクマににていることからクマムシと呼ばれており、熱帯から極地、深海から高山のありとあらゆる場所に生息している。

なぜこの動物が注目されているのか?その謎は圧倒的な環境耐久性にある。

生きて動いているクマムシをゆっくりと乾燥させて行くと、そのうちに固く動かなくなってしまう。

だが死んでしまったわけではなく、乾眠と呼ばれるいわゆる仮死状態になる。

水を与えると再度動き出すのだが、クマムシが乾眠状態にあるとき、生物としては考えられないくらいの環境耐久性を示すのだ。

乾眠状態では通常体重の85%を占める水分が3%まで減り、151℃の高温からほぼ絶対零度(-273℃)まで、そして真空から75,000気圧まで、放射線においてはヒトの致死量が500レントゲンであるのに対し、57万レントゲンまで耐えることができる。

宇宙空間でも10日間生存できることが実験で確かめられており、驚異的な環境耐久性がどのようにして生まれているのかまだ完全には明らかになっていない。

ゲノム編集によりクマムシの謎に迫る?!

今回、慶応技術大学 先端生命科学研究所の堀川大樹非常勤特任講師がこのクマムシの謎を解明するため、クラウドファンディングに挑戦している。

手法としては、ゲノム編集という手法を用いる。

ゲノムというのは、遺伝子全体のことを指す言葉である。

遺伝子はDNA(核酸)という分子からなっており、ヒトの遺伝子で使われるDNAはアデニン、シトシン、チミン、グアニンの4種類がある。

この4種類のDNAが並ぶことにより、機能をもち、タンパク質を作り出したり、そのタンパク質を作る量を決めている。

このように意味のあるDNAの配列のことを遺伝子と呼ぶ。

さらに遺伝子がつながっていくことで、ヒトやクマムシを作り出す設計図となるのだが、その全体のことをゲノムと呼ぶ。

ゲノム編集とは、このゲノムを好きなように書き換えることで、特定の遺伝子がどのような機能を担っているのか調べる技術である。

ゲノム編集とは?

実は最近までゲノムを書き換える技術というのは、容易なことではなかった。

遺伝子組換え生物というのを聞いたことがある人もいることだろう。

この遺伝子組換え生物は小さな遺伝子を細胞に注入してやり、新しい機能をもたせたり、”ランダム”に遺伝子を書き換えることで新しい生物を作り出す技術だった。

だがゲノム編集は追加するのではなく、あくまでもゲノム中の特定の遺伝子を書き換えることができる技術だ。

現在ではゲノム編集のテクニックとしては様々なものが開発されているが、CRISPR-Cas9(クリスパーキャスナイン)と呼ばれる技術が広く用いられている。

CRISPR-Cas9は書き換えたい遺伝子(gRNA)とCasタンパク質(Cas、Cas9)の遺伝子を細胞に入れてやると、gRNAとCasタンパク質が細胞内で結合し、標的部位を探し、ゲノムを編集するという技術だ。

この技術は二つの研究所が特許論争していることでも有名である。

強力な遺伝子編集技術CRISPR-Cas9の特許をめぐってふたつの研究機関がバトルを繰り広げていましたが、先日裁定が下りました。CRISPR-Cas9特許はハーバード・MITのブロード研究所のものになりました。

またその技術の有用性から、将来ノーベル賞を受賞するだろうとも言われている。

今回、堀川講師が行うプロジェクトでは、クマムシの様々な遺伝子をこのCRISPR-Cas9のゲノム編集技術を用い書き換えることで、その環境耐性能力の謎を解明しようというものである。

クマムシの圧倒的な環境耐性能力のメカニズムが分かれば、生鮮食品、血液、移植用臓器などの乾燥保存法などにも役立てることができるかもしれず、大きな可能性を秘めているプロジェクトである。

出資に関して

この記事を書いている2017年3月4日現在、出資できるコースは以下のものがある。

¥1,000 研究報告レポート

¥2,000 研究報告レポート + オリジナルステッカー

¥5,000 研究報告レポート + オリジナルステッカー + ぬいぐるみ(Sサイズ)

¥12,000 研究報告レポート + オリジナルステッカー + ぬいぐるみ(Lサイズ) + サイエンスカフェ参加券 + サイン付き著書

¥30,000 研究報告レポート + オリジナルステッカー + ぬいぐるみ(Lサイズ) + サイエンスカフェ参加券 + サイン付き著書 + オンラインサロン参加券

¥50,000 研究報告レポート + オリジナルステッカー + ぬいぐるみ(Lサイズ) + サイエンスカフェ参加券 + サイン付き著書 + オンラインサロン参加券 + 論文謝辞に名前掲載

¥100,000 研究報告レポート + オリジナルステッカー + ぬいぐるみ(Lサイズ) + サイエンスカフェ参加券 + サイン付き著書 + オンラインサロン参加券 + 論文謝辞に名前掲載 + クマムシレクチャー参加券

¥300,000 研究報告レポート + オリジナルステッカー + ぬいぐるみ(Lサイズ) + サイエンスカフェ参加券 + サイン付き著書 + オンラインサロン参加券 + 論文謝辞に名前掲載 + クマムシレクチャー参加券 + 堀川講師とのお食事会

出資の期限は、2017年5月19日までである。

このプロジェクトを見たとき、「おっ!これきた!」と思ってしまったプロジェクトです。クマムシの研究は様々なところで行われていますが、その愛らしい(?)形と圧倒的な耐性力から、人の目を引きやすい研究だったので、クラウドファンディングにくるんじゃないかなぁと思っていたからです。

さすがに乾眠状態でないときは弱い生物なのですが、乾眠状態の時の耐性力は信じられないものです。人間に適応したとしても、さすがに宇宙空間で生身で生活するなんてことはできるようにはならないでしょうが、今よりも薄い宇宙服でも宇宙空間で生きられるなんてことができるかもしれません。

さらには現在の医学では難しい病気の人や亡くなった方の身体をこのクマムシ能力を応用して保存しておくことで、医学が発達した遠い未来に送るなんてSFのようなことができると面白いなぁと思います。そんなSFの世界を夢見て、出資してみるというのも研究を楽しむ一つの方法ではないでしょうか。

元記事はこちら(最強生物クマムシの耐性の謎をゲノム編集で解明する!)

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