より速く、より正確にデータを分類するため、脳認知科学の分野に人工知能が進出!

研究者にとってデータを取得することも重要ですが、データを解析することも重要です。しかし解析すべきデータが膨大な場合、どうしても時間がかかってしまうことがネックになります。もしデータの解析が迅速に、そして正確に行える環境ができたとしたら、それは研究者にとって大きな利益になり、今後の研究が加速されることは間違い無いでしょう。

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functionalMRIとその結果の処理

インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、人工知能を使い、脳科学の研究を加速しようと研究を行なっている。

現在、複雑な脳の機能を知るための一つの手法として、functional magnetic resonance imaging(fMRI)という手法がある。

この手法ではMRI(核磁気共鳴)を用い、脳や咳づいの活動に関連した血流の変化を視覚化することができる。

しかしながら、この手法により得られる画像は膨大なものであり、研究者は画像を取得したのち、有用なデータかそうでないかを分類分けするのだが、それには数週間から年単位といった時間がかかってしまうことも少なくない。

そのため研究者はまず実際の実験を行う前に、簡易的なテストを行うのだが、より適切な実験条件が後から見つかることもあり、この様な状況が一度に検討できることを制限していたり、新しい発見をすることの難しさにつながっている。

また人が解析することの困難さの一つとして、ヒューマンエラーが存在することもある。

つまり無意識的に、より発表しやすいデータを選んでしまうということも考えられる。

そのため脳の認知科学の研究では、研究の再現性が得られないことが多々あり、大きな問題となっている。

人工知能にリアルタイムで分析させる?!

そこで研究チームは、人工知能を機械学習させることにより、より正確な結果を、これまでの手法よりも速く得ることを考えた。

これまで脳科学の研究者は、収集したデータをどの様にして解析するのか、様々な手法を検討し、最適な手法を探し出すことをしていた。

つまりデータを収集するということと、解析するということには、時間的な隔たりがあり、さらにはそこに研究者のバイアスがかかってしまう。

しかしながら研究を効率的に進めるためには、人によるバイアス無しに、そして即座に解析が行えることが重要であると考えられる。

もしリアルタイムに解析が行えるのであれば、多数の条件を一度に解析することが可能になる。

そのため研究チームは現在、コンピュータに人間がどの様にしてデータを分類しているのかルール化し、学習させているという。

そして人間の介在無しに、データを解析できる様になれば、人間と同じ様に、しかし人間がやるよりも速くデータを解析できる様になると期待されている。

今回の記事でも何度かでてきていますが、実験データを解析するのに、人によるバイアス、つまりは解釈の偏りというのは大きな問題となっています。もちろんその様なことがないように、誰がやっても同じ結果が得られれ、誰もが同じ解釈をするデータというのが理想的なのですが、なかなかそうも行かない状況も多々あります。

例えば、実験が確率に左右される様な実験もありますし、今回の脳科学の実験のように膨大なデータから必要なデータを選び出す時の偏りというのもあります。もちろん研究者としては、確率に左右されないような実験系を組んだり、より中立的な観点からデータを選び出したりしようとするのですが、機材的、または時間的な制約や、研究者の思いから十分な解析がされていない状態で論文として発表されてしまう、残念ながら少なくありません。

また論文を発表するためには、査読と言って他の研究者がデータや解釈に関して検討するのですが、同じ実験を繰り返して行い、データを取得し、解析するわけではなく、あくまでも論文の著者が提出したデータを見て、データと文章が一貫性が取れているのか、また他の論文との整合性があるのかをみるだけにとどまっているのが現状です。

現在では投稿される論文は莫大な数となり、さらには研究が細分化されていることから、よほどインパクトのある論文でない限り、全く同じ形で研究を再現するという機会もほぼない状況にあります。つまり、発表された論文をそのまま信用するには危険な時もあり、発表された論文を読み、それをどの様に自分の研究に役立てるのか、研究者にとって大きなハードルとなっているのです。

いかに正確なデータを迅速に、そして正しく解釈し、世に広めるのか、研究者にとって大きな課題である現在。人工知能が大きな助けになることを期待したいものです。

元記事はこちら(Artificial intelligence could increase speed and reliability of brain research)

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