HIVが免疫系からの攻撃を逃れるメカニズムが明らかに!HIVワクチンの開発に期待?!

感染後、長い時間をかけ増殖の準備をするHIV。異物を取り除くはずの免疫系から逃れ、さらには乗っ取り、そして破壊することで、免疫不全を引き起こすウイルスです。世界でパンデミック状態となっているHIVですが、その増殖機構にはまだまだ不明な点も多く、完治するための治療法は確立されていません。その治療法を開発するため、HIVの研究が進められています。

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パンデミックとなっているHIV

モナシュ大学とカーディフ大学の共同研究チームは、エイズウイルス(HIV)がどのようにして免疫系から逃れているのかのメカニズムを明らかにした。

1987年に世界保健機関(WHO)がHIVのパンデミックを宣言して以来、この30年間でHIVによる死者は3900万人に上っている。

そのため、HIVは公衆衛生にとって世界でも重要な課題に位置付けられ、HIVの知見を得、より良い治療に生かすことが急務となっている。

HIVはヒトの免疫系から逃れている?!

通常、ウイルスのような異物が体内に入ると、免疫系が活性化され、侵入した異物を取り除こうとする。

しかしながらHIVは自身の遺伝子をヒトの細胞の遺伝子に組み込み、免疫系から逃れようとする。

そして時期が来ると、細胞が活性化すると同時にHIVの遺伝子も作られ、HIVが体内で大量に増殖すると考えられて来た。

しかしながらその分子メカニズムに関しては、まだまだ不明な点も多く、特にウイルス自身がどのようにして免疫系から逃れているかということは明らかになっていなかった。

今回研究チームは、免疫を司るタンパク質である主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と呼ばれる分子に注目した。

MHCとHIV

MHCは細胞表面に存在するタンパク質であり、細胞内の様々なタンパク質の断片(ペプチド)を細胞表面に提示する。

もし細胞が何らかのウイルスに感染していたとすると、ウイルスのペプチドを提示し、そのようなペプチドを提示している細胞は免疫細胞に攻撃され、排除されることとなる。

今回、研究チームはHIVのペプチドがMHCにより細胞表面に提示された場合、どのようにしてHIVが免疫細胞からの攻撃から逃れているのかを明らかにしたのだ。

HIVが免疫系の攻撃から逃れるメカニズムが解明されることにより、将来的にはワクチンの開発など新たな治療法の確立に貢献できる可能性があることから、今回の発見は重要なものだと言えよう。

全てのウイルスがヒトの細胞の仕組みを乗っ取り、増殖していますが、その中でも最も巧みに乗っ取っているのがHIVだと思います。もし増殖し、他の個体への感染を促すのであれば、インフルエンザの様に爆発的に増え、空気感染するのが手っ取り早い方法だと言えるでしょう。

しかしながらHIVは性的感染や血液感染という感染の中でも困難な感染法を選択し、しかもヒトの免疫系からの攻撃を逃れ、虎視眈々と準備を進め、少しずつ身体を蝕んで行くといういかにも手間のかかる方法をとっているのです。そのためウイルスのなかでもかなり複雑なシステムを確立しているHIVであるため、治療法がなかなか確立できないでいるのが現状です。

しかしながら人間も負けてはいられません。少しずつですが、その複雑なシステムを解明し、治療法を確立しようと懸命な努力が続けられています。現在ではウイルスを全て体内から取り除くことはできなくとも、その発症を遅らせ、普通の社会生活を営めるような薬剤も開発されています。このまま研究が進めば、いつの日かHIVとの戦いに終止符を打つことができる、そんな未来がくるのではないでしょうか。

元記事はこちら(Understanding how HIV evades the immune system)

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