HIVが免疫系からの攻撃を逃れるメカニズムが明らかに!HIVワクチンの開発に期待?!

感染後、長い時間をかけ増殖の準備をするHIV。異物を取り除くはずの免疫系から逃れ、さらには乗っ取り、そして破壊することで、免疫不全を引き起こすウイルスです。世界でパンデミック状態となっているHIVですが、その増殖機構にはまだまだ不明な点も多く、完治するための治療法は確立されていません。その治療法を開発するため、HIVの研究が進められています。

スポンサーリンク

HIVが免疫系からの攻撃を逃れるメカニズム

Monash University(モナシュ大学、オーストラリア)の研究チームは、エイズウイルス(HIV)がどのようにして免疫系から逃れているのかのメカニズムを明らかにしたと報告した。

Monash Universityのプレスリリースはこちら

論文はこちら

彼らの報告によると、HIVはMHCと呼ばれる免疫系を司るタンパク質に提示されるペプチドを変化させることにより、捕捉されにくくなっている可能性があると示唆している。

HIV

HIV(Human Immunodeficiency Virus)とAIDS(Acquired immune deficiency syndrome:後天性免疫不全症候群)は混同されやすいが、HIVはAIDSを引き起こすウイルスであり、AIDSは免疫力が減少してく症状のことを指す。

特にアフリカにて、感染が拡大しており、世界中でも感染が拡大している病気だ。

感染すると、数年から数十年の間は無症状で過ごし、その後免疫力が低下する。

その無症状の間においてもウイルスが増殖し、少しずつ体を蝕んでいっているのだ。

通常、ウイルスのような異物が体内に入ると、免疫系が活性化され、侵入した異物を取り除こうとする。

しかしながら、HIVはその免疫系からの攻撃を逃れており、そのメカニズムに関しては未だ不明な点が多い。

MHCとHIV

MHC(Major Histocompatibility Complex: 主要組織適合遺伝子複合体)は細胞表面に存在するタンパク質であり、細胞内の様々なタンパク質の断片(ペプチド)を細胞表面に提示する。

もし細胞が何らかのウイルスに感染していたとすると、ウイルスのペプチドを提示し、そのようなペプチドを提示している細胞は免疫細胞に攻撃され、排除されることとなる。

ヒトとウイルスとHIV

全てのウイルスがヒトの細胞の仕組みを乗っ取り、増殖しているが、その中でも最も巧みに乗っ取っているのがHIVであろう。

もし増殖し、他の個体への感染を促すのであれば、インフルエンザの様に爆発的に増え、空気感染するのが手っ取り早い方法だと言える。

しかしながらHIVは性的感染や血液感染という感染の中でも困難な感染法を選択し、しかもヒトの免疫系からの攻撃を逃れ、虎視眈々と準備を進め、少しずつ身体を蝕んで行くといういかにも手間のかかる方法をとっている。

そのためウイルスのなかでもかなり複雑なシステムを確立しており、治療法がなかなか確立できないでいるのが現状である。

しかしながら人間も負けてはいられない。

少しずつですが、その複雑なシステムを解明し、治療法を確立しようと懸命な努力が続けられてる。

現在ではウイルスを全て体内から取り除くことはできなくとも、その発症を遅らせ、普通の社会生活を営めるような薬剤も開発されているのだ。

このまま研究が進めば、いつの日かHIVとの戦いに終止符を打つことができる、そんな未来がくるのではないだろうか。