薬剤耐性を得て、世界中で猛威を振るっている結核菌。土壌から見つかった新たな薬剤が多くの命を救う?!

結核が現在世界で感染を拡大し、多くの死者が出ています。その原因は強力な感染性。世界人口の3分の1が結核菌に感染しているとも言われています。そしてもう一つ。結核菌が薬剤への耐性を獲得していることが挙げられます。結核菌に効く薬剤の開発が急ピッチで進められていますが、シドニー大学の研究チームが結核菌に効果の高い化合物が発見したという報告がありました。

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結核

多くの国では過去のものだと考えられている結核。

だがその結核が現在感染症の中でも大きな課題となっているのをご存知だろうか?

結核による死者は年々増加しつつあり、現在ではその死者はHIVに次ぐほど多くなっており、2015年においては世界で1040万人が感染し、140万人が亡くなっている。

その背景には、結核を起こす微生物Mycobacterium tuberculosisが薬剤への耐性が高くなっていることが挙げられる。

2015年では推定480,000例において、結核治療に使われる薬剤のうち二つが効果がなかったと考えられ、死亡例のうち250,000例以上がこのような耐性菌がによるものだったと考えられる。

そのため、このような薬剤耐性をもった結核が世界に広まる前に、新たな結核治療薬を開発することが急務となっている。

薬はどこで見つかった?

シドニー大学の研究チームは、結核菌に効く新たな化合物を発見し、合成に成功したと報告した。

その化合物を見つけたのは、実は土の中だという。

彼らは土の中に住む細菌の中で、他の細菌の生育を阻害する菌を見つけ出し、どんな薬剤がその性質に関与しているのか研究した。

そして様々な分析を行い、その化合物を突き止め、合成を行ったのだ。

通常ある効果を発揮する化合物が見つかると、研究者はそれに似た化合物を作り出し、どんな菌に効果があるのか検討する。

もちろん彼らも同じ戦略により、多種多様な類似化合物を作り出し、結核の原因であるMycobacterium tuberculosisを用いてその効果を検討したところ、十分に殺すことができることを明らかにした。

どうやって作用するのか?

今回見つかった化合物は、結核菌の中で細胞壁を作り出す鍵となるタンパク質の機能を阻害することで効果を発揮していることも判明した。

細胞壁は微生物にとって、外界と自分を隔てる重要な壁となっている。

そのため、微生物はこの細胞壁が無くなると死んでしまうのだ。

しかも今回、化合物が阻害した細胞壁を作り出すタンパク質はこれまでのターゲットとなっていないタンパク質である。

つまり現在の薬剤耐性菌にも効果がある可能性が高い。

さらに新しい化合物は結核菌が人間の肺に感染し、さらにその中のマクロファージの中に入り込んでいたとしても、効率的に殺すことができたという。

世界中で猛威を振るっている結核菌。

この新しい薬剤が、結核菌との戦いに終止符を打つことが期待される。

結核はまだたまに聞きますが、私自身過去のものだと考えていました。周りに結核になったなんて人はいませんし、結核で亡くなったという話も聞かないからです。それがこれほどまでに世界では結核で亡くなっている人がいるというのは驚きでした。

確かに海外に行くためビザを取る際、結核にかかっていないかチェックする欄があったりします。なんでこんなこと聞くんだろう、そんなに重大な病気なのか?と不思議に思ったことがありますが、それほどまでに世界で懸念されている感染症の一つだということを、恥ずかしながらこの記事を書いていて知りました。

さて今回の研究に関してですが、ノーベル賞を受賞された大村智教授を思い出しました。大村教授が発見したイベルメクチンもゴルフ場の土に住む微生物から取られたものだからです。こういった様々な化合物が自然界から見つかるのを知ると、自然界での生存競争は激しいんだなぁと思ってしまいますね。まだまだ世界には見つかっていない微生物、そして見つかっていない化合物がたくさんあることでしょう。いかに新しい化合物を見つけるか、そこに人類を救う鍵があるのかもしれません。

元記事はこちら(Drug lead identified in fight against TB. Antibacterial compounds found in soil could spell the beginnings of a new treatment for tuberculosis.)

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