1原子にデータを記録!磁気とトンネル効果を用いたデータの記録・読み出し法の研究!

何千枚という写真を小さなUSBメモリに記録させることも可能になった現在。フロッピー時代を知っている世代からすると、記録媒体が随分と小さく、そして大容量のデータを記録させることができるようになったなぁとしみじみ思うのではないでしょうか。ですが研究者はさらに大容量化を目指し、1原子にデータを書き込むという究極的な手法の開発を進めています。

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1原子にデータを書き込む?!

IBMとスイス連邦工科大学ローザンヌ校の研究チームは、1原子の磁気的性質を用い、データの読み書きに成功したと報告した。

現在、ハードディスクやUSBメモリなど記憶デバイスというのは驚くほど小さくなってきている。

一体このような電子デバイスはどらくらいまで小さく、そしてどれくらいまで容量は大きくなるのだろうか?

記憶デバイスの仕組み

このような記憶デバイスは磁気を用いたり、物質の変化を用いたりすることで、データを記憶し、読み書きの際は1か0という二つの電気シグナルへ変換することでデータとして使用している。

その1、0を記憶するための物質のサイズが小さくなることにより、デバイス自体が小さくなってきているのである。

では1、0を記憶するための究極の最小サイズはどらくらいのものなのだろうか?

答えは原子サイズである。

これまでにある原子が特殊な状況に置かれると、磁気的性質をもつことが明らかになっている。

磁気といえば、ハードディスクの原理も用いたものであり、すなわち1、0を記憶するための物質のサイズは原子サイズとなるわけだ。

しかし現在では原子一つにデータを書き込める記憶デバイスは販売されていない。

それは原子一つの磁気の性質は安定しないため、データを安定的に記録、読み書きできないためである。

Magnetic Resonance:磁気共鳴

研究チームは磁気共鳴という現象を用い、1原子にデータを記憶させる手法を用いている。

研究チームはハロニウムと呼ばれる1原子の磁気的性質が一番強いレアアース(地球上に存在する量が少ない金属)を用い研究を進めている。

このハロニウムを酸化マグネシウム基板の表面に吸着させることで、ハロニウムは磁気の性質を帯びる。

そしてデータの読み書きには走査型トンネル顕微鏡と呼ばれる装置を用いる。

この顕微鏡は通常イメージされるレンズを用いた光学的顕微鏡ではなく、金属の針で物質の表面をなぞることにより、物質の形を調べる顕微鏡だ。

その金属の針の先端は1原子レベルのサイズになっており、この針の先端を試料に限りなく近づけると、トンネル効果と呼ばれる物質から金属へ電子が飛び移るという現象により、物質を検出する。

そしてデータの読み書き

データの書き込みは、走査型トンネル顕微鏡の金属針の先端をハロニウムに近づける。

そしてトンネル効果と用いて、パルス状に電流を与えることで、ハロニウム原子の磁気の状態を反転させ、データを書き込む。

また読み出しにおいては、トンネル磁気抵抗効果と呼ばれる現象を用いて読み出す。

磁気抵抗効果とは、外部磁場によって電気抵抗が変化する現象である。

つまりハロニウムの磁気状態が変わることで、電気抵抗が変化するのを利用するわけである。

現在では1原子にデータを書き込むのに、恐ろしく膨大なコストがかかっているのだが、いつの日か家庭で利用できるレベルまで開発が進むことを期待したい。

1原子レベルの磁気の状態を変化させ、そして読み取れるようになったとは驚きですね。データを記憶させる媒体は大きく変遷しており、初期では紙テープに穴を開け、それを物理的に読み込むということがされていました。そして磁気をりようできるようになったことから、記憶媒体は大きく進歩し、ハードディスクが生まれ、コンピュータの進歩を加速させてきました。

その後は物質の電気状態の変化を用いたシリコンデバイス。いわゆるUSBメモリへと進化しました。USBメモリの登場により、据え置き型のコンピュータから、モバイル型のコンピュータへの移行が加速され、スマートフォンの普及に貢献してきたのではないかなと思います。

そのUSBメモリの1、0を記録させるための物質のサイズは縦横100〜200ナノメートル程度。では原子1個のサイズはというと、数ナノメートル程度です。つまり単純に計算しても、同じサイズで数十倍のデータを保存させることが可能になるかもしれません。もちろんそう単純に比較できないとはいえ、飛躍的に記録できるデータ量が増加する可能性はあるでしょう。

新しい技術が出てくると、新しいデバイスの登場が期待されることから、今度はどんなデバイスへと繋がるのか、今から楽しみですね!

元記事はこちら(Storing data in single-atom magnets)

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