夢は水と二酸化炭素、そして太陽の光からエネルギーを作ること!研究のハイスループット化によりその夢が現実に?!

クリーンなエネルギー、そして再生可能なエネルギーを目指し、世界中で活発に研究が進められています。その一つにあるのが、ソーラー燃料。水と二酸化炭素、そして太陽の光のエネルギーを用い、燃料を作り出そうというのです。しかしまだまだその効率は低いことは確か。実験を一度に大量に行えるように整備することで、その夢が現実のものとなる日もそう遠くないのかもしれません。

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ソーラー燃料

カルフォルニア工科大学の研究チームは、水と二酸化炭素、そして太陽の光から燃料を作りだすソーラー燃料の研究のため、新しいアプローチを開発している。

ソーラー燃料は、太陽光のエネルギーを用いて、水と二酸化炭素から作られた燃料のことで、石炭や石油、天然ガスなど化石燃料の置き換えに期待されている。

このような燃料は炭素の鎖が長く伸びている構造をしており、その所々に酸素と水素が存在する。

その構造を二酸化炭素の炭素と酸素、そして水の酸素と水素からつくりだしてやろうというわけだ。

しかしながら二酸化炭素や水は反応性に乏しく、たとえ二酸化炭素と水を混合し、太陽の光を当てたとしても、燃料ができることはない。

水を分解する?!

現在の研究の課題は、いかにして水と二酸化炭素を反応させるかということだが、その手法には水分解という手法が取られる。

水は一つの酸素原子と二つの水素原子からできているが、十分なエネルギーを与えると、水から酸素原子と水素原子を得ることができる。

そして水素原子を二つ結合させると水素ガスができ、また二酸化炭素と結合させると炭化水素、いわゆる燃料を作ることができる。

水も二酸化炭素も地球上に豊富にあり、二酸化炭素は空気中に放たれたとしても、もともと空気中の二酸化炭素を使うことから、クリーンで再生可能なエネルギーとして利用できる。

しかしこの水分解、そう簡単には起こることはない。

もちろん太陽の光だけで起こるような現象ではない。

光による水分解を助ける”触媒”

そこで用いられるのが、触媒と呼ばれる物質だ。

触媒は、ある化学反応において、その反応が進むよう手助けをする物質の総称である。

そして自分自身はその化学反応により変化をすることはない物質だ。

研究者は太陽光のエネルギーを用い、水分解を助けることのできる触媒を探索を続けてきた。

そして40年間以上の探索の結果、16種類の触媒を発見した。

これを多いと見るか少ないと見るかは個人の感覚があるだろうが、現状でも実用化に至っていないことから、現在でも新たな触媒の探索・開発が続けられている。

ハイスループット化により新たに12種の触媒を発見!

しかし40年間で16種、そして実用化に至っていないことから、これまでの探索手法のままでは実用化にはまだまだ時間がかかってしまう。

つまり何らかの方法により研究を加速させる必要があると考えられるのだ。

そこで研究チームがとった戦略は、コンピュータを用いた理論学的手法と実験的手法を組み合わせるという戦略だ。

これまでの研究手法は個々の物質を一つ一つ実験で検討し、目的にあった物質を探し出すという手法である。

しかしこの手法は、膨大な数ある物質を一つ一つ検討することから、手間がかかり、コスト、そして時間もかかってしまう。

今回、研究チームは探索・実験を二つの段階に分けて、大量に行えるようにセッティングした。

一段階目はコンピュータを用い、データベースから有用だと思われる物質を、その性質をもとにスクリーニングした。

そして二段階目は効果が期待できる物質のみ、並列的に、そして大量に検討できる実験系を組み、検討を行ったのだ。

このように大量の実験を並列的に行うことを、ハイスループット化という。

そして今回研究チームは、174の金属バナジウム(バナジウムは元素の一つ)を含む化合物を探索し、最終的に12の新しい触媒候補を見つけ出した。

今後さらに膨大な数の化合物から、新しい有用な物質の探索が行われ、実際の実験に適応されることで、ソーラー燃料は実用化に近づくことが期待される。

なんとまぁ壮大な夢なのでしょうか。地球上には水は豊富にある、そして二酸化炭素はものを燃やせば出てくる、さらに太陽の光は何もしなくても得られるエネルギー。そんな三つを組み合わせ、燃料にしてしまおうというのは、まるで無限のエネルギーを得るかのごとく、ではないでしょうか。

しかしもう40年以上も研究が続けられていますが、その壮大な夢が実用化されていないということは、まだまだ何らかの課題が残っているのでしょう。少し調べてみると、企業では人工光合成という名のもとに豊田中央研究所やパナソニック、東芝、昭和シェルが有機物を作りだすのに成功しています。大学だけならいざ知らず、このような大企業が率先して研究を行っているのにも関わらず、実用化されていないということは、結構大きな課題なのかもしれません。

しかし技術は日々進歩しており、今回のようにこれまでできなかったような大量の実験を並列してできるようになることで、研究のスピードは確実に加速されることでしょう。いつの日か人間は無尽蔵のエネルギーを得ることができるのでしょうか。今後の進展に期待したいものです。

元記事はこちら(New Materials Could Turn Water into the Fuel of the Future. A new materials discovery approach puts solar fuels on the fast track to commercial viability)

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