二酸化チタンの光触媒活性を15倍以上も向上!工業への利用に大きな期待!

光触媒というのは皆さんも聞いたことがあるでしょう。外壁のコーティング材や便座のようなセラミック製品、また抗菌性能を表示したタオルなど、すでに我々の生活で広く使われています。ですがその光触媒活性は用途によってはまだまだ不十分。さらに光触媒活性の高い材を開発しようと研究が続けられています。

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二酸化チタンと光触媒

オーストラリア国立大学の研究チームは、太陽光を使い、安価に、そして迅速に水を浄化できる材料を作り出したと報告した。

この材料は、これまで使われている光触媒である二酸化チタンを元に作られているという。

二酸化チタンは太陽光を当てると、その光に含まれる紫外線が二酸化チタンと反応し、水から活性酸素を作り出す性質がある。

そしてその活性酸素は化合物や微生物、ウイルスと反応して、分解する。

そのため家の外壁に塗ることで、自己浄化材として使われたり、人が触るドアノブや便座などに使い、感染症を防ぐといった目的で、すでに我々の生活で広く普及しているものである。

欠点とドーピング

しかしながら二酸化チタンの光触媒機能は、まだまだ汚染物質の分解には長い時間がかかる。

そこで研究チームは、二酸化チタンをベースにさらに光触媒活性が高い材を検討した。

二酸化チタンは化学式で書くとTiO2であり、通常結晶状態となっている。

つまりチタンが酸素を介して、連続的に繋がっている。

彼らはその中である一定間隔で、窒素やニオビウムといった他の元素に置換したのである。

この手法をドーピングといい、今回のように材料の効果を向上させたり、性質を変化させるためによく使われる手法である。

15倍も効率向上?!

実験においては、この材を分散させた汚染物質を模した分子を含む水とこれまでの製品を比較したところ、新しい材は20分でほぼ全てを分解できたのに対し、これまでの製品では1時間経っても26%しか分解できなかった。

計算上、15倍以上もの効率の向上に成功したと考えられる。

この技術は水の浄化の短時間化への応用が期待されるが、活躍の場はそれだけではない。

家やビルの外壁やガラスにおいて自己浄化作用をより効率良いものとすることもできるし、さらには光活性機能を利用し、化学物質の合成などにも使うことができる。

効率が上がることで、多くの工業分野において利用することが可能なのだ。

一時期は、空港やショッピングセンターなど人が集まるところに、光触媒活性装置をおいて、電気を使わず、空気を浄化しています!といったものが話題になりましたが、最近は少し落ち着いてきたように思います。しかし話題に上らなくなったということは、目新しさがなくなったという意味であり、我々の生活に広く浸透したという証拠ではないでしょうか。

しかし間違えてはいけないのが、汚れた部位に光が当たったら、即座に汚染物質を分解してくれるわけではないということ。例えば光触媒機能のあるドアノブに、誰かが病原菌がついた手で触った後、すぐに自分が触ってしまったら、自分の手に病原菌がつく可能性があるのです。つまり光触媒製品が身の回りに増えたからといって、安心していては、こういった感染症が拡大する原因になるのです。

また光触媒により生み出される活性酸素は何も汚染物質や病原体を見分けて分解しているわけではありません。活性酸素は人間にも作用し、悪影響を及ぼします。現在の光触媒製品は光触媒活性が弱いため、触れても安全ですが、その活性が強くなればなるほど、人体への影響は気をつけなければなりません。

何はともあれ光触媒活性の高い材があるという選択肢が増えたことは、用途が広がるため喜ばしいことでしょう。人が日常的には触れないところはこのような光触媒活性が高いもの、触れるところはやさしい光触媒活性のものとなってくると感染症とか汚染物質とかに気を配らなくてもよい世の中になるのかもしれません。

元記事はこちら(Chemists can rapidly purify wastewater with sunlight)

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