患者により負担の少ない冠状動脈の血圧を測定するiFRと呼ばれる手法の開発!

具合が悪く、病院へ行くと、血液検査だったり、長時間動いてはいけない検査だったり、苦痛を伴う検査をしなければいけないこともありますよね。具合の悪さと検査での苦痛でより体調が悪化してしまう気がするなんて言われそうですが、研究者たちはなるべく患者に負担をかけない手法の開発しようと研究を続けています。

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ステント治療

心筋梗塞や脳梗塞、大動脈瘤、狭心症など何らかの理由により血管が狭くなることにより、十分な血流が確保できない疾患の場合、そのまま放置しておくと、血管が詰まり、障害を引き起こしたり、最悪の場合死に至ることがある。

そのような時には十分な血流を確保する治療が必要となる。

十分な血流量を確保するには、狭くなった血管を迂回するバイパス手術や詰まりの原因を溶かす薬物療法などがあるが、一つの選択肢として、ステント手術がある。

ステント手術とは、ステントと呼ばれる金属でできた網目の筒状のもので、血管の内側から血管を狭くしている原因ごと広げ、血流を確保する手術である。

通常、カテーテルと呼ばれる血管よりも細い管を血管内に挿入し、縮めたステントを病変部まで運んだ後、金属がもとのサイズに戻る力を利用して縮まった血管を押し広げる。

iFR:instantaneous wave-Free Ratio

インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、薬剤を使うことなしに、重要な血管が細くなってためにおこる圧力のロスを測定するiFR(instantaneous wave-Free Ratio)を開発している。

iFR自体は2013年にアメリカ食品医薬品局により認可されており、すでに世界中の4,500を超える研究室にて用いられているのだが、最近の研究においてその有用性が疑問視されており、その有用性の実証やよりよい手法となることが望まれている。

冠状動脈の血圧を測定することは、患者にステント治療を施すかどうかの決断において、重要な指標となる。

現在のガイドラインにおいては、FFR(Fractional flow reserve)と呼ばれる強力な薬剤(アデノシン)を用いて、血管を広げさせ、より簡単に冠状動脈の血圧を測定する手法が行われている。

しかしこの手法では、激しい痛み、血圧の低下、息苦しさなど患者に苦痛を与えるものであり、時間的にも費用的にも高くつく検査である。

そして最近、より患者に負担をかけず、時間が短く、コストが安いが、正確性はFFRと同じiFRという手法が開発された。

どちらも細いワイヤーを用いて、冠状動脈の血圧を測定するのだが、iFRではアデノシンの使用なしし、安静時の血流を数学的アルゴリズムを用いて測定する。

正確性は同じでもiFRの方が患者に負担が少ない?

今回の研究では、世界17カ国における2,492の胸の痛みや心臓発作を患っている患者において、iFRかFFRによる冠状動脈の血圧測定を行ない、ステント手術が必要かどうか検討を行なった。

そしてその後、12ヶ月間追跡調査を行なった。

その結果、二つの手法を用いた際の死亡率や心臓発作発生率において違いは見られなかったが、患者において不快な思いをした人は、FFRでは31%、iFRでは3%と大きな違いが見られた。

その不快な思いとは、例えば呼吸が浅くなることでは、FFRを用いた患者では20%、iFRを用いた患者では1%、胸の痛みにおいてはFFRが7%、iFRがほぼ2%、心臓のリズムの乱れでは、FFRが5%、iFRではほぼ0%、異常な血圧の低下では、FFRが1%、iFRがほぼ0%という結果であった。

また検査時間においては、FFRが平均45分、iFRが平均40分とiFRの方が短くむことも明らかとなった。

医療において検査が重要なのは理解できるのだが、もし正確性が同じでより痛みの少ない手法があるのであれば、より患者にとって好ましいものであると言えるだろう。

患者に負担をかけないということは、医師にとっても有益なのではないかなと思います。体調というのは、ちょっとした身体的苦痛や精神的苦痛によって簡単に変化してしまうものであり、検査結果に影響を及ぼす可能性は否定できないことでしょう。

一番好ましいのは、患者に何も触れずに、日々の生活の中で、病気の診断を行うことですが、それはまだまだ現在の医療技術では達成できていないことです。インフルエンザにかかれば、鼻の中を綿棒でつつかれますし、糖尿病の検査には血液を取ることが必要ですし、消化器のポリープやがんを発見するには、胃カメラを飲むことが必要とされます。

そのようなことを考えると、やはり健康でいることが一番であり、現在提唱されている予防医療の概念というのは、患者にとっても医師にとっても重要だと考えられます。いかに健康に過ごし、検査や治療を必要としないか、一番効率のより方法を考えることが、今後の医療を左右するのではないかなと思います。

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