人工衛星を用いて、より正確に植物の生育状況を知るための手法!キーワードは反射と蛍光だった!

GPSや地図など知らず知らずのうちにお世話になっている人工衛星。現代社会ではお世話にならない日はないと言っても過言ではないでしょう。そしてその人工衛星は生活に密着した形だけでなく、地球環境を知るためにも重要な役割を果たしています。そしてその精度を上げるため、まだまだ研究は続けられています。

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人工衛星の有用性と課題

スタンフォード大学の研究チームは、衛星写真を用いて、植物の生育状況を把握する新しい手法を開発したと報告した。

これまでに世界各国で打ち上げられたシャトルや輸送機、そして人工衛星を含む人工物の数は7,600機を超えていると言われている。

そして使用年数が経過し、回収されたものや落下したものを除き、現在地球の周りを回っているものの数は4,400機以上あると推測されている。

その中でも人工衛星は我々の生活になくてはならないものになっており、例えばGPSやGoogle mapを始めとする地図など幅広く使われている。

また政策や研究の題材としても重要であり、作物の管理や森林伐採の観測などから食料供給を予測したり、地球温暖化の防止策の議論など、重要な役割を担っている。

しかしながら宇宙から地表を観察・撮影するにあたり、度々問題になることがある。

それは雲や土壌、雪などが光を反射し、正確な観測ができないということである。

植物からの蛍光

そこで研究チームは、この欠点を解決し、比較的簡便な方法でデータを集める方法を模索した。

しかも新しい機能をもった衛星を打ち上げることなしに、現在の衛星を用いて行う方法だという。

人工衛星を用いて、農業のデータは1972年より集められているが、その仕組みとしては植物から反射する光を用いているものだった。

今回の技術のブレイクスルーとなったのは2011年のことであり、植物からの光の反射を測定するのではなく、ある物質が光を吸収し、波長(簡単にいうと色)を変えて光を放射する、いわゆる蛍光が植物から放たれていることを突き止めたのである。

そこで研究チームは、植物からの反射だけでなく、蛍光を測定することにより、これまで悩まされてきたノイズを除去することに成功し、植物が生育している領域の正確な測定をすることができるようになったという。

現在、世界は食料問題から地球温暖化、生物多様性など、植物が関与している多くの課題に直面している。

そのような問題を解決するためには、まずは現在の地球がどのような状況に置かれているのか詳しく知る必要があり、今回の手法がそのために大きく貢献すると期待される。

植物からの蛍光はかなり弱いような気もしますが、それを検出できるようになったというのは、なかなかすごいことだと思います。しかも最新機器を搭載した人工衛星を新たに打ち上げる必要がないということは、検出アルゴリズムを改良したということなのでしょうか。

蛍光というのは、多分みなさんにも馴染みのある現象でしょう。勉強をするときに蛍光ペンなんかを用いる方もおおいことでしょうし。では蛍光って何?と聞かれるとなかなか正確に答えられないのではないでしょうか。

蛍光というのは、学術的にいうと短波長の光を照射した際、物質が励起され、超波長の光が出る現象のことを指します。光というのはエネルギーをもっており、そのエネルギーは波長によって異なります。例えば紫外線というのは、光の波長が短く、大きなエネルギーをもっており、逆に赤外線は波長が長く、エネルギーは小さいです。虹は赤橙黄緑青藍紫と習いますが、エネルギーの弱いものから、強いものへの並んでいるわけです。

そしてある物質にエネルギーの強い光を当てると、物質の中に存在する電子が光のエネルギーを受け取り、エネルギー的に高い状態になります。これが励起と呼ばれる現象です。しかしこの励起された状態というのは、不安定なもので、安定な状態、つまりエネルギーの低い状態に戻りたがります。そうなるとエネルギーを何らかの形で放出し、低いエネルギーの状態に戻る必要が出てきます。そのとき放出するエネルギーが光となる現象が蛍光というわけです。

そのため、青色の光(エネルギーが高い)を当てて、赤色の光(エネルギーが低い)を放出する蛍光は存在するのですが、赤色の光を当てて、青色の光を放出する蛍光は、特殊な手法を用いない限りありえません。現象としてはなくはないのですが、最先端の技術を用いても、ものすごい低い確率でしか観測されないので、今回は割愛します。

このように蛍光というのは、光を放出する現象なので、蛍光ペンは単なる色ペンと比べて輝いているように見えるわけです。また蛍光は一瞬のうちに起こりますが、時間をかけてゆっくりと光を放出する燐光という現象もあります。アナログ時計の針が光っているのはこの燐光の現象を用いているのです。

何はともあれ、蛍光とか燐光というのは、我々の生活の中で広く使われている現象である上、最先端の研究でも使われている重要な現象です。今度から蛍光ペンを使う際には、この話を思い出し、これが最先端の研究に役立っているのかなんて思いを馳せてもらえると嬉しいなと思い、蛍光の話をしてみました。

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