パブロフの犬はなぜ起こるのか?オプトジェネティクスと呼ばれる最新技術を使い、その謎に一歩迫る!

パブロフの犬という言葉を聞いたことがある人も多いことでしょう。条件反射において重要な実験なのですが、条件反射が起こることは分かっても、何故そのような現象が起こるのかは謎に包まれています。今回、条件反射は脳のある部位の中でも、ほんの少しの細胞により、シグナルが増幅されているということが報告されました。

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パブロフの犬

生物の生理作用の中には、反射という反応が存在する。

反射とは特定の刺激により、意識せずに行われる行動のことを言い、熱いものを触ってしまったときに手を離す行動や、強い光が目に入ったときに目を閉じるような行動も反射の一つである。

上述した反射は危険察知のために生物のシステムとして組み込まれたものであり、経験や訓練により得たものではない。

だがその反射の中にも経験や訓練で得られる反射というものが存在する。

それが条件反射である。

条件反射の実験は「パブロフの犬」という実験が広く知られている。

ソビエト連邦のイワン・パブロフが行なった実験で、犬にメトロノームに聞かせた後、犬に餌をを与えることを繰り返すと、犬はメトロノームの音を聞くだけで、唾液を出すようになるという実験である。

この条件反射は哺乳類だけに見られるものではなく、アメフラシやゴキブリなどでも起こることが研究により明らかになっている。

だが、なぜそのような条件反射が起こるのか、そのメカニズムに関しては未だ不明な点が多い。

線条体の2%の細胞が条件反射に関連している?

カルフォルニア大学ロサンジェルス校の研究チームは、マウスを用いた実験により、条件反射に重要な脳の領域を同定したと報告した。

彼らはパブロフの犬の実験のように、マウスにバナナやレモンのような香りを嗅がせ、その後にコンデンスミルクを与えることを繰り返し、マウスに香りと餌の条件づけを行なった。

マウスにこのような条件付けを行うと、香りを嗅がせると、パブロフの犬の唾液分泌とは異なり、空中を舐めるような行動を起こす。

このような実験の結果、線条体と呼ばれる脳の領域のうち、たった2%以下の細胞が条件によって活発化することを明らかとした。

もちろん条件付けを行なっていないマウスにおいてはこのような反応は見られない。

そして次にオプトジェネティクスと呼ばれる技術を用い、条件付けを行なったマウスにおいて、同定された領域の脳の活動を停止させてみた。

オプトジェネティクス

オプトジェネティクスとは日本語で光遺伝学と呼ばれる技術である。

動物に光応答性タンパク質(チャネルロドプシン)と呼ばれる光により反応を起こすタンパク質の遺伝子を導入する。

これにより光を当てるだけで、その細胞の機能をスイッチすることができるようになる。

この技術を用い、条件付けを行なったマウスにおいて、同定された脳の領域をスイッチオフにすると、香りを嗅いだときに舐めるような行動を起こすマウスの数は半分まで減少した。

つまりこの細胞の活動だけにより条件反射が起こるのではなく、ある場所で起こった条件反射への脳の活動が、今回同定された脳の細胞において、増幅されるということが示唆されたのである。

まだまだ謎に包まれた脳だが、このような革新的な技術と地道な研究により、いつの日かその謎が全て解明される日が来ることだろう。

オプトジェネティクスは最近考案された技術の中でも、ノーベル賞を取るだろうと言われているくらい重要な技術となっています。それは研究における実験の重要性に関連しているからではないかなと思います。実験を行う際、重要なのはレファレンスやコントロールと呼ばれる、いわゆるベースとなるサンプルが必要なのです。

例えばある遺伝子を微生物に導入して、光るかどうか検討しようとするとしましょう。その際、絶対に光らない遺伝子を導入する(ネガティブコントロール)ことと、絶対に光る遺伝子を導入する(ポジティブコントロール)ことを同時に行い、目的の遺伝子が光るのかどうか、光はどれくらいの強さなのかを検討します。

何故ならもしかしたら使った微生物自体が遺伝子を導入するという刺激だけで光るかもしれないですし、光る遺伝子だったとしても導入した微生物との相性で光らないかもしれません。こういった可能性を無くすためにコントロール実験というのは重要なのです。

しかし脳科学の分野の実験においては、なかなかそのコントロールを用意することが困難です。そのため、遺伝子をオンオフできて、両方を比較できる技術というのがずっと望まれてきたわけです。もちろんオプトジェネティクスは治療にも使える可能性があり、今後様々な分野で応用されていくことでしょう。基礎科学から応用科学まで広く使え、新しい分野を切り開いたオプトジェネティクスの技術はノーベル賞に値するのではないかなと思います。いつの日か、オプトジェネティクスがノーベル賞を受賞し、そのときにこんな記事も書いていたなぁなんて思いを馳せる日が来ることを願っています。

元記事はこちら

A UCLA study has traced the phenomenon to the same neurons that go awry during Huntingtons disease, Parkinsons disease and Tourettes syndrome.

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