何故食事の際、飲み物が欲しくなるのか?神経科学が明かすそのメカニズムとは?

激しい運動の後に、冷たい水をゴクゴク。気持ちいいですよね!でも自分の身体はどうやって水が必要だと感じているのでしょうか?そして水を飲んだらすぐに喉の渇きが癒えたと感じるのは何故なのでしょうか?神経細胞を自由に操り、その謎に迫った研究がこちらです!

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血液の変化と喉の渇き

”飲む”ということは人間が水を体内に取り入れ、体内の組成を一定に保つために、非常に重要な動作である。

塩辛いものを食べる、運動をして汗をかく、そうするとヒトは喉の渇きを訴え、水を飲みたくなる。

どちらも血液中の塩分濃度が変化し、その変化を元に戻すため、水を補給する必要がある。

だがここに一つの謎があった。

喉の渇きを感じ、水を飲むとヒトはすぐに喉の渇きが消えたように感じる。

だがこの時点では、水は血液まで到達しておらず、血液の塩分濃度は変化していないのだ。

水が血液まで到達するのには、水を摂取してから、10分程度かかる。

それにもかかわらず、喉の渇きが癒えたと感じるのは何故なのだろうか?

渇きを感知する神経細胞

カルフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは、動物が喉の渇きを感じるメカニズムを解明した。

喉の渇きを感知しているのは、脳の脳弓下器官と呼ばれる部位にある渇きを感知する神経細胞だ。

この神経細胞は体内の血液量がほんの少し下がったり、血液が濃くなったのを感知し、水を飲むようにシグナルを出す。

だが逆に水が十分に摂取されたことを感知し、飲むのをやめるようなシグナルを出すことはない。

何故なら、喉の渇きは水を飲見始めて、すぐに癒されてしまうから、そのようなシグナルを出す時間的余裕がないのだ。

神経細胞の活動を蛍光で見る?!

研究チームは、神経細胞が活動した際、蛍光を発するよう遺伝子組み換えを行ったマウスを用い、実験を行った。

もちろん今回活動しているか見たいのは、渇きを感知する神経細胞である。

マウスが喉の渇きを感じた時、つまり渇きを感知する神経細胞が活動した時、蛍光を観測できる。

そしてこのマウスを用い実験を行ったところ、マウスが水を飲み始めた直後に神経細胞の活動が収まり、それに続いてマウスは水を飲むのをやめた。

この結果は、この神経細胞は血液中の組成(水分量や塩分量など)をモニタリングしているというよりはむしろ、口や喉の中のセンサーにつながっており、食べ物や飲み物の摂取を即座に感知できるようになっていると示唆される。

神経細胞の活動をオンオフ!

さらに研究チームは細胞の活動を光により自由に制御できるオプトジェネティクスという手法を用い検討を行った。

渇きを感知する神経細胞を制御できるように遺伝子操作したマウスを一晩水の無い環境に起き、翌日水のある環境に移した。

その際、この神経細胞の活動をオフにした場合は、体内の水分量が少なくなり、血液濃度が上昇していると考えられるのにもかかわらず、マウスは水を飲まなかった。

その後、この神経細胞の活動をオンにした場合、マウスはごくごくと水を飲み始めたのだ。

食べ物と飲み物の関係

ほとんどの人が食事をする際、何らかの飲み物を用意することだろう。

また運動などで喉が渇いた時、冷たい水がものすごく気持ち良く感じることだろう。

この二つの答えは、これまで誰も明らかにしていなかった。

そこで研究チームは、今度はマウスを餌の無い環境に一晩置き、明くる日、水の無い状態で餌を与えた。

マウスが餌を食べ始めたほぼ直後に、渇きを感知する神経細胞の活動が活発化した。

餌と水を与えたマウスにおいても、この神経細胞の活動が上昇していたが、光により神経細胞の活動をオフにしてやると、マウスは餌を食べ続けながらも、水を飲む量が減少した。

また温度の違う水を与えた場合、水が冷たい時にはこの神経細胞の活動がおさまるまでの量が優位に減少した。

さらに温度が重要な要因だと考えた研究チームは、餌の温度を下げ、マウスに与えたところ、神経細胞の活動はおさまった。

これらの結果が示すものは、渇きを感知する神経細胞は口の中の状況をモニタリングしており、食事をとると水を飲むように設定されており、その渇きが癒えたと感じるのは口の中の温度が重要だということだ。

動物が生きるという中でも特に水の摂取というのは重要です。ヒトは食べ物がなくても1ヶ月以上生きられると言われていますが、水が無いと数日で死んでしまいます。現在でこそ、水はいつでもどこでも手に入りますが、長い進化の歴史ではそうでない時期もあり、その結果、このようなシステムが出来上がったのでしょう。普段何気なくしている”飲む”という行為。複雑に脳が制御しているのを聞くとどうも不思議な感じがしますね!

元記事はこちら(New Understanding of Thirst Emerges from Brain Study. Neurons ‘Predict’ Drinking’s Restorative Effects Well Before They Unfold.)

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