単純な構造を用い、集光をせずに水を温めるデバイスの開発!最後の決め手はプチプチでした!

現在、水を熱するには様々な方法がありますが、自然の力を利用して、大規模にそして安価にとなるとなかなか良い手法というのはないようです。もし放っておくだけで、効率的に水を熱する方法が生み出されれば、多くの分野に活用できるのですが…そんな方法が考案されたというのが今回紹介する研究です。

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Solar vapor generator

みなさんはお湯を沸かすとき、何をするだろうか?

やかんに水を入れ、火にかけたり、電気ケトルに水を入れ、電気で沸かすなどの方法があるだろう。

マサチューセッツ工科大学の研究チームは、簡単な構造を用いて、太陽光を使って水を沸かす方法を選択した。

太陽光で水を沸かすのは昔から行われており、通常はレンズやミラーを用いて集光することで、光のエネルギーを大量に水に与え、水を沸かす。

だが彼らはレンズもミラーも用いず、緩衝材で使われるプチプチ(エアクッション)とスポンジ状のデバイスにより水を沸かすことに成功した。

一体どういう原理なのだろうか?

集光しないで水を熱する?!

研究チームはこれまでにも太陽光により水を沸かす素材を開発している。

2014年に発表したのは、グラファイトと炭素発泡材を用いたデバイスで、太陽光を吸収し、そのエネルギーで水を沸かすものだ。

そのデバイスでは太陽光のエネルギーの85%を水の熱に変換することに成功し、水を100℃まで熱すことができることを証明している。

だがそれも集光なしでは不可能だった。

太陽光を10倍集光することで、その効率を達成していたのだ。

だが集光するということは大掛かりな集光システムが必要となり、例えば屋根の上で水を温めるといった用途には向かない。

そこで研究チームは、単に水を熱するだけでなく、もう一つ課題を加えた。

それは集光しないで水を熱するということだ。

新しいデザイン

そこで研究チームは新しいデザインに取り組んだ。

新しいデザインのコンセプトは、光の波長を選択的に吸収する(spectrally-selective absorber)というものだ。

そこで用いた素材の一つが太陽光ヒーティングシステムに使われる薄く、青色の金属に似たフィルムだ。

この素材は可視光を効率よく吸収し、熱に変える。

通常熱せられた物質は、赤外光として熱を放出してしまうが、この素材は赤外光を発しない。

そのため光を吸収し、熱としてトラップでき、熱のロスを最小限に抑えることができる。

そして研究チームは熱を伝える素材として、銅を選択した。

光の波長を選択的に吸収する素材を銅でコーティングし、熱を通さない発泡スチロールにはめ込み、水に浮かべた。

つまり水の上から熱を伝えようとしたのだ。

だがこの試みは上手くいかなかった。

赤外光による熱の散逸はなかったのだが、空気がデバイスの表面を対流してしまい、冷やしてしまっていたのだ。

最後の素材はプチプチ

最後の鍵となる素材は空気緩衝材であるプチプチだった。

空気の対流が起こるのはデバイス上部であり、光を吸収する側だ。

つまり光を吸収せず、空気の対流が起こらないように、そして熱を逃がさない素材が必要だった。

プチプチはプラスチックでできており、可視光は十分に透過できる。

そして空気がサンドイッチされており、熱を伝えない素材だ。

もちろんカバーすることで空気の対流も抑えれれる。

研究チームがプチプチでデバイスを包んだところ、水の温度は71℃まで熱することができ、その効果を実証することができた。

今回のような安価で効率のよく水を沸かす手法は、海水淡水化や住居の水循環ヒーティングシステム、汚水処理や医療器具の滅菌処理などに利用できるため、広い分野で活用されることだろう。

今回の研究はもう現状で手に入るものを組み合わせ、新しい効果を生み出すという、まさに発明と言えるものではないでしょうか。何度かマサチューセッツ工科大学の記事を書いていますが、本当に最先端の技術を生み出す研究もあれば、今回のように現状ある素材を用いて新しい機能を生み出す研究もあります。この柔軟性はイノベーションを起こすためにも必要なことなんだろうなぁと思わず感心してしまいます。今度はどんな研究がマサチューセッツ工科大学から発表されるのか、いつもワクワクして調べているひろやんだったりします。

元記事はこちら(Sponge creates steam using ambient sunlight. Bubble-wrapped structure requires no mirrors or lenses to focus the sun’s heat.)

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