人間が産み出した二酸化炭素と海の生態系の関係!海が酸性化することによりダメージを受ける生物たち

工場や交通により排出されるガスは大気を汚染し、我々の健康や生態系、そして地球温暖化に影響すると懸念されています。ですが地球の環境は循環しているもの。空気を汚染すれば、水も汚染されます。大気中の二酸化炭素が増加することにより、海が酸性化し、その結果、海中の生物に影響する、そのような汚染の循環も懸念事項として挙げられています。

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海の酸性化

地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素。

産業革命以降、化石燃料を燃やすことで、エネルギーを作り出してきたが、この燃焼の過程で二酸化炭素は生み出される。

二酸化炭素は太陽の光により温められた地表から放出される赤外線をトラップし、熱を貯めてしまうことから、地球の温度を上昇させる。

だが大気中に大量の二酸化炭素が存在することにより起こる悪影響はこれだけではない。

大気中の二酸化炭素は海水に溶け込み、海のpHを酸性化してしまう。

海水に溶け込んだ二酸化炭素はイオン化し、炭酸水素イオン(HCO3)と炭酸イオン(CO32-)という形で存在する。

溶け込む二酸化炭素の量は、大気中に存在する二酸化炭素と海水中の二酸化炭素や炭酸水素イオン、炭酸イオンのバランスによって決まる。

つまり大気中の二酸化炭素の量が増大すれば、海水に溶け込む二酸化炭素の量も増大し、海を酸性化してしまうのだ。

海が酸性化することによる影響

海のpHはほぼ8程度で保たれている。

それは先ほどの炭酸水素イオンと炭酸イオンが、環境で多少のpH変化があったとしても、それを打ち消すような能力をもっているためである。

そのため海の生物の多くはこのpH8というアルカリ性の環境で生存できるように進化してきた。

では海が酸性化すると、これら海の生物にとって、どのような影響があるのだろうか?

多いな影響を受けるのは、翼足類と呼ばれる巻貝たちである。

有名な翼足類の生物としては、流氷の天使と呼ばれるクリオネが挙げられる。

この翼足類の生物はアラゴナイトと呼ばれる炭酸カルシウムの殻をもっている。

だがこのアラゴナイトはpHの変動に弱く、pHが低下する、つまり酸性になると溶けてしまうのだ。

現在のpHは8.06と言われており、この翼足類が殻を作れなくなるpHは7.84と言われている。

わずか0.22の差である。

では人間が産み出した二酸化炭素によって、海はどれくらい酸性化されたのだろうか?

サンプル採取の旅で気づいたこと

マサチューセッツ工科大学の研究チームが、太平洋北東部において、人間が産み出した二酸化炭素の影響を報告した。

彼らの報告では、この10年間で毎年平均0.002ずつ低下しているという。

研究チームは2012年に太平洋北東部における海の酸性化による翼足類の生物への影響を検討するため、サンプル採取の旅へと出かけた。

その一ヶ月の旅において彼らは翼足類の生物や海水の採取、温度、塩分濃度、pHの測定を行った。

実は彼らは2001年にも同様の旅を行っている。

そこで気づいたのは、2001年に採取したデータと2012年に採取したデータを比較することによって、この10年間で人間が産み出した二酸化炭素による影響を算出できるのではないかということだ。

調査と比較検討の結果

2001年と2012年のデータを比較することにより、研究チームはこの10年間で海が吸収した人間が産み出した二酸化炭素量は11マイクロモル/kgということを明らかとした。

また通常二酸化炭素は大気に近い海の表面が高い濃度となるが、太平洋北東部の中でも北部では海面から約300メートルのところのとどまっており、南部では海面から約600メートルのところにとどまっていることが判明した。

これは海流の循環によるものだと考えられる。

彼らがサンプルを採取した場所では、深いところから水が上昇してくる地点であり、大西洋の同じ緯度の地点では、もっと深いところに二酸化炭素は溶け込んでいる。

そして研究チームは海の表層部で人間が産み出した二酸化炭素が溶け込む量が増加し、それに伴ってpHが低下することで海の酸性化が起こり、その地域の翼足類の生態系に影響を与えるが、その影響は10年間以上継続すると考えている。

二酸化炭素はあまり水に溶け込まないというのは、実はみなさんの生活で使われている原理です。二酸化炭素を圧力をかけて水に溶け込ませたもの、つまり炭酸飲料です。蓋を開けて、圧力を下げると、しゅわしゅわと気泡が立ちますよね。それは溶けきれなくなった二酸化炭素が泡となって出てきているためです。私の中で二酸化炭素はあまり水に溶けないというイメージが先行し、二酸化炭素が海を酸性化させるほど溶け込むというのはなかなか考えもつかなかったです。

なにはともあれ、環境の一部を汚染してしまうと、その一部だけにとどまらないというのは、今後地球環境を悪化させないためにも重要な視点でしょう。そのため世界各国の首脳陣が集まり、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP:Conference of the Parties)が毎年開かれているわけです。今年のCOP22は11月にモロッコで開かれるそうですが、一体どのような会議になるのでしょうか。こういった環境問題に関しても、注目していきたいと思います。

元記事はこちら(Study finds increased ocean acidification due to human activities. More anthropogenic carbon in the northeast Pacific means weaker shells for many marine species.)

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