小さな星型のペプチドがスーパーバグと戦う手段になる?!抗生物質に変わる新しい抗微生物薬の開発

抗生物質の効かない微生物スーパーバグの出現により、抗生物質に代わる新しい薬剤の開発が急務となっています。しかしながらこれまで微生物との戦いにおいて、頼り切ってきた抗生物質。なかなかそれに代わるものの開発というのは困難が伴います。その状況において、メルボルン大学の研究チームが、星型ペプチドという新しい抗微生物薬の開発をしたと報告がありました。

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スーパーバグと抗生物質

微生物を殺す薬剤、抗生物質が発見されて以来、人間は微生物との戦いに多くの抗生物質を開発・使用してきた。

その効果の高さにより、人間は微生物との戦いに勝ったかのように見えたが、近年では、人間が開発したすべての抗生物質に耐性をもつ微生物、スーパーバグが出現し、微生物たちの反撃が始まっている。

このスーパーバグが出現する原因は色々とあるが、その一因は抗生物質に頼りすぎたということにあろう。

抗生物質がある環境に微生物が置かれると、ほとんどの微生物は死んでしまうが、抗生物質の微妙な濃度差だったり、もともと抗生物質に少し耐性のある微生物が生き残ってしまうことがある。

これが繰り返されると、その微生物は少しずつ遺伝子を変化させ、抗生物質への耐性を高くしていき、最終的には抗生物質に完全に耐性をもつことになる。

一種類の抗生物質にのみ耐性を示すのであれば、他の抗生物質を使用すれば済むことであるが、多種類の抗生物質を何度も長期間使用してきたことから、現在ではどんな抗生物質も効かないスーパーバグの出現を許してしまった。

このスーパーバグ、現在では病院や研究室など限られた場所でのみ発見されているが、試算では2050年までにスーパーバグは世界中に広まり、毎年1000万人が亡くなるとされている。

加えてこの過去30年間では、様々な抗生物質が開発されてきたのだが、その作用メカニズムは似ており、全く異なる作用メカニズムの抗生物質というと1つや2つ程度しか開発されていない。

今後微生物の攻撃を抑え込むためにも、人間は抗生物質に代わる新しい武器を開発することが必要となる。

星型のペプチド

メルボルン大学の研究チームは、抗生物質でない新しい抗微生物薬を開発した。

彼らが用いたのは、アミノ酸が数個つながったペプチドというものだ。

アミノ酸が大量に、約20個以上つながるとタンパク質と呼ばれるが、それより短い場合はペプチドと呼ばれる。

通常ペプチドは直鎖上で存在するが、彼らは数年前に星型のペプチドを作り出した。

その星型のペプチドが最近になって、微生物を殺すのにとても効果的であることが明らかとなった。

だが全ての微生物に効果的というわけではないらしい。

微生物はその細胞膜の構造により、グラム染色液で染まるグラム陽性菌と染まらない陰性菌が存在する。

グラム陰性菌の方が感染症を発症する菌としてより一般的であり、現在抗生物質に効かないスーパーバグへと変化しているのもグラム陰性菌である。

そして今回の星型ペプチドによって殺せるのはこちらのグラム陰性菌だ。

効果が高い薬剤で気になるのは、その副作用であるが、この星型ペプチドは動物実験においては毒性は示さなかった。

その作用メカニズムに関してはまだ明らかとなっていないが、現状でスーパーバグがこの星型ペプチドに耐性を示さないことから、従来の抗生物質のような一つの作用メカニズムではなく、複数の機能をもっているのではないかと推測される。

この星型ペプチド、スーパーバグに対抗する新しい手段となるのだろうか?

今後の開発や治験が期待される。

近年、ウイルスや微生物による感染症のニュースが頻繁に流れるようになったと感じています。エボラウイルスのように致死性のものから、ジカウイルスのように無症状に近いもの、そしてスーパーバグのように抗生物質に耐性を示すものなど様々です。ですが、もし発症まで無症状で、発症すると致死性、そして抗生物質の効かない感染症が出現した際には、世界は混乱の渦に巻き込まれることでしょう。そのような未来も予想されるため、日々研究者は精一杯研究を進めているわけです。研究者の努力が実り、感染症を撲滅できる未来が来ることを願っている今日この頃です。

元記事はこちら(Killing Superbugs with Star-Shaped Polymers, not Antibiotics)

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