遺伝子を用いてがんを転移させない!microRNAを用いた最新のがん治療とは?!

現在、病気の治療に関して注目を浴びている遺伝子。遺伝子を用いて、病気のなりやすさの解明から、病気の治療法まで色々と研究が進められています。特に注目されているのは、死因の第1位になっているがん。健康的で長生きするために克服したい病気ですが、がんを遺伝子を用いて、転移させないという新しい治療法の兆しが見えてきたようです。

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転移と遺伝子

ある臓器で発生したがん細胞が他の細胞へ移り、やがて全身へと広がることを転移という。

乳がんにかかった女性の多くは、この転移により無くなる。

マサチューセッツ工科大学の研究チームが、この乳がんの転移を抑える方法を開発した。

彼らが用いたのは、microRNAと呼ばれる遺伝子の機能を制御している短い遺伝子だ。

生命の設計図と言われる遺伝子は、DNAという物質からできている。

DNA(アデニン、グアニン、シトシン、チミン)には4種類あり、このDNAが繋がり、特定の並び方になることで、遺伝情報を蓄えている。

この遺伝情報であるDNAからは、タンパク質の鋳型として使われるRNAが作られ、その後タンパク質が作られる。

その際、どれくらいの量を作り出すのかということを制御しているのが、microRNAである。

バイオインフォマティクス

このmicroRNAによる遺伝子の制御はがん細胞が転移を防止することに重要であることは判明していた。

研究チームが最近発表した研究では、一塩基多型(SNPs)と呼ばれる遺伝子上の一箇所が通常と異なる配列になっている場合、遺伝子の制御がうまく行えず、ガンのリスクが高まることを報告している。

研究チームは今回、乳がんの増殖において重要な遺伝子を特定しするため、バイオインフォマティクス的手法を用いた。

バイオインフォマティクスとは、生命情報学ともいい、データベース上に蓄えられた遺伝子やタンパク質などの様々なデータを解析し、生命現象を解明しようという学問である。

研究チームは遺伝子多型、microRNA、乳がんに関連する遺伝子の情報が収められた三つのデータベースを探索した。

その結果、rs1071738と呼ばれる遺伝子多型が乳がんの転移に関係していることを明らかとし、その制御を行っているmicroRNAは、miR-96、miR-182であることを突き止めた。

乳がんの転移能を抑えることができるか?

だがこの段階ではまだまだ推測であり、実際にmiR-96とmiR-182がrs1071738を制御し、乳がん細胞の転移能力と関係しているかを明らかにするため、細胞を用いた実験を行った。

その結果、miR-96とmiR-182が減少するに伴って、乳がん細胞の転移能は優位に減少した。

さらに研究チームは、microRNAをハイドロゲルでコーティングし、ナノ粒子を作り出し、マウスに埋め込んだ。

ナノ粒子により、microRNAががん細胞に運ばれ、作用することを期待したわけである。

実験結果は良好で、microRNAは目的のがん細胞に集まり、転移能を劇的に減少させた。

このような遺伝子をターゲットにした創薬や目的の場所に薬剤を運ぶといった手法は現在多くの研究機関で開発が進められており、実際の治療に使われる日もそう遠くはないのかもしれない。

遺伝子治療とかゲノム創薬といった分野の研究ですね。病気は様々な原因により起こりますが、その一つとして遺伝子が注目されています。人はそれぞれ少しずつ異なった遺伝子をもっており、それが外見や性格などに影響を与えています。もちろん病気のなりやすさというのも、遺伝子が関係しています。そのため一人一人の遺伝子を解析し、病気の治療に役立てようという研究から、今回のように薬剤として使う研究まで幅広く遺伝子の研究が行われています。原因が分からなかったり、治療法が分からなかったりする病気はまだまだありますが、遺伝子という生命の設計図から、人間の仕組みが明らかになりつつある現在、どんどんと新しい治療薬や治療法が出てくることでしょう。

元記事はこちら(Gene therapy technique may help prevent cancer metastasis. Gene-regulating RNA molecules could help treat early-stage breast cancer tumors before they spread.)

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