炭素材料を用いない新しいキャパシタの開発!MOFs構造が切り開く新しいバッテリーの世界とは?

電気を蓄えると言われまず想像するのは電池やバッテリーでしょう。これらは電気を蓄えるのに化学反応を用いています。現在、新しいバッテリーとして、キャパシタと呼ばれる化学反応を用いないバッテリーが開発されています。ハイブリッドカーや電気自動車のバッテリーとして期待されているキャパシタ。より効率的に電気を蓄えるため、さらなる研究が続けられています。

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キャパシタ

英語ではキャパシタと呼ばれる電子部品。

日本ではコンデンサという名前のが一般的だろう。

キャパシタはその部品の両端に電圧を加えると、電極間に異なる電荷が生じ、電気を蓄えることができる。

化学反応を用いるようなバッテリー(電池や車のバッテリーなど)と比較すると、電荷という電気的に不安定な状態を用いることから、自己放電によって時間とともに電荷が失われてしまうため、蓄電できる時間は短い。

しかしながら、化学反応を用いるよりも充放電のスピードは早く、また劣化が少ないので、製品寿命はんがくなる。

現在、コンピュータなどの電子部品として大量に用いられているが、近年ではその蓄電量が増加していることから、ノートパソコンやハイブリットカー、電気自動車の電源としても使用可能となってきており、電気業界としても注目されている。

MOFs構造

マサチューセッツ工科大学の研究チームは、炭素を使用しない新しいキャパシタを開発したと報告した。

現在のキャパシタは、分極性電極とバインダー、導電助剤、集電極より構成されている。

キャパシタで電力を蓄えるために重要なのは分極性電極だが、現在では静電容量を増大させるため活性炭を使用し、活性炭を電極に保持するために、テフロンやゴムなどの高分子化合物を用いている。

だが彼らのキャパシタは活性炭を用いずに作製されている。

その構造はMOFs(Metal-Organic-Frameworks)構造と呼ばれ、金属と有機化合物を網目状に組み上げた構造をしている。

このMOFs構造は、多孔性、つまりスポンジ状になっており、これまでの炭素材料に比べ、表面積が格段に増加している。

電極表面に電荷を蓄えるキャパシタにとって、表面積が増大することは電気容量の増大が期待できる。

だが問題も存在した。

このMOFs構造は電気を通しにくいのだ。

電圧を加えることにより、電気を蓄えるキャパシタにとって、電気を通すことは必要な特性なのだ。

Ni3(hexaiminotriphenylene)2

そこで彼らが用いたのはNi3(hexaiminotriphenylene)2という材料だ。

この材料はこれまでにキャパシタに利用されている炭素材料と比べても、厳しい条件下でも利用出来ることが知られている。

その一つが温度である。

この材料は800℃という高温に耐えることができる。

彼らはこの材料を用い、キャパシタを作製してみたところ、最適化をしなくても現在のカーボン材料を元としたキャパシタの性能を上回ったという。

キャパシタの一つの重要な特性として、充放電の回数があるが、この材料では10,000サイクル充放電しても、10%の性能低下もなかった。

これは現在売られている製品に匹敵するほどの性能だ。

まだまだ最適化する余地がある今回のキャパシタ。

製品になる頃には、これまでのキャパシタとは比べものにならないくらいの性能になるのかもしれない。

最新の研究現場で、現在販売されているレベルの性能を作り出すというのはなかなかないかと思います。通常、研究現場では将来、現在の製品を凌駕する技術の種を見つけ、それを開発現場が最適化することにより、性能向上を行うというのが一般的でしょう。そういう意味でも研究現場で製品よりも性能が上回っているというのは、今後のさらなる性能向上が期待できます

近年、ナノマテリアル研究において、MOFs構造は注目され、様々な用途を目標に研究がされています。今後どのような製品に組み込まれていくのか、楽しみな研究分野です。

元記事はこちら(New kind of supercapacitor made without carbon. Energy storage device could deliver more power than current versions of this technology.)

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