脳波を測定することにより抗うつ剤の効果を推測する?!うつ病を早期に改善するための手法の開発!

現代病とも言えるうつ病。日本では約12人に1人かかると言われています。うつ病は病気なので治療が必要ですが、同じように見えるうつ病でも効き目が出る薬剤が異なるため、なかなか症状が改善しない人も多く存在します。早い段階で効く薬を見つけること、それがうつ病を早期治療するために重要なことなのです。その手法を開発しようと多くの研究者が研究を進めています。

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抗うつ剤の効き目を推測する!?

カルフォルニア大学ロサンジェルス校の研究チームは、非侵襲で抗うつ剤の効果を判定する方法を開発している。

世界で少なくとも3億5000万人、アメリカでは1700万人の人がうつ病に悩んでいるとされている。

そして病院へ行き、抗うつ剤が処方されるのだが、その抗うつ剤が効果を発揮し、うつ状態が改善するする人は3分の1よりも少ないという。

そして抗うつ剤が効くかどうか検討するには時間がかかる。

そのため患者は効くか効かないか分からない薬を数週間飲み続ける必要があるのだが、抗うつ剤の副作用のため、飲み続けられない患者も少なく無い。

そんな状況を改善するため、抗うつ剤の効き目をより正確に推測する手法の開発が進められている。

抗うつ剤と脳波

研究チームが開発しているのは、脳波を測定することによる抗うつ剤の効き目を推測する手法だ。

この手法では診察室でたった10分の検査を行うことで、1週間の薬物治療がうつ状態を改善できるか検査することができるという。

研究チームは抗うつ剤の一種であるレクサプロを用い、患者の脳波を測定した。

レクサプロを始めとする選択的セロトニン再取り込み阻害薬は脳の中で神経伝達物質であるセロトニンの量を増やすことができる。

脳は化学物質や電気ネットワークにより、その時の感情や思考を作り出しているが、その制御を行う物質の一つがセロトニンである。

そしてこのような脳の活動は、遅い脳波であるデルタ-シータ波や早い脳波であるアルファ波などとして測定することができる。

うつ病ではこのバランスが著しく崩れてしまうのだ。

脳波のバランス

そこで研究チームは、治療開始後1週間の間に抗うつ剤が脳波のバランスを改善することができるかを検討した。

18歳から70歳の194人のうつ病患者のうち、146人に抗うつ剤を処方し、48人には効果の無い偽薬(プラセボ)を処方した。

また146人は二つのグループに分けられ、それぞれ異なるタイプの抗うつ剤を処方した。

治療は7週間行われ、脳波の測定は治療開始前と治療開始後1週間の時点で行われた。

その結果、治療によりうつ病の改善が見られた患者においては、脳波のバランスも改善されていた。

またプラセボを処方された患者においては、脳波のバランスの改善は見られなかった。

つまりうつ病と脳波はかなり親密な関係があることを示していると言えるのだ。

ある重要な発見

今回の実験において、もう一つ重大な発見が存在する。

それはプラセボ薬を処方された人において、うつ病が良くなったと感じた人もいることだ。

もちろんプラセボは症状を改善する効果の無い薬であるため、そのようなことは考えづらい。

そしてうつ病が改善したと感じられる期間はごく短期間で、長くは続かなかった。

プラセボ薬を処方された患者においては、本人が改善したと感じられても、脳波の測定では改善は見られなかった。

この結果が示すことは、本人の感覚よりも精度良く抗うつ剤の効き目を判断することができるということであり、これは今後うつ病を治療するにあたり重要な発見である。

これまでは抗うつ剤の効果を確認するのに、何週間も待たなければいけなかったが、それが短期間になることにより、早期にうつ病から脱することができる人が増えると期待される。

うつ病は「心の風邪」とも言われるくらい一般的な病気になってきました。気分が落ち込む、やる気が出ない、食欲がないといった症状が現れ、本人では気分の浮き沈みとなかなか区別できないことから、病院に行かずに過ごしている人もいかもしれません。

しかし本当の風邪でも体力が落ちている時には命に関わることもあります。うつ病も重くなると自殺という最悪の結果を生んでしまうことも考えられます。どんな病気でもそうですが、いかに早く適切な治療を行うかということが、早期回復のカギとなることでしょう。

しかしながら記事中でも述べたように、風邪とは異なり、一人の患者にどの薬が効くかというのは試してみないと分からないのが現状です。しかも風邪のように長くても1週間で治療が完了するのではなく、薬が効くか数週間経過観察しなければいけません。いかに効率的に効く薬を見つけ出すか、それは患者にとっても医者にとっても大きな問題となっています。

もし治療開始後すぐに薬の効果が分かれば、それこそ風邪のようにすぐに治ってしまう病気になるかもしれません。また現在では精神科はなかなかハードルが高く、行きづらいという人もいますが、簡単に薬で治るという認識が広まれば、早い段階で治療を開始する人が増え、自殺という最悪の結果を避けることができるようになるかと思います。何はともあれ病気に対して適切な治療を行うというのは重要なことなので、もし肉体的にも精神的にも何か違和感があった場合は、すぐに病院へ行かれることをお勧めします。

元記事はこちら(Brain wave measurements predict response to antidepressants. UCLA study finds noninvasive method that may help speed relief from the disorder)

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