アルツハイマー病の原因と考えられてきたタウタンパク質。実は脳を保護していたかもしれない?!

脳細胞が萎縮し、記憶力や認知力が低下してしまうアルツハイマー病。これまではアミロイドβとタウタンパク質の蓄積により、細胞死が引き起こされると考えられてきました。ですが、最新の研究ではタウタンパク質はむしろ細胞死から守っているという結果が得られたようです。世界的に問題となっているアルツハイマー病。新しい治療法が開発されるかもしれません。

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アミロイドβとタウタンパク質

ニューサウスウェールズ大学の研究チームは、アルツハイマー病の進行を抑えることができるかもしれない研究結果を報告した。

アルツハイマー病の発症要因として、二つのタンパク質が挙げられている。

一つはアミロイドβというタンパク質であり、もう一つがタウタンパク質である。

これらのタンパク質が脳の神経細胞内に蓄積すると、神経細胞が死んでしまい、その結果、脳が萎縮し、認知機能の低下を引き起こすと言われている。

だが研究チームはこれまで考えられてきたこのアルツハイマー病の発症過程は間違っていることを突き止めた。

そしてその研究結果はアルツハイマー病の進行を遅らせることができる可能性を示唆していた。

アルツハイマー病の発症原因

これまで研究者は神経細胞においてアミロイドβが蓄積すると、タウタンパク質をリン酸化し、タウタンパク質が凝集、繊維化し、その結果細胞死が引き起こされると推察していた。

しかしながら今回、研究チームの結果はそうではなかった。

タウタンパク質がリン酸化されることにより、細胞死を引き起こすどころか、逆に神経細胞を守っていたのだ。

つまりアミロイドβが蓄積し始めると、タウタンパク質がリン酸化され、神経細胞を保護する。

そしてアミロイドβの蓄積量が増大し、タウタンパク質による保護が耐えきれなくなると、神経細胞の崩壊がおこり、アルツハイマー病を発症するのだ。

実験による新たな発見

研究チームも初めからこの仮説を考えていたわけではない。

研究チームはタウタンパク質をリン酸化する酵素キナーゼp38γというタンパク質の機能をマウスを用いて研究していた。

タウタンパク質をリン酸化するのだから、アルツハイマー病を発症しやすくなると考えていたのだ。

しかしながら逆の結果が得られ、むしろ神経細胞を保護するために、タウタンパク質をリン酸化していることを突き止めた。

そしてヒトの脳の組織を使い、p38γの量を調べたところ、アルツハイマー病を発症しているとこのp38γの量が減少していることが明らかとなった。

この結果はアルツハイマー病の予防や治療において重要な結果である。

もし神経細胞のp38γの量を増加させたり、活性を上昇させることができれば、アルツハイマー病の治療ができるかもしれないからだ。

彼らはこの研究結果を特許化し、新たな薬剤の開発を目指している。

新しい研究結果が出ると、それまで考えられてきた仮説がひっくり返ることはありますが、今回の研究は創薬において、大きな影響を与えることでしょう。これまでタウタンパク質のリン酸化が原因でそれを阻害するための薬剤を開発していたとしたら、それはアルツハイマー病を治療するのではなく、むしろ悪化させてしまう可能性があるのですから。

今後、今回の研究結果をもとに新しい薬剤の開発が行われると考えられれますが、もしかしたら不治の病であるアルツハイマー病が完全に予防できるなんて日もくるのかもしれませんね。

元記事はこちら(Discovery opens door to new Alzheimer’s treatments)

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