ダイヤモンドよりも硬いダイヤモンド?!ロンズデーライトを合成せよ!

ダイヤモンドは地球上で一番硬いと言われています。ですが、実はダイヤモンドよりも硬い物質が存在することが知られています。それはダイヤモンドです!謎かけのようですが、ダイヤモンドを構成している炭素原子の並び方により、より硬いダイヤモンドになる可能性があるのです。そのダイヤモンドよりも硬いダイヤモンドであるロンズデーライトを合成する手法の開発が行われています。

スポンサーリンク

ロンズデーライトの合成に成功!

The University of Sydney(シドニー大学、オーストラリア)、The Australian National University(オーストラリア国立大学)等の共同研究チームは、100 GPa(パスカル)、400℃という条件を用い、ロンズデーライトという物質を作ることに成功したと報告した。

The Australian National Universityのプレスリリースはこちら

The Australian National University (ANU) has led an international project to make a diamond that's predicted to be harder than a jeweller's diamond and useful f...

論文はこちら(Scientific Report)

Carbon exhibits a large number of allotropes and its phase behaviour is still subject to significant uncertainty and intensive research. The hexagonal form of d...

彼らが合成したロンズデーライトとは一体どういう物質なのだろうか?

ダイヤモンドとロンズデーライト

ダイヤモンドは天然で最も硬い物質であり、炭素原子からできている。

透明で、形によっては光を反射し、きらびやかに見えることから、宝石に使われることも多い。

工業的にも利用価値は高く、超硬合金やセラミック、ガラスなど他の硬い物質の切断、研磨などに使われる。

ダイヤモンドは地球内部の内部の高温高圧状態で炭素が反応することにより形成されるが、現在では人工的に高温高圧状態を作り出し、人工ダイヤモンドを合成することも可能になっている。

ダイヤモンドには、その炭素原子の繋がり方により、ロンズデーライトと呼ばれるダイヤモンドが存在する。

通常のダイヤモンドでは一つの炭素原子が正四面体の中心にあるとすると、次の炭素原子は正四面体の頂点にある構造をしている。

その構造からこのダイヤモンドは立方晶ダイヤモンドとも呼ばれている。

だがこの炭素原子の並び方が六角形を描くように並ぶと、ロンズデーライト(六方晶ダイヤモンドとも呼ばれる)となる。

地球上では隕石の中から発見されたわずかな量しか存在しておらず、隕石から得られるロンズデーライトは不純物を含んでいるため正確な硬度は測定されていないが、計算上立方晶ダイヤモンドよりも58%硬いと考えられている。

硬いということ。

では硬いというのはどういうことなのだろうか?

実は硬さを調べる試験法は様々なものが存在する。

ビッカース硬さ、ロックウェル硬さ、ブリネル硬さ、ヌープ硬さ、モース硬度など、測定する物質や目的に合わせて、その試験法を選ぶ必要がある。

つまり一言に硬さといっても、一概に決まらないのである。

では、ダイヤモンドなど鉱物の硬さを測定する硬度はなんだろうか?

それでもモース硬度、ビッカース硬さ、ヌープ硬さなどいくつかの指標が使われているようである。

だがその中身を見てみると、硬さというものが紐解けそうである。

モース硬度というのは、鉱物同士をこすり合わせた時にどちらが傷つくかを調べる方法であり、一番柔らかい滑石を1、ダイヤモンドを10(段階的に標準石が決められている)とする硬度である。

またビッカース硬さとヌープ硬さに関しては、ダイヤモンドを試験材料に押し当て、その傷のつき具合を計測する方法だ。

どの方法においても、ダイヤモンドというのは標準的な石であると言える。

つまり硬さというのはダイヤモンドと比較してどれくらい硬いのかということを示しているということになる。

ではダイヤモンドよりも硬い物質が出てきた時、その硬さの表示をどうするのか、それはまた楽しみである。

硬さの試験方法に関しては以下のサイトが詳しい。

ISO・JISによる唯一の高精度硬さ基準片専門メーカーの山本科学工具研究社の硬さキーワードについてご案内いたします。硬さ記号・硬さ基準片・構造敏感性・試験条件など、硬さキーワードについてご紹介いたします。

ダイヤモンドよりも硬いものの使い道

では、ダイヤモンドよりも硬いロンズデーライトが手に入ったとして、どんな使い道があるか考えてみよう。

現状ではナノレベル、目に見えないほど極少量のロンズデーライトが合成できているとのことだ。

このレベルで再現性よく合成できるのであれば、その性質を知るという研究に用いるのがメインだろう。

では今のダイヤモンドと同じくらいの量を合成できるようになったらどうだろう。

ちなみにダイヤモンドの産出量はU.S. Geological Surveyが毎年レポートしているようである。

興味があれば、下記のページのMinerals Yearbookを見ていただきたい。

Statistics and information on the worldwide supply, demand, and flow of industrial diamonds

何はともあれ、ダイヤモンドの産出量と同じくらい合成できるようになったら、やはり今のダイヤモンドに取って代わった使い道がメインだろう。

だがそれには大きな利点があるように思える。

これまでダイヤモンドを削るためには、ダイヤモンドを使っていたことだろう(他にも手段はあるようだがここでは割愛する)。

ダイヤモンドよりも硬いものがあれば、より効率よくダイヤモンドを削れることは間違いない。

また現在、超高圧(数百万気圧)を達成するためには、ダイヤモンドアンビセルと呼ばれるダイヤモンドを二つ使ったセルを用いている。

ダイヤモンドよりも硬ければ、さらに高圧条件が作れるかもしれない。

今回、ロンズデーライトを合成するのも、ダイヤモンドアンビセルが用いられている。

つまりダイヤモンドというロンズデーライトよりも(計算上ではあるが)柔らかい物質から、より硬いロンズデーライトが作ることができたというわけである。

現在よりも高圧条件が試せるということは、ロンズデーライトよりも硬いもの(そういったものがあればだが)を作ることができる可能性を広げられる可能性があるということが言えそうだ。

さらにダイヤモンドに微量のリンやホウ素を加えると、半導体材料となる。

もしかしたらロンズデーライトに同様に何か微量に加えて、これまでよりも高性能な新しい半導体として利用できるかもしれない。

これだけ見ても、全く新しい科学の世界が開けるのかもしれないとワクワクするのではないだろうか。

発見した人が偉い?

今回のロンズデーライトは隕石の中から発見されたと言われている。

もしかしたら、この発見は今後、より重要性を増すのかもしれない。

何故なら発見されたということは、その物質はこの宇宙の中で、どのようにしてかは分からなくても、作られ、存在しうるということを示しているからである。

つまりこれからの研究としては、ロンズデーライトを合成するという明確な目標に向かっていけばいいわけなのだ。

もしロンズデーライトが発見されていなかったら、このような構造をもつダイヤモンドが作ることができるのか分からないまま、ダイヤモンドよりも硬い”物質”、つまりは炭素原子だけではなく、他の原子を使ったり、複数の原子を混ぜ合わせてみたり、より広い範囲をカバーしつつ研究を進めなければいけなくなる。

発見というのが研究を進める上で、いかに重要かというのは感じていたのだが、今回の記事により再認識できたように思える。

発見をするために、いろいろな知識を身につけ、一つのデータを様々な角度から見るといった姿勢が必要だろう。

追記(2017年4月3日)

急激にアクセスを集めてびっくりしましたが、何やら「キン肉マン」の関連でロンズデーライトを調べてきてくださった方がいると情報を聞きました。

この記事はキン肉マンの記事とは違うのですが、今回出てきたロンズデーライトはそういったものすごく硬い物質が実際にあり、現在なんとかして大量合成しようと研究がされています。

キン肉マンを期待して来て頂いた方には残念な思いをさせてしまったかもしれませんが、これを機にロンズデーライトの研究を始め、様々な研究に興味をもってもらえたら幸いです。

追記(2017年4月4日)

ロンズデーライトの記事のアクセス急上昇はなかなか興味深いことだったので、新たに記事にしました。

2017年4月3日。検索やSNS拡散の”パワーのすさまじさ”を知った日〜キン肉マンとロンズデーライト〜
4月3日の夜中、正確には3日に入った直後。何気なく記事を書いていた時のことです。いつも私のMac Book AirのタスクバーにはSIGの...