小児脳腫瘍の大規模遺伝子解析!遺伝子を診断、治療に用い、子供たちを脳腫瘍から救え!

小児がんの中でも治療が難しい脳腫瘍。現在では手術、抗がん剤、放射線治療の発達により、5年生存率が70%以上まで上昇したと言われていますが、まだまだ小児がんの中でも死亡率が高いのは否めません。何故このようながんになるのか、大規模遺伝子解析から、その原因を探り、診断や治療に繋げようという研究が行われています。

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小児脳腫瘍の診断、治療に向けて!

ハーバード大学の研究チームは、小児脳腫瘍の診断や治療に利用できる可能性がある遺伝子を同定した。

この30年間で小児がんにおける研究は大幅に進み、小児がんの生存率は劇的に向上した。

しかしその一方で、小児脳腫瘍においてはあまり進展はしなかった。

最近の研究では、小児脳腫瘍は小児がんにおける死亡率の中でも多く25%を占めていることが明らかとなっている。

また現在の治療では、長期的に認知機能や身体機能への障害が残ってしまうことも課題となっている。

OncoPanelとOncoCopy

研究チームは203例の小児脳腫瘍のサンプルを収集し、そのうち117サンプルをOncoPanelと呼ばれる遺伝子検査に、146サンプルをOncoCopyと呼ばれる遺伝子検査に用いた。

OncoPanelとはガンに関連する遺伝子の異常を検出する遺伝子検査で、今回は300ものがん関連遺伝子において検討を行った。

またOncoCopyとはがん細胞において遺伝子が無くなっている、またはどれくらい過剰に増加しているかを調べる検査である。

60サンプルは両方の検査を行い、結果を統合することで、さらに詳細なデータを得た。

遺伝子異常と小児脳腫瘍

OncoPanelの結果によると、300の遺伝子のうち56%の遺伝子に異常があり、診断や薬剤のターゲットになりうる可能性が示唆された。

またその中でもBRAFと呼ばれる細胞内の信号伝達と細胞の増殖に関わるb-rafというタンパク質を合成する遺伝子において、小児脳腫瘍ではよく変異していることが明らかとなった。

また小児脳腫瘍の5分の1を占める髄芽腫のうち89%では、OncoPanelとOncoCopyの両方において臨床的に関連する異常が見つかった。

このように遺伝子を大規模に解析することにより、診断や治療に役立てることは重要であり、腫瘍細胞に見られる特定の遺伝子異常が見られた場合、その異常をターゲットとした効率的な治療が可能となるかもしれない。

若い時のがんというのは、細胞も活発であるため、増殖が早い傾向にあります。もし遺伝子解析によりその兆候を事前につかむことができたら、かなり多くの命が助かるのではないでしょうか。特に脳腫瘍は手術や治療をしたとしても、脳にダメージが残り、身体的な障害が残ってしまうこともあります。

遺伝子解析は現在、急速に発展しており、小さなチップで何万もの遺伝子を同時に解析できるまでになっています。またコストも下がってきており、遺伝子解析が診断の一環として行われるのもそう遠い未来の話ではないように感じています。

今後どんどんと明らかになる遺伝子と病気の関連性。そのような研究が進むことにより、予防医療や早期医療が医学の中心となっていくことでしょう。それにより病気をあまり恐れなくてよい時代が来ることを願っています。

元記事はこちら(New hope for children with brain tumors. Largest study to date finds precision medicine advances diagnosis and treatment)

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