インスリンが細胞外に放出されるメカニズムが解明された!?

世界で増え続けている糖尿病患者。現状では精製したインスリンを注射することが唯一の治療法になっています。その状況を改善しようと世界中で研究が進められていますが、イェール大学の研究チームが細胞の中で合成されたインスリンが、どのようにして細胞の外に放出されるのか、そのメカニズムを解明したようです。

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インスリン

イェール大学の研究チームは、細胞からインスリンが放出されるメカニズムに関して解明したと報告した。

インスリンは21個のアミノ酸からなるペプチド(短いタンパク質)と30個のアミノ酸からなるペプチドの二つが化学的に結合してできているホルモンの一種である。

膵臓のランゲルハンス島に存在するβ細胞という細胞から放出され、体内の血糖を調整している。

β細胞が何らかの理由により正常に機能しなくなり、インスリンが合成できなくなると、血液中の糖分が過剰になり、糖尿病を発症する。

現在、遺伝子組換え技術によりヒトのインスリンを大腸菌や酵母で作らせ、生成したインスリン製剤を皮下注射することが唯一の治療法となっている。

皮下注射をするのは、インスリンはタンパク質の一種であるため、消化管で分解されてしまうため、経口投与では効果が出ないためである。

インスリンを細胞外へ放出するには?

これまでの研究では、膵臓のランゲルハンス島に存在するβ細胞よりインスリンが放出されることは知られていたのだが、そのメカニズムに関しては明らかになっていなかった。

今回、研究チームは、細胞内で合成されたインスリンが、TEM24というタンパク質により細胞外へ放出されることを明らかとした。

インスリンは合成された後、ゴルジ体に運ばれ、脂質の膜で覆われた形で、細胞内に存在している。

そしてインスリンを覆っている脂質膜と細胞膜が融合することにより、細胞外に放出されるのだが、研究チームは脂質膜と細胞膜を橋渡しするタンパク質がTEM24であることを突き止めたのだ。

現在、世界の糖尿病人口は増加しており、2015年には4億人を突破している。

今回のような基礎的な知見が蓄積されることにより、新たな治療法の開発や予防法が確立されることが期待される。

よく論文などでは、細胞の中を分かりやすく、説明したい場所のみ図示されていますが、実際には満員電車のようにタンパク質や化合物がひしめき合っている状況です。それにも関わらず、複雑で精密な制御がされている不思議な状況を作り出しています。

特に大腸菌のような菌類では、細胞の中に遺伝子からタンパク質、そして化合物が全てごちゃ混ぜになっており、よく制御できているなと感心してしまうほどです。ヒトの場合は、それよりも整頓されており、遺伝子は核に収納されていますし、いらなくなったタンパク質などを分解する、いわゆるゴミ箱のような区画も存在します。また今回の記事のように、作り出したタンパク質を大事に包み、運ぶという小胞輸送系という経路も存在しています。

何億年という長い年月をかけて作り出してきたとはいえ、これほどまでにすごいシステムが作り出されたのはびっくりしてしまいませんか?そしてこれほどまでに科学が発達した現在においても、人間はまだまだそのシステムの全容を解明できていないというのは、いかに自然は難しいことをしているのだと感じてしまいます。生命の謎が解明されるのはまだまだ先かもしれませんが、是非ともその時代を生きてみたいものですね!

元記事はこちら(Molecular aid to insulin secretion identified)

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